A.P.238/2/20/14:00
シオン : ……待っていた。
: 否、この表現は認識の相違がある。
待たせてしまった、だろうか。
: わたしの名は……シオン。
: わたしの言葉が貴方の信用を得るために
幾許かの時間を要することは
理解している。
: それでもどうか、聞き届けて欲しい。
無限にも等しい思考の末
わたしが見出した事象を。
: わたしは観測するだけの存在。
貴方への干渉は行わない、行えない。
: だが、動かなければ道は潰える。
: 故にわたしは示す。
あらゆる偶然を演算し、計算し
ここに残す。
: 偶然を拾い集め、必然と為す。
そのものをマターボードという。
: わたしは観測するだけの存在。
貴方を導く役割を持たない。
だがマターボードは貴方を導くだろう。
: ……わたしの後悔が示した道が
指針なき時の、標となることを願う。
: 未だ信用も信頼も得られずと推測する。
貴方のその思考は正しく正常である。
わたしもそれを、妥当と判断する。
: しかし、
わたしはそれでも貴方を信じている。
: わたしは貴方の空虚なる友。
どこにでもいるし、どこにもいない。
質問はいつでも受け入れよう。
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A.P.238/2/27/14:00
シオン : 貴方に伝えるべき事がある。
それはひとつの揺らぎである。
: 因果が集束を見せている。
一つの事象を産み出しつつある。
この手で掴めるほどに。
: それは恐らく
運命という概念への冒涜だ。
: しかし、それこそが
わたしとわたしたちが渇望し
切望したことである。
: ……わたしは謝罪する。
: 曖昧な言葉では
貴方たちに伝わり難いことを
理解せず、失念していた。
: 思考を修正し、伝える。
これは、わたしから貴方たちへの
依頼である。
: 惑星ナベリウスに向かって欲しい。
: 理由は言えない。答えられない。
答えは貴方の未来にのみ存在する。
: わたしは観測するのみ。
観測しか、できない。
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A.P.238/2/28/14:00
シオン : ○○
貴方にまずは、感謝を。
: 偶発事象の優位改変が確認され
新たな状況へと進行した。
: 状況よりも、事象の説明を求める
といった表情をしているようだが
その認識で正しいか?
: だが、ここに
正確な認知は必要ないと認識する。
: 貴方は、多くのものを救う機会を持つと
それだけを把握しておけば、事足りる。
: いや、説明が十全でない、正しくない。
貴方を納得させるだけの言葉を
今のわたしは学習し得ていない……
: だから、わたしは謝罪する。
いまだ信用を得るに足らないわたしを。
: そして、それでも貴方に頼るわたしを
わたしは謝罪する。
: ……新たなマターボードが産まれた。
それはつまり、新規偶発事象への介入が
可能になったことを意味する。
: わたしの後悔はいまだ続く。
貴方がそれを払う標となることを
願っている。
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A.P.238/3/1/14:00
シオン : 万事において、全てを選ぶ事は不可能。
光陰の後を、見定めた諦念も必要である。
: 事象は蝶の羽が如く揺らぎ、流転する。
時として不為になることもある。
だがそれは決して無為ではない。
: 貴方は迷わないで欲しい。
そのためにわたしとわたしたちが居る。
そのためだけに、わたしは居る。
: ……新たなマターボードが産まれた。
事象は変遷を見せ、未だ遠き道ながら
全ては確然と近づいている。
: 貴方の行動が未来を決めるという事。
わたしが表現するのはただそれだけ。
……迂遠な言葉を謝罪する。
: わたしとわたしたちが今言えるのは
ここまでであり、これからも
ここまでであることは自明である。
: ……だから、わたしは願う。
貴方の掴む未来が、一縷を掴んだ
ものであることを。
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A.P.238/3/3/14:00
シオン : 新たなマターボードが産まれた。
これは、貴方の行為が意味を為し
事象の好転を示す。
: わたしとわたしたちから、千の感謝を。
: 易き道程でない事を、わたしたちは知り
それでもわたしは貴方を頼った。
: 応えたのはあなただ。
貴方の意思が応えた。
故に、わたしは感謝する。
: 貴方の認識において
優位事象の取得が行われている。
得た物は貴方以外に得られぬ物となる。
: 貴方が手にしたかの武器について
わたしは知らない。知り得ない。
: ただ、それが貴方にとって
いずれわかる事象であると
わたしは知っている。
: これ以上語るべき言葉を
わたしは持たない。
……許してほしい。
: そして、幾度となく
貴方を頼らねばならないわたしを
どうか……許してほしい。
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A.P.238/3/21/14:00
シオン : 新たなマターボードが産まれた。
貴方の辿り着くべき道筋に、貴方が
辿り着いたからこそ、成し得た事実。
: 貴方は多くを見るだろう。
この後も、この先も、この前にも。
: だがそこから目を逸らしてはならない。
事実へと通暁し、解へと至る。
それは貴方にのみ許されることである。
: わたしとわたしたちは願った。
わたしとわたしたちの責務として
その任務を担うことを。
: だが、それには能わず。
わたしとわたしたちはただ知るのみ。
道を外れし道理は霧散するのみ。
: 故にわたしは嘱し、託す。
貴方が貴方である限り。
: 今は理解も理会も不要と
わたしとわたしたちは判断する。
: この場において、わたしは
信じて欲しいと、それしか言えない。
それ以外に、意味はないのだから。
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A.P.238/3/21/14:00
シオン : 新たなマターボードが発生している。
どちらにも揺らぐ天秤のようでもあり
揺るがぬ標のようでもある。
: 得るものがいれば。
得られぬものもいる。
それは摂理である。当然である。
: しかし、ここにおいて
それでは許されない。
必然でなければならぬ事象もある。
: わたしとわたしたちは求めている。
貴方が探し、貴方が得る事を。
: わたしとわたしたちは信じている。
貴方がそれを成すことを。
: ……すまない、申し訳ない。
貴方に十分な情報が行き渡らぬことを
わたしとわたしたちは謝罪する。
: わたしは、貴方が望むかたちへの
変化を望んでいる。
: これはわたしたちとは異なる
わたしの願いであり、望みだ。
故に、今暫くの時間を求める。
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A.P.238/3/21/14:00
シオン : 新たなマターボードが産まれた。
天秤を揺らぎを止め
答えを見出す。
: 先にて得るものには形なく
しかして得られるものは
望むべく形をとる。
: それは思うままに為せ、ということ。
深く心慮する必要はない。
進むべき先に道はある。
: ただし、貴方は知らねばならない。
見出した答えが、万人にとっての
答えではないことを。
: 如何なる困難があろうとも
貴方が見出したそのものは
やがて必ず形となる。
: 得るべき形となるだろう。
: 故に、貴方は惑わず揺るがず
直向きに進んで欲しい。
: ……わたしは信じる。
それこそが、全てのものへの
答えへ通じる道であると。
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A.P.238/3/28/14:00
シオン : 新たなマターボードが産まれた。
此は事実と真実の端境期にありしもの。
: 有為転変、万象は流転する。
こと、貴方の役割は闊大である。
とても大きいということだ。
: わたしとわたしたちが知るのは結果。
貴方が知るべきは真実である。
: ただし、貴方は忘れてはならない。
目にしたものだけが事実でないように
真実もまた一つではない。
: 秘匿され、隠された事実は
蠱惑の毒となり、追求を阻む。
惑うことなく進むかは、貴方次第。
: 万象一切一意にあらず。
しかしてその身に誠を刻む。
: わたしとわたしたちは信じる。
貴方の成就と結末を。
: 貴方はどうか、貴方を信じてほしい。
貴方の成した事と、為すべき事を。
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A.P.238/4/2
シオン : 一つの流れが行き着きし先で
数多の傍流は生まれ出る。
それは摂理であり、定理だ。
: その一つ一つの結末に
深意的な価値はほとんど存在しない。
: しかし、代えがたい経験は生まれる。
: わたしとわたしたちには不要。
しかし、それは貴方たちにとって
不可欠なものであることは理解した。
: これまでと異なるところは、そこだ。
わたしが理解し、わたしたちが許容し
そして貴方が受け入れた。
: ……いや、受け入れてくれたかは
未だ判断に値せず、だろう。
: わたしとわたしたちは謝罪する。
: 新たなる流れの中で見出す事実が
いかなるものかは、貴方たちが
自身で判断していくべきものだ。
: その結末を、その裁定を
わたしとわたしたちは見、受け入れ
識るために、ここにいるのだから。
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A.P.238/4/2
シオン : 事象は大いなる変化を見せた。
それこそは、貴方が成し遂げた
ひとつの成就の形だ。
: ……たとえ、それが
望まぬ形であったとしても。
: ……わたしとわたしたちは謝罪する。
識りながらも変えることのできない
この身であることを。
: かの事実は根幹を揺るがすもの。
跳梁する者たちは拡散を望まず
内に秘めようと暗躍するだろう。
: ゆえに、貴方の役儀こそが重大。
すべてを見、すべてを識った
貴方こそが、鍵となる。
: 貴方が抱く経験で、世界は成る。
それは修正ではなく、累積に基づき
数多の知己と敵を産むだろう。
: それでも、貴方は己の意志が
向くままに進んでほしい。
誰も見いだせなかった、道へと。
: わたしとわたしたちは
その先を見、識るために
ここにいる。
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A.P.238/4/16
シオン : 新たに生まれし流れは一つの支流。
しかし、それは本流にまで及ぶ
影響を抱く一つの事例である。
: 幾重にも織り重なった事象が
形を作り、収束を見せる。
: そこにあるものを
悲劇と呼ぶか解放と呼ぶかは
貴方自身が決めることだろう。
: わたしたちは識っている。
それゆえに、わたしは
何も伝えることが出来ない。
: 識るだけで形成されるものは幻想。
ことここにおいて必要なのは
経験による認識だ。
: わたしとわたしたちは導く。
出来る限りの由を以てして。
: だが、それに従うかどうか
それを信じるかどうかは
貴方が自由に決めること。
: いかなる形で結末を迎えようと
それを貴方が経験するのならば
わたしは、それで構わない。
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