イオ : ん……?
ああ、あんた、アークスか。
: おれ? おれもアークスだよ。
イオって言うんだ。
よろしくな、センパイ。
: なにびっくりしてるんだ?
センパイ、ってのはあんたのことだよ。
……なんだ、言われ慣れてないのか。
: おれがアークスになったのは
ついこの前だからさ。
あんたは必然的にセンパイ、だろ?
: なんだ、コレが気になるのか?
珍しくもないだろ、こんなの。
: デューマンはやっぱり
これが特徴だからな。
瞳だって色が違うぞ、ほら。
: 肌の紋様は……って
さすがにここで晒すのはまずいか。
: 何が、って顔しないでくれ。
そりゃ露出を好む奴がいるのも
知ってはいるけど、おれは違うんだ。
: ほら、コレが2つあるだろ?
……それで察してくれよ。
: それじゃな、センパイ。
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イオ : よう、センパイ。
よければちょっと休憩していけよ。
: それにしても、あんた
けっこう有名人だったんだな。
あちこちで噂されてたぞ。
: 謙遜するなよ、事実だぜ。
困ったらあんたに相談しろ、とか
よくわからん助言までされたよ。
: ……センパイ自身にはあんまり
自覚がない、って感じだな。
周りからはそうじゃないぜ、きっと。
: 噂にしろなんにしろ
本人と関わりのないところで
話は大きくなるものだしな。
: 会ったことない人にしてみれば
センパイはとんでもないエースと
思われてるかもな。ははっ。
: それこそ、話しかけるのが
はばかられるほどに、さ。
: ま、おれは無知な状態で
知り合えて良かったよ。
ヘンに堅苦しくならずにすんだ。
: もっとも、センパイが
そういうのをお望みなら
そうするけど?
: ……なんてな。
さ、休憩はおしまい。
それじゃな、センパイ。
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イオ : よう、センパイ。
よく会うね。
お互い、働き者ってことかな。
: ヒューマンニューマンキャストに
デューマンと数は揃ってるし
他の人にも出会いそうなもんなのにさ。
: けど、おれはセンパイばっかに会う。
偶然……よりは、運命と言ったほうが
ロマンチックかな? ははっ。
: ……ま、アークスの歴史をひもとくと
偶然じゃ片付かないことは
結構多いみたいだけどな。
: デューマンの成り立ちも、そう。
: どのくらい昔の話かは知らないけど
あるとき、ふいに空間の裂け目から
生体的な遺留物が現れたんだと。
: おれは記録で読んだにすぎないが
とても、その時代のものとは
思えないシロモノだったらしい。
: 龍の皮膚のような、それでいて
ダーカーのもののような遺留物。
それを参考に実験を行っていって……
: その完成形が、おれたち。
: ……そして
これはここだけの話。
: その遺留物。
この前の暴走龍の体組織に
酷似してるんだとさ。
: ……まったく
おかしな偶然があったもんだよな。
: ま、そのおかげで
おれは生まれたわけだから
別に構わないけど。
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イオ : ん、センパイ、どうした?
おれの顔になにかついてる?
: いや、怪訝そうな顔して
こっち見てるから気になってさ。
: 別におれには隠すようなことも
ないから、何でも聞いてくれ。
>それはない
: ん? どうして、と言われても
おれはおれじゃないか?
: 女っぽくない、って?
なんだセンパイ、ずいぶんと
些細なことにこだわるんだな。
: いいじゃんか。
おれがおれのことを
どう呼ぼうが、さ。
: いまさら私とか言おうにも
照れくさくてかなわない。
: ……いいかセンパイ。
そういうのはもっとかわいさの
素養があるやつにいってやれ。
: おれに言っても
仕方がない、だろ?
: ……なんで黙るんだよ。
>かわいいから見ていただけ
: は?
かわいいって、誰が?
おれが?
: センパイ……目、大丈夫か?
ちょっと休んだ方が
いいんじゃないか?
: おれがかわいいのなら
そこらのダーカーだって全部
別嬪さんになっちまう。
: ああ、ああ。
お世辞で言ってくれてるのは
わかってるよセンパイ。
: ……ったく。
急にそんなこと言われたら
びっくりするだろ。ばか。
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イオ : ん、ああ、センパイか。
どうしたんだよ、バレットボウが
そんなに珍しい?
: 一昔前はレアもレアだっただろうけど
ブレイバーが確立してからは
そうでもないだろ。
: おれもクラスはブレイバーだからな。
使う武器は、これかカタナか
どっちかになる。
: カタナも使えはしたんだけど
こっちのほうが、しっくりきたんだ。
: センパイだってあるだろ、そーゆーの。
これが使いやすい、しっくりくるって
感覚を覚えるヤツがさ。
: 武器は全部満遍なく使える方が
どんな時にでも対応できて
いいんだろうけど……おれは無理。
: だからまずは、こいつを
極められるところまで
極めてみたいって、思ったんだ。
: って、おれは何を語ってるんだ。
新米のぺーぺーのくせに……
: ごめんセンパイ、今のなし。
忘れてくれ、恥ずかしい……
: ……ま、こいつから別の武器に
乗り換えるときには……そうだな。
センパイがおれを指導してくれよ。
: だって、センパイは全ての武器を
使いこなせるんだろ。
そういう噂、聞いたことあるぜ?
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イオ : ……センパイ。
最近、身の回りで何か
ヘンなこと起きてないか?
: まだ、特に何も起きてないか。
: でもそのうちなにかあるぜ。
……センパイがらみで、だ。
これは脅しじゃなく。
: おれみたいな爪弾きものは
囲いの外にいるようなもんだからな。
空気の変化がよくわかるんだよ。
: センパイが何か罪を犯した
……ってのは、あんまり
想像できないな。
: となると、何か不都合なこととか
知ってはいけないことに踏み込んでて
煙たがられてるのかもな。
: ……ま、全部推測だけどさ。
嘘みたいなことが起こる世界だ。
何があっても不思議じゃない。
: 余計なお世話かもしれないけど
気をつけてな、センパイ。
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