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Radical   Discovery 




THE ONLY WAY




 THE ONLY WAY  
 A.P.238/7/7/9:00
 マトイ : ここが、マザーシップの中?
       なんだろう……すごく懐かしい
       そんな気もするけど……
 シオン : 待っていた、二人とも。
     : 事ここに至り、結末を迎える。
       わたしから、貴方への
       最後の依頼となる。
     : マザーシップの中枢へと向かい
       そこでわたしを……
       そこにいる、わたしを…………
 マトイ : シオンさん!

 ルーサー : ……とうとう
        この時が来たね、シオン。
        僕たちが待ち望んだ、この時が。
      : 長かった、長かったよ……
        これでようやく僕は
        君を……すべてを理解できる。
 研究員A : 総長、準備が整いました。
 ルーサー : ああ、そうかい。
        ご苦労だったね。
 研究員B : いえ、総長の悲願のためなら
        この程度! これで、私たちも
        フォトナーになれるんですよね!
 ルーサー : ああ。
      : これで君たちも用済みだよ。
      : ああ、そうだ。
        いらないのは枝葉だけじゃない。
        害虫もいたんだったね。
      : そう、もはや全て必要ない。
        僕と君さえいれば、それでいい。
        ……それだけで、いいんだからね。
      : 邪魔な枝葉は、害虫ごと
        切り離すに限る。
        君もそう思うだろう? シオン。

 マトイ : シオンさん、どこ!
       どこに行ったの!
 シャオ : ……聞こえるかい。
       ふたりとも。
 マトイ : えっ、あなたは……?
 シャオ : シオンの弟、で納得しておいて。
       詳しいことを説明してる暇はない。
       はじまってしまったんだ。
     : 予定通りに事が進むなんて
       最初から考えちゃいないけどさ。
       向こうの動きが、予想より速い。
     : 二人とも、気をつけて。
       向こうの動きが予想できない。
       何があってもおかしくは……
 ブリギッタ : 敵性存在が
         マザーシップへ侵入しました。
       : 繰り返します、敵性存在が
         マザーシップへ侵入しました。
       : アークス各員へ敵性存在の
         情報を……って、えっ?
 レギアス : ……聞こえるか、アークス諸君。
        六芒の一、レギアスだ。
      : 緊急事態のため、唐突な連絡に
        なってしまったことを詫びる。
      : 混乱も必至だろう。
        故に、私から説明を行う。
      : ……まず、該当の敵性存在は
        不可解な外部組織との接触を
        持っていたことが確認されている。
      : それは一度だけではなく
        二度三度と行われていた。
      : サポートパートナーへの
        ハッキングを介しての交流も
        解析された。
      : ……それだけではなく
        対話可能なダーカー種との
        接触もみられたとのことだ。
      : 絶対敵性存在であるはずの
        ダーカーと、戦うことなく、だ。
      : また、アークス内部に
        未確認未登録の人員を配し
        諜報活動を行ったとの報告もある。
      : もちろん、かの者がアークスに
        多大なる貢献をしていたことは
        私も承知している。
      : ……それでもなお
        アークスの敵性存在だと
        そう……判断された。
      : ……繰り返す、諸君。
        アークスがそう、決めたのだ。
      : ……ここに、六芒の一
        レギアスの名において……
        絶対令の行使を宣言する。
      : アークスに徒なす反逆者を……
      : ○○を
        抹殺せよ。
      : ヒルダ……後は任せたぞ。
 ヒルダ : ……アークス、各員に通達する。
       絶対令により、対象の
       抹殺命令が下った。
     : 諸君の敵、アークスの敵
       我々、オラクルの敵、それは……
     : ……○○!
       ○○だ!
     : 対象はマザーシップに侵入済みだ。
       アークス各員は準備を整え
       随時追撃せよ……以上だ!
 シャオ : ……やられた。
       道理で、今まで一切邪魔を
       してこなかったわけだ。
     : ぼくたちの存在に気付きながらも
       この時のために泳がせて
       おいたんだな、ルーサー……!
     : ……すまない、二人とも。
       事態は、ぼくの想定以上に
       まずい方向に動いてるみたいだ。
     : ダーカーやクローンを手先として
       差し向けてくるぐらいは考えてた
       けど、アークスそのものとは……
 マトイ : 大丈夫、大丈夫だよ。
       ……○○は
       何も、悪いことはしてないから。
     : 皆を助け、わたしも助けてくれて……
       そして今も、誰かのために
       頑張っているだけなんだから。
     : だから……
       ○○。
       進もう、この先へ。
 シャオ : ……そう、だね。
       その子の言う通りだ。
       もう、全ては動き始めた。
     : ぼくからもお願いするよ
       ○○。
       シオンのところへ行って。
     : ぼくも、ぼくのすべてをもって
       君たちをバックアップする。

 A.P.238/7/7/9:20
 リサ : ふふふっ……あなたに向かって
      銃を撃つのは、久しぶりですねえ。
 オーザ : まさか、お前とこんな形で
       敵対することになるとはな……
 マールー : ……貴方のこと、信じてたのに。
        どうして、アークスを
        裏切るようなことを……?
 マトイ : ……そんな! そんなことしてない!
       ○○は!
       裏切ってなんかいない!
 オーザ : オレたちとて、そう信じたいが……
       殺してしまえば、関係ない。
 マールー : ……全アークスに向けての
        開示情報で、証拠も示された。
        だから、殺してしまわないと。
 マトイ : どうして……?
       おかしい……このひとたち。
       言葉も、気配も……!
 リサ : 無駄無駄無理無理、ダメですよお。
      もう、リサたちには何を言っても
      通じないんです。
    : わかりますかあ?
      『絶対令』ですよお。
      リサたちはもう、逆らえません。
    : 三英雄のみなさんが言うんです
      揃いも揃って、命令するんです。
      あなたを殺しなさい、って。
    : ま、リサは命令なんて
      別にどうでもいいんですが……
      ひとを殺すのは面白そうですからねえ。
 フーリエ : ○○さん。
        安心してください。
        私は敵じゃありませんよ。
      : 私はあなたを殺して
        あの子たちを守りたいんです。
      : そのために、殺させてください。

 A.P.238/7/7/9:40
 オーザ : はぁっ……はぁっ……
       流石は○○
       だが、殺す……
 マールー : ……敵対して、よくわかる。
        貴方の、強さ……
        ……でも、殺さないと。
 リサ : 四人がかりでこのざまですか。
      リサ、自信喪失しちゃいそうです。
      ねえ? ねえねえ?
 フーリエ : …………
 マトイ : ……わからない。
       ぜんっぜん、わからないっ!
     : どうして、この前まで一緒に
       笑いあってた人たちが
       戦わなきゃいけないの?
     : それが命令だって言うんなら……
       そんな命令は、おかしい!
 フーリエ : ……そう、その通りですよ。
        そんな命令は、おかしいんです。
      : なんで、そんなことにも私は
        ……気付けなかったんでしょう。
 リサ : フーリエさん?
 オーザ : ……お、オレは、何を。
       いや、戦っていたのは覚えているが
       あれは……オレだったのか?
 マールー : ……まるで、自分の中に
        別の自分がいたみたい……
        逆らえない、自分が……
 リサ : んー……言われてみれば
      泡沫の夢から、現実に引き戻された
      そんな感じがしますねえ。
    : まあ、夢は夢で楽しかったですし
      リサは結構満足しましたから
      みなさんが止めるのなら止めます。
    : それに、続きのお相手なら
      あっちのみなさんがしてくれそう
      ですからねえ。
 フーリエ : ……ダーカー!
        どうして、ここに?
 ヒルダ : アークス各員に緊急連絡!
       混乱に乗じたダーカーの襲撃だ!
     : 最終防衛ラインを突破し
       マザーシップ内へと侵入している!
       反逆者ともども、殲滅せよ!
 オーザ : 最終防衛ライン突破だと!?
 マールー : ……今まで一度も突破を
        許したことないはずなのに
        そんなに簡単に……?
 リサ : 反逆者のほうに執心しすぎて
      本来の敵への対応をおろそかに
      したんですか。
    : はあまったく、ますますもって
      愚かで愚かで愛らしいミスです。
      惚れ惚れしちゃいますよお。
    : それなのに、なおもダーカーと
      反逆者の処分を並行に考える。
      ……まともな判断、できてませんねえ。
 フーリエ : ○○さん!
        行ってください、この先へ!
      : 何が正しくて何が間違ってるのか
        私にはもう、わかりません。
      : だから、あなたがやるべきだと
        思ったことをやり通してください!
      : それがたとえ、アークスに
        ……ううん、『この』アークスに
        不都合なんだとしても……!
      : 多くの人たちを救ってきた
        あなたの選択を、私は信じたい!
 オーザ : ……行け!
       ここはオレたちが食い止める!
       お前達は……先に進め!
 マールー : ……罪ほろぼし、にもならないけど
        それぐらいは、させてほしい。
 リサ : リサはですねえ、人間よりも
      ダーカーが嫌いなんです。
    : 命令があろうとなかろうと
      なんであろうと、リサの狙いは
      ただひとつ、なんですからね?

 ルーサー : 絶対令といってもこの程度か?
        いや、それ以外の力が働いた?
        ……まあ、どうでもいいか。
      : どうせもう捨てる玩具の話だ。
        最後に奇抜な動きを見せてくれるなら
        それはそれで、面白い。
      : さあ、アークスよ。ダーカーよ。
        好きなだけ殺し合うといい。
        それぐらいの自由は許してやるさ。

 A.P.238/7/7/10:00
 マリア : ……来たね。
       ○○。
       そっちのお嬢ちゃんは、連れか。
 マトイ : ……アークスの人!
       また、戦わないといけないの?
 マリア : おっと、警戒する必要はないよ。
       六芒に絶対令はきかない。
       じゃないと均衡できないだろう?
     : ……それに、アタシたちの目的は
       どちらかといえば、アンタ達に近い。
     : ……斥候ご苦労、ヒューイ。
       で、どうだった。
 ヒューイ : 概ね予想通りだ、姐さん。
        三人が三人、準備万端で
        待ち構えているぜ。
      : ダーカーどころか
        人っ子一人通す気なさそうだ。
      : っておおっ! 君は君たちは!
        よくぞここまでやってきた!
        さあ、次の相手はこのオレ……
      : って、そういう状況じゃないな。
        お互いに。
      : よくここまで来てくれた。
        ……それと、道中助けに
        行けなくて、すまない。
      : 言ってしまえば
        同じ六芒均衡の暴走に近い
        ものだっつーのに、だ。
 マリア : ……だから、アタシたちが
       止めてやるんだよ、ヒューイ。
 エコー : ○○!
       待って、待って待ってっ!
     : はあっ、はあっ……
       よ、ようやく追いつけた!
 マリア : アンタ達を狙って、という
       感じじゃないね……
       なんだ、知り合いかい?
     : この二人を問いただす気なら
       全部片が付いた後にしてもらえるかい。
       そんな暇はないんでね。
 エコー : そんなことをしにきたわけじゃない。
       あたしには、あたしの目的がある。
     : あたしとゼノ……ううん、あたしは
       ずっと、この子を見てきた。
       してきたことも、何もかも。
     : だから、何か理由があるってことも
       わかる。それが今やらなきゃ
       いけないことっていうのも、わかる。
     : だからあたしは
       ○○の
       やることを手伝うの。
     : それが、あたしのよく知ってる
       お節介な先輩ってやつが
       この状況でやりそうなこと、だからね。
 マリア : ……絶対令を弾いてる。
       思わぬ所に逸材がいたもんだね。
       ああ、そうか、この子が……
     : よし、あんたもついてきな。
       ただし、自分の身は自分で守る。
       ここから先は、桁違いだよ。
 エコー : ……わかってる。

 A.P.238/7/7/10:20
 エコー : ……な、なんか寒気がするんだけど
       急に冷えてきたりしたのかな?
 マトイ : ……○○
       わたしもなんだか、寒い
       ……ううん、怖い感じ?
 ヒューイ : ……! 下がれッ!
 エコー : て、テクニック!?
       そんな、一体誰……!
 マリア : 誰、なんて問うまでもない。
       マザーシップに侵入した者を
       討ち滅ぼす、最強の番人。
     : それは当然、アークスにおける
       最大戦力こそ、相応しい……
 エコー : そ、それって……
 ヒューイ : ぶはっ!
      : おいおい、久々に会えて
        喜んでくれてるのか?
        随分手洗い挨拶してくれるな!
      : なあ、クラリスクレイス!
 エコー : カスラさん……
 カスラ : これはこれは、エコーさん。
       ご無沙汰しています。
     : ところで、貴方の隣にいらっしゃる方
       アークスの敵と通達したはずですが……
       どうして、殺らないんですか?
 エコー : ……この子は、後輩だからよ。
       後輩を守り通すのが、先輩なの。
 レギアス : ……久しいな、マリア。
 マリア : 出来るならこういう形で
       会いたくはなかったよ、レギアス。
     : アンタの頑固さは
       知ってたつもりだったけど
       よもやここまで融通が効かないとはね。
 レギアス : そちら側に立つ、ということは
        敵対の意志あり、と受け取るが?
 マリア : 意志も何も、その通りさ。
       六芒均衡は、馴れ合いじゃない。
       それはアンタが一番知ってるだろ。
 レギアス : ならば、もはや問答は無用。
      : アークスに……害なす存在を討つ。
        それが、三英雄だ。
 マリア : そういう思い上がりを止める。
       そのために、アタシ達
       六芒均衡の偶数番がいるんだよ。

 A.P.238/7/7/11:00
 レギアス : ……衰えてはいないようだな。
 マリア : それはこっちのセリフだよ。
       事務仕事ばかりしてたんなら
       ちょっとは鈍ってろ。
 クラリスクレイス : ……ヒューイ。
            お前はどうして、そっちにいるんだ。
            私は、こっちにいるのに……!
 ヒューイ : クラリスクレイス……
        まだ、クラリッサの声を
        聞いているのか……?
 カスラ : ……誰も彼も攻めあぐねていますね。
       本気でぶつかるわけにもいかず
       といった感じですか。
     : まあ、レギアスとマリアさんが
       本気でぶつかったら、ここが消える。
       そんな事、するわけがない。
     : クラリスクレイスも、アークスとの
       戦闘なんて考えていなかったでしょうし
       ま、仕方がないでしょうね。
     : そういう意味では、一番効率よく
       戦えそうなのは私なのですが……
       いやはや、そう上手くはいきませんね。
     : ○○さん。
       そちらのお嬢さんも見事なお手前です。
       皆が一目置くのも、頷ける。
     : ですが、そちらのかたは
       正直、期待はずれと言いましょうか……
       分不相応と言いましょうか……
 エコー : うるっ……さいっ……!
 カスラ : 才を見れば、補助役が適性なのに
       接近戦闘を試みるとは……
       ゼノさんの真似でもしているんですか?
     : 彼だって、本来の適性を伸ばしていれば
       【巨躯】との戦闘にあっても
       遅れは取らなかったでしょうに……
     : ○○さんの
       傍にいる方々は、こぞってこのように
       足を引っ張ってしまうんですね?
 エコー : ……でも、それじゃあ
       誰も守ることができなかった。
     : ゼノは生き残れたかもしれない
       けど、他の人を守ることができない。
       それじゃ、意味がないの。
     : だからゼノは、前に立ったのよ。
       銃じゃなくて剣を持って
       誰よりも前に、前にって……
     : たとえ、貴方の言う通り
       それが枷になっているのだとしても
       ……その志を否定させたりはしない!
 カスラ : ……貴方の言わんとしていること
       わからなくもないです。
     : ですが、易々と挑発に
       乗ってはいけません。
 エコー : ……ゼノっ!
 ゼノ : ……よく言ったぜ、エコー。
    : ……いや、恐ろしいぐらいドンピシャ。
      悠長なあいつら置いてきて
      正解だったな。
 レギアス : ……あれは!
 マリア : ……はっ、やっと来たね。
 クラリスクレイス : あの紋章は……六芒の、四?
            そんな、空席だって
            言ってたのに……!
 ヒューイ : クラリッサの言うこと全てが
        正しいってわけじゃないんだよ
        クラリスクレイス。
 エコー : あっ…………
 ゼノ : よう、○○
      それに、エコーも。
      久しぶりだな。
 エコー : …………
 ゼノ : 悪いな、来るのが遅れちまって。
      この武器、なかなか言うこと聞かなくて
      ギリギリになっちまった……
 エコー : …………
 ゼノ : ……おい、エコー?
      エコー? エコーさーん?
 エコー : ゼノ……
 ゼノ : おっ、やっと反応した。
      なんだよ、久々で顔でも忘れたのかと
      思ってちょっと焦ったぜ。
 エコー : っ!
 ゼノ : ってえ! なにしやがる!
 エコー : バカ! バカバカ! バカッ!
       生きてたんなら連絡しなさいよ!
       すぐに帰ってきなさいよ!
 ゼノ : う、うっせえな!
      こっちにだっていろいろ
      事情はあったんだよ!
    : 何度も何度も殺されかけたんだぞ
      姐さんに!
 マリア : 人聞きの悪い。
       勝手に死にかかっただけじゃないか。
 エコー : そんなの知らないわよバカ!
       あたしが……あたしがどれだけ
       待ったと思ってるのよ!
     : どれだけ寂しかったと思ってるのよ!
       どれだけ怖かったと思ってるのよ!
     : どれだけ……怖かったと……
       思ってるのよ、このバカ……っ!
 ゼノ : ……すまん。
    : 今はこれで許してくれ。
      お前にこっぴどく怒られる前に
      やらなきゃならんことがある。
    : ……それに、お前もう
      これ以上はきびしいだろ?
 エコー : ……ははっ。
       やっぱ、ゼノには隠せないか。
 ゼノ : 柄にもなく頑張りすぎなんだよ。
      ……あんまり、無理すんな。
 エコー : ……うん。
 ゼノ : おい嬢ちゃん、すまないが
      エコーのことを頼めるか?
 マトイ : あ、は、はいっ!
 エコー : ……ゼノ!
 ゼノ : ん?
 エコー : 表舞台は久々なんでしょ?
       だったら、思いっきり!
       やっちゃいなさい!
 ゼノ : おう!
    : 久しぶりだな、カスラさんよ。
      銃口向けての再開ご挨拶とは
      想像もしなかったけどな。
 カスラ : こちらこそ、ですよ。
       まさか、あの状況で
       生きていらっしゃるとはね。
 ゼノ : ○○の
      おかげでな、ぎりぎり命を
      拾わせてもらったんだよ。
    : だから、こいつには
      返しきれない恩がある。
 カスラ : 新たなる六芒の四……
       ……いつ以来なんでしょうね
       こうして、偶数番が揃うのは。
     : そしてその手の戒剣ナナキ。
       まさか、それを持てる人物が
       現れるとは思いませんでしたよ。
 ゼノ : だろ?
      オレがハンターやってたのも
      無駄じゃなかったってことだよ。
 カスラ : ……違いない。
       先の発言は撤回させてもらいますよ。
       ここからが本番のようですね。
     : 謳え燐具……フローレンベルク。
 ゼノ : ○○。
      ……奴さんはやっと本気みたいだ。
    : じゃあ、こっちはこっちで
      先輩後輩、息の合ったところを
      見せつけてやろうぜ。
    : 響け戒剣……ナナキ!
 ヒューイ : ……なあ、クラリスクレイス。
        お前、今、楽しいのか?
 クラリスクレイス : …………
 ヒューイ : いつもお前、言ってただろ?
        楽しいことをやりたい、って。
        今はどうなんだ? 楽しいのか?
 クラリスクレイス : …………っ!
 ヒューイ : おい、聞いてんのか……?
        答えろよ、クラリスクレイス!
 クラリスクレイス : うるさい、うるさいうるさいうるさい!
            私を惑わすな! 私を困らせるな!
            私にはクラリッサがいればいいんだ!
          : クラリッサが全部教えてくれる……
            それに従ってればいいんだ!
            間違ってなんか、ないんだっ!
 ヒューイ : ……そうか。
      : じゃあもう、遊びは終わりだ。
        オレは六芒の六として、六芒の五
        クラリスクレイス、貴様を止める。
      : 目覚めろ破拳……ワルフラーン!
      : 心に刻め、クラリスクレイス!
        これが、敵対するってことだ!
 クラリスクレイス : う……うううっ、ああああっ!
            クラリッサぁっ!!

 A.P.238/7/7/11:30
 カスラ : っとと。流石、やりますねゼノさん。
       伊達に四を継いだわけではない
       ということですか。
 ゼノ : よく言うぜ。地獄の特訓の成果を
      飄々といなしやがって。
    : ……ようカスラさん。
      あんた、ケリつける気ねえな。
    : さっきのエコーとの時もそうだったろ?
      今度は何を待っていやがる。
 カスラ : さて、何でしょうね……
 クーナ : よし、よしよしよーっし!
       クラック成功ッ!
     : あっ……えーっと、コホン!
     : はーい、アークスのみんな!
       皆のアイドル、クーナです!
       ちゃーんと聞こえてるかなー!
     : 任務で忙しい? まあそう言わずに
       あたしからのメッセージ
       受け取って、くれるかなっ!
 エコー : こ、これって
       情報改竄の証拠……?
 カスラ : 人体実験やクローンのデータまで……
       奮発してくれますね、クーナさん。
 クーナ : 届いたかなー? 見たかなー?
       見た感想は、いかがかなー?
     : なんとなんと、敵性存在の証拠は
       全部が全部、嘘っぱち!
     : まあ、気付いてる人もいたみたい
       だけど、みんなさくっと
       騙されちゃってたよねー!
     : ほかにも、知らない情報が目白押し。
       アークスが……虚空機関が裏で
       やっていたことなどいーっぱい!
     : 嘘だと思う? デタラメだと思う?
       だったら、ここにいるあたしは
       何かな? そこに書いてあるでしょ?
     : みんな……
       いい加減目を覚ませ!
     : 都合の良い現実ばっか
       見てるんじゃないっ!
       その目で見て、その頭で考えろ!
     : どこに、どこの世界に!
       敵よりも優先して味方を叩け
       なんていう組織がある!
     : 本当の敵? 何をすればいい?
       うっさい知るか! 自分で考えろ!
     : 自分で考えることすら許されない
       そういう人だって、いるんだ!
     : いい、この放送を聞いてる
       アークスのみんな!
     : みんなはね、コマじゃないの!
       ひとりひとり、生きている人!
     : だから、他人から
       言われるままじゃなく……
       考えて! 自分の心で!
     : 本当の敵が、誰なのか!

 A.P.238/7/7/11:30
 ルーサー : やあ、レギアス、聞こえるかな?
        いやはや、すごい放送だったね。
      : 彼女、偶像として従順に活動を
        続けているな、と思っていたら
        なるほどこの時のためだったのか。
      : 彼女がここまで頑張るなんて
        僕としては予想外で楽しいよ。
 レギアス : ルーサー……用はそれだけか。
        こちらは交戦中だ。
 ルーサー : ああ。ああ。
        もちろんそれだけじゃあないよ。
      : なんだか君達が苦戦している
        みたいだったからね。
        差し入れを送っておいたのさ。
      : もう、僕にはいらないものだ。
        斬ろうが壊そうが
        好きに使ってくれて構わないよ。
 ヒューイ : ……!
        全員、防御しろッ!
 クラリスクレイス : …………え?
 ルーサー : 無事届いたようだね。
        それ、作ったはいいけど
        調整がとっても面倒でね。
      : まとめて処分できる
        タイミングを探してたんだ。
        いやあ、渡りに船というやつだ。
 レギアス : ……ルーサー! 貴様ッ!
 ルーサー : 僕が憎いかな?
        しかし、僕はダーカーじゃないぞ?
      : ダーカーを殺すために作られた
        君たちが、ダーカーではない僕を
        そんなに憎んで、いいのかな?
      : それじゃあね、レギアス。
        くれぐれも、僕と彼女の逢瀬を
        邪魔しないでくれたまえよ?
 レギアス : …………
 カスラ : クラリスクレイスタイプの
       クローン全機投入ですか……
       派手な真似をしてくれる。
 クラリスクレイス : あれは、何だ、何なんだ……
            あんなの知らない、私は知らない!
          : わた……私は、ここにいるぞ?
            じゃあ、あそこにいる私は誰だ?
          : 貴様は……誰だ?
            誰なんだ?
          : 教えて、教えてよ、クラリッサ。
            クラリッサ……クラリッサぁっ……
          : 答えてよ、クラリッサ……!
            どうして黙ってるんだ……
            なんでも教えてくれただろ……
          : いやだ、イヤだ、嫌だ!
          : 怖い、怖い、怖い怖い怖い……
          : 助けて……誰か……助けて……
          : 助けて…… 
            …………助けて、ヒューイ。
 ヒューイ : オレを呼んだかクラリスクレイス!
 クラリスクレイス : ヒューイ……!
          : わたっ、私、私はっ……!
 ヒューイ : ……ああ、もういいぞ。
        我慢しなくていい。
        ……辛かっただろう。
      : 今は何も考えず、ゆっくり眠れ。
      : ……おい、レギアス。
        あんたまさかこの期に及んでも
        アークスの保全を、とか言わねえよな。
      : というか、言わないでくれよ。
        言ったらあんた、殺すぞ。
 レギアス : ……彼の者の持つ絶対的な権限から
        どうやって脱却すればいいのか。
        それが可能なことなのか。
      : その手段を見いだせないからこそ
        私は従っていた……従うしか
        この形を保つ術が無かった。
      : だが……!
      : このかりそめの平衡。
        ……もはや保つ価値はない!
      : ○○。
        君は、この奥へ進め。
        己の目的を果たせ。
      : ……各員、攻撃対象を
        クラリスクレイスクローンに定めろ。
        一体も通すな。
 カスラ : ……劣化しているとはいえ
       彼女と同じ力を持つクローン。
     : 武装も模倣創世器、灰錫クラリッサII
       ……面倒ですね。
 レギアス : ああ……だが、面倒なだけだ。
        アレに意志は無い。全て壊せ。
 ヒューイ : ……言われるまでもない!
 カスラ : ……ルーサーはアークスから
       完全に興味を失ったようですね。
       研究室も応答無し、と。
     : 我々を恐れているからこそ
       首輪をかけていたハズですが……
       悲願成就を前にして、増長したか。
     : 超然とした態度を見せていながら
       やはり最後には、人が出るんですね。
       ……反吐が出ますよ、本当に。
 マリア : こうしてアンタと並び立つのは
       何年ぶりなんだろうね。
       十年前にもなかったはずだ。
 レギアス : ……巨躯戦争以来、だろうな。
        長きにわたる雌伏と後進の育成
        感謝するぞ、マリア。
 マリア : アタシは自由に動いてただけだ。
       褒められるべきは、全てに
       耐えていたアンタさ、レギアス。
     : ……さあ、出番だ。
       来な、ラビュリス!
 レギアス : 始めよう、世果。

 A.P.238/7/7/12:00
 マトイ : ……ここが、中心部。
       でも、まだ奥があるみたい。
       もっと奥なのかな?
 シオン : ……待っていた、二人とも。
       よく、ここまで辿り着いてくれた。
     : ……わたしに残された時間は少ない。
       それは、アークスに残された猶予と
       同じものを意味する。
     : 許す限りの力をもって
       これより先、わたしが導こう。
       わたしの内、わたしの中へと。

 A.P.238/7/7/12:20
 マトイ : ……○○。
       何かに見られているような
       感じがしない……?
 シオン : ……それはおそらく
       わたしたちの意識だろう。
     : 周囲に見える海。
       そこに、すべての意識がある。
       わたしたちの、意識だ。
 マトイ : ……わたしたちの、意識?
 シオン : かつて、フォトナーと呼ばれ
       わたしと交流を持ち、栄華を極め
       そして没落したものの、成れの果て。
     : 人であることを諦め、それでも生を望み
       わたしと共になることを選んだ
       ……フォトナーたちだ。
 マトイ : えっと……この海が
       生きてるってこと?
 シオン : 海とは、元来生きているものだ。
       生命の創造は、原初より海からであり
       わたしもまた、そうだった。
     : ぽつんと存在した、海だけの惑星。
       海だけしかなかった、惑星。
       ……ふいに、そこへ知識が生まれた。
     : 知識を得たその海は
       過去から今までを……
       森羅万象を演算し、全てを知った。
     : 全てを演算しつくした
       宇宙の観測者。
     : フォトナーはその海と出会い
       そして、その海に名を付けた。
       その名こそ、シオンという。
     : フォトナーたちと出会い
       わたしは観測者であることをやめた。
     : わたしは彼らの言葉を覚え
       積極的に交流をはかった。
       彼らを、理解しようとした。
     : この姿も、そう。
       最初に触れたフォトナーの姿を
       真似たものだ。
     : はじめてこの姿を見せたときの
       彼らの驚きようは……楽しかった。
       演算では得られない、ものだった。
     : わたしは彼らに願い
       わたしを……惑星自体を包み込む
       外装を作り、動けるようにした。
     : それが今、マザーシップと呼ばれる
       この巨大な移動惑星だ。
     : これを作ったのもすべて
       フォトナーたちが為すことを
       見届け、共に歩むため。
     : ……そうだ、わたしは
       浮かれていたのだろう。
     : わたし以外の存在と出会えたことが
       嬉しかったから……間違った。
     : 観測者であることを忘れず
       交流も、接触もしなければ……
       このようにはならなかったはずだ。
     : フォトナーはけして悪ではなかった。
       彼らの行いは全体から見れば
       尋常ならざる進化を呼んだ。
     : フォトナーがいなければ
       ダーカーは産まれなかっただろう。
       だがアークスも、生まれなかった。
     : そう、フォトナーは欲深く
       好奇心旺盛で、適度に怠惰で傲慢な
       ……正しい、人のあり方だった。
     : 観測者であることをやめ
       彼らにフォトンの知識を与えた
       わたしの行いこそ、間違いだったのだ。
 マトイ : ……でも、それじゃ寂しいよ。
 シオン : それは、わたしには
       理解しかねる感情だ。
 マトイ : そんなことない。
       シオンさんにだって、わかるはず。
     : わたしは……わたしは寂しかった。
       怖かったし、辛かった。
       誰かに助けてほしかった。
     : ○○が
       助けに来てくれたのは、その時。
     : わたし、なにもかも忘れてたけど
       ○○の
       名前と、その時の嬉しさは覚えてる。
     : シオンさんだって、同じだよ。
       フォトナーと会えて、嬉しかったんだ。
       ひとりぼっちは、寂しかったんだ……
     : そう。
       シオンさんは、寂しかったんだよ。
 シオン : ……君は……まさか
       わたしの縁者として、記憶を……?
 マトイ : ううん、そう感じるだけ……
       シオンさんの思いを、感じるの。
     : 寂しかったから、声をかけた。
       それはなにも間違ってない。
     : 間違ったのはきっとそのあと。
       シオンさんだって、そう思ってる。
     : だから、その間違いを正すため
       ○○と
       わたしを会わせてくれたんでしょ?
 シオン : ……ああ、そうなのか。
       最初にあった、欠落感。
       あれは……寂しさだったのか。
 マトイ : ……シオンさん!
     : ○○!
       はやく、奥に進もう!

 A.P.238/7/7/13:00
 テオドール : ……ああ、本当だ。本当に来た。
         ルーサーさんの言う通りだ。
         あの人の言うこと、正しいんだなあ。
       : ……貴方、この奥に行くんですよね。
         でもだめです、ここは通しません。
         そう約束しましたから。
       : ……約束を守ったら、約束を果たす。
         ルーサーさんはそう言ってくれました。
       : あの人は、正しいことしか言わない。
         ……だから通しませんよ、絶対に。
       : 僕も、約束を守って……守って……
         彼女を、戻してもらうんだ。
       : 彼女を、生き返らせてもらうんだ。
         そう約束した、約束したんだ……!
     >そんなこと出来るわけがない
 テオドール : うるさいッ!
         僕は、そんな言葉が
         聞きたいんじゃない……!
       : 僕はただ……
         彼女の言葉が、聞きたいんだッ!
     >ウルクのことなら……
 テオドール : うるさいッ!
         僕は、そんな言葉が
         聞きたいんじゃない……!
       : 僕はただ……
         彼女の言葉が、聞きたいんだッ!

 A.P.238/7/7/13:30
 テオドール : ぐっ……ふ、うっ……ははっ!
         ダメです……ダメですよ……
         絶対にこの先へは行かせません……!
       : 約束したんですよ、誰も通さないって。
         そうすれば、彼女が戻ってくるって……
       : はは……そんな顔しないで下さいよ。
         わかってます……わかってますよ……
         ぼくがいいように使われてることも。
       : 彼女がもう戻ってこないことも……!
       : でも……だったら……?
         だから? どうしたんです!
       : 彼女がいないのなら、意味はない。
         ぼくだって、どうなってもいい……
         どうだって、いいんだ……
 ウルク : テオっ!
 テオドール : えっ?
       : ウル……ク……?
       : はは、いや、そんなはずはない……
         彼女は死んだんだ、いるはずないだろ?
         そうだろ、テオドール……?
       : 彼女はもういない、戻ってこない。
         そんなの、ぼくが一番わかってる……!
       : あれは幻だ、そうだ幻だ。
         わざわざ彼女の姿をしてまで……
         ……愚弄、しやがって!
       : 消えろ! 消えろ消えろ消えろぉッッ!
 ウルク : ああっ!
     : ……動かないで!
       だいじょうぶ……
       ……わたしに、任せて。
     : テオ……
 テオドール : 誰だ! お前は、誰だ!
       : 彼女のふりをして……
         もういない……彼女の……!
       : バカにしやがって!
         バカにしやがってェッ!
 ウルク : うあっ!
     : ううううっ……!
       ぐぐぐぐうう……っ!
     : ……これが、戦いの痛み?
       なによこれ、めっちゃくちゃ
       痛い……じゃない……ッ!
     : なのに、わたしはずっと
       そんな場所にあなたを
       無責任に送り出してたんだね……
 テオドール : なんなんだ……なんなんだよ……!
         今更彼女の姿なんて……
         見たくないんだよ、ぼくは……!
       : こんなになっちゃったぼくの姿を
         見られたくないんだよ……ぼくは!
       : 誰だ、誰だよこんなこと……!
         こんなひどいこと……誰が……
         もう、やめてよ……!
       : ……ぼくは、約束したんだ!
         彼女のかわりに……彼女のために……
         戦って、戦って、戦って……!
       : 彼女はもういない……いないけど……
         彼女に、無理をさせないために
         約束だけは……守るんだぁッ!
       : はーっ、はっ、はあっ、はあっ!
       : は、はは……あはは、ははははっ!
       : ぼ、ぼくは……ぼくは……
 ウルク : テオ。
       もういいよ。
     : わたしとの約束、忘れていい。
       守れなくても、怒らない。
       怒らないから、さ……
     : だから……戻ってきてよ。
     : お願いだから、戻ってきてよ。
 テオドール : ……ウルク?
 ウルク : ……や、こんちわ。
       それとも、ただいまかな?
       おかえりなさい、かもね。
 テオドール : き……きみは……
         ぼくは……その怪我は……!
 ウルク : うるさい、細かいこと考えるな!
 テオドール : ウルク……
         ああ、ウルク……!
       : ごめん、ごめんなさい……!
         ぼくは、きみに何て事を……!
 ウルク : いいのテオ。
       これはいいの。
     : わたしが知らなかった
       あなたの痛み、ようやくわかった。
     : ごめんなさい……テオドール。
       あなたはずっと、この痛みに
       ひとりで耐えていたんだね。
     : ……もう、休んでいいよ。
       ちょっとぐらい、さぼろう。
       そうしないと、割に合わないよ。
 テオドール : ウルク……ぼくは……
         ぼくは……っ……
 ウルク : 昔っからそう……
       誰にも何も言わないから、限界まで
       勝手に突っ走っちゃって……
     : ほんと……変わらないわね。
       わたしが見ててあげないと
       だめなんだから……
 サラ : ちょっとウルク!
      勝手に先に進むとか
      死にたいの!
    : ……って、あんた!
      なにやってんのよ!
 ウルク : ……あ、ごめんなさい、サラ。
       わたしもちょっと、もう限界。
     : ……起きたら、いくらでも
       二人一緒に怒られるから
       今はちょっと、休ませて……
 サラ : ちょっと!
      ……無茶しすぎよ、バカね。
    : この子たちはあたしに任せて。
      それよりこの、中枢へ繋がる扉を
      どうやって突破するか、よ。
    : 正真正銘、最後の扉だから
      生半可なやり方じゃ開かないわよ。
    : 力技じゃまず無理。
      誰かを入れる、というのが
      そもそも例外な場所なんだから。
    : 貴方、シオンの縁者でしょ。
      開け方とか、聞いてないの?
 マトイ : 縁者とか……急に言われても
       わたしには、なにも……
 シオン : ○○……
       そして、マトイ……
       わたしの、選んだひと。
 マトイ : シオンさん!
       この奥にいるんでしょう!
       ここを開けて!
 シオン : そこより奥は中枢。
       わたしの内、マザーシップのコア。
       鍵を持つ縁者のみが、導かれる。
     : ……奥へ至る、鍵をその手に。
       それは、そこにありしもの。
       ……貴方が、持つべきもの。
 マトイ : わたしが、持つべきもの……
 シオン : 誰もが探し求め、貴方が掴み取り
       修繕を終え、しかして失われたはずの
       彼女が持つべきものの名。
     : すべては、このとき、ここで
       彼女の手に呼び戻すために
       導かれた……その名は……
 マトイ : ……クラリッサ。
     : そう。
       来たれ白錫……クラリッサ。
     : ……行こう。
       ○○。
     : シオンさんが
       わたしたちを呼んでるんだ。
 サラ : ○○。
      それに、シオンの縁者。
    : あたしたちの仕込みはここまで。
      ここから先は、正真正銘
      予想不可能のぶっつけ本番よ。
    : だから……ええっと……
    : 頑張ってきなさい!
 マトイ : はいっ!

 A.P.238/7/7/14:00
 ルーサー : ……ここは不可侵の場だよ。
        どうやって入ってきたんだい?
      : それは……クラリッサか?
        僕の作った紛い物じゃない。
        ……本物、まだ残ってたんだね。
      : それを手にする君は……
        なるほど、なるほど
        そういうことか。
      : シオン、君は君なりに
        動いていたんだね。
        全て無駄なのに、よくやるよ。
 マトイ : し、シオンさんを離して!
 ルーサー : ……離す?
        ふふふっ、おいおい
        何を言ってるんだい?
      : 僕と彼女はもう二度と離れない。
        離れることなんて、ない。
      : 僕はね、ついに彼女を理解した。
        彼女と完全にひとつとなり
        ……今こそ、全てを識る。
 マトイ : ……あなたは、何を言ってるの。
 ルーサー : 君達こそわかっているのか?
        自分たちの目の前にいた
        彼女が、なんなのかを。
      : 演算する海が生まれた意味。
        それは、宇宙の記憶保持、全演算……
      : ……そう、彼女こそ
        全てを識る存在!
      : フォトナーが……
        いや、僕が追い求めた
        宇宙の理そのものだ!
      : アークスも、ダーカーも
        ありとあらゆる研究や実験は
        この時この瞬間を迎えるためのもの!
      : すべてはこの時のため
        彼女を理解し、一緒になるため……
        そして、ようやくだ!
      : 僕は、彼女とひとつになる!
        森羅万象を識る存在に!
 マトイ : そんなこと、させない……!
 ルーサー : アークス風情が、頭が高いよ。
        まずは、跪きたまえ。
 マトイ : か、身体が……
       地面に引っ張られてるみたいに……!
 ルーサー : おや、レギアスから聞いてないのかい?
        僕は全ての管制を掌握している。
        重力をいじくるのだって簡単さ。
      : わかるかな、アークスくん。
        もとより君たちの命運は
        ずっと僕が握っていたんだよ。
      : 君たちがいままで
        生きながらえていたのは
        僕の気まぐれにすぎない。
      : 僕がシオンと一つになった今
        アークスは、用済みだ。
 ブリギッタ : ……アークスシップ管制、全喪失!
         生命維持システムにも異常を感知!
         各艦の環境設定が書き換えられて……!
 メリッタ : そそっ、そんなそんなっ!
        動力炉の異常加熱も感知っ!
        言うことききません! 制御不能!
 ヒルダ : わめくな!
       どうにかするしかない!
       諦めたら……全員死ぬぞ。
 ルーサー : レギアスたちが身を捧げてまで
        守ろうとしたアークスがこの様だよ。
        ふふっ、はははははっ!
      : 君たちが刃向かおうとしなければ
        あるいはもう少し長生きできた
        かもしれないのに、残念だったね?
 マトイ : ……どうして、こんなことを。
       わたしたちを、何だと思ってるの!
 ルーサー : 何だと言われても、君達アークスは
        もともと、僕たちフォトナーの
        玩具じゃないか。
      : 君達だけじゃない。
        この宇宙に広がる全てのものは
        僕にとっても実験場で、遊び場だ。
      : そして、玩具は
        遊び終わったら片付ける。
        ……それは当たり前のことだろう?
      : さあ、シオン……
        惑星シオンよ、僕とひとつに……!
      : ……素晴らしい。
        素晴らしい、素晴らしいぞこれは!
      : 頭の中を、知識が駆け巡る!
        ああ、ああ! 破裂してしまいそうだ!
        この知識の奔流に!
 マトイ : シオンさん……っ!
     >諦めずに立ち向かう
 ルーサー : なんだ? まだ刃向かう気かい?
        アークスは本当に無駄な努力が
        好きで困るね。
      : 最後には、その往生際の悪さが
        彼女にまで伝染していた……
        ほんと、迷惑なんだよ。
     >このままでは終われない
 ルーサー : なんだ? まだ刃向かう気かい?
        アークスは本当に無駄な努力が
        好きで困るね。
      : 最後には、その往生際の悪さが
        彼女にまで伝染していた……
        ほんと、迷惑なんだよ。
     >ここまでなのか……
 マトイ : ○○……!
       ……あなたのやってきたことは
       間違ってない、はずだからっ……!
 ルーサー : なんだ? まだ刃向かう気かい?
        アークスは本当に無駄な努力が
        好きで困るね。
      : 最後には、その往生際の悪さが
        彼女にまで伝染していた……
        ほんと、迷惑なんだよ。

      : ……理解できないな。
        すでにシオンはいないんだぞ?
        一体何が君を揺り動かす?
     >約束をした
      : シオンとの約束?
        先に行かせてくれた皆との約束?
        どちらもくだらないね。
     >これで終わりには、させない
      : シオンとの約束?
        先に行かせてくれた皆との約束?
        どちらもくだらないね。
     >……わからない
 マトイ : 送り出してくれたみんなと……
       ここまで導いてくれたシオンさんと
       約束……したから……っ!
 ルーサー : シオンとの約束?
        先に行かせてくれた皆との約束?
        どちらもくだらないね。

      : そんなもの、全知の前には
        等しく無価値だというのに!
 シオン : ……いいや
       全知こそ、くだらない。
 ルーサー : な……身体が……!
      : し、シオン……!
        君か、君なのか……!
      : 流れ込んでくる……
        この、思考……!
        シオンの……もの!?
      : シオン!
        君は、君はまさか……!
 シオン : ○○
       あの時言えなかった
       あなたへの、最後の依頼だ。
 ルーサー : やめろ……シオン……!
        そんなことを考えるんじゃない!
      : 僕の知っている君は……
        僕があこがれた君は……
        そんなことは考えない!
 シオン : ○○。
       わたしを、その手で……
     : その手で、殺せ。
     : 今この時しか無い。
       ルーサーがわたしと一つになろうと
       しているこの時しか、ないのだ。
     : 管制を司る彼が、演算を司るわたしと
       融合を果たしたこの時ならば
       ……アークスとの繋がりを断ち切れる。
     : たとえ、ルーサーの身体が残ろうとも
       内にいるわたしが消えれば
       彼の目的は全て潰える。
     : ……○○。
       わたしの識る、最後のアークス。
       わたしの依頼を、果たしてくれ。
 ルーサー : バカな……!
        バカなことはよせ、シオン!
      : 君が死ねば、すべてが終わる!
        オラクルとは、そういうものだ!
        君ありきのものだ!
 シオン : だが、このままでも
       アークスが死ぬだろう?
       そういう天秤の話ではないよ。
 ルーサー : くっ、くそっ! やめろシオン!
        君を殺すなんて、そんなことをしたら
        どうなるのか、わかってるのかぁッ!
 シオン : ……今更何を言っている
       ルーサー。
     : 未来というものは
       どうなるかわからないから
       ……楽しいんじゃないか。

 A.P.238/7/7/15:00
 ルーサー : そんな……こぼれていく……
        手にしたはずの、知識が……!
      : ああ……ああ……あああっ!
        全知が、宇宙の理が……
        僕の中から……滑り落ちていく!
      : ……終わりだ。全て終わりだ。
        オラクルの核たるマザーシップが
        シオンが失われてしまった……
      : わかっているのか貴様ら……
        自分たちが何をしたのか……
        わかっているのかァッ!
      : 宇宙にとってかけがえのない
        唯一無二のシオンを、失う!
        この意味が! この意味がぁ!
      : 貴様らが、貴様らが貴様らが貴様らが
        彼女を、手に、かけたから……!
 ヒルダ : ……管制、全回復!
       艦内機構、全て正常値!
       各員、全機能のチェックを急げ!
 ルーサー : な!?
        ……どういう、ことだ!
      : シオンが失われた今
        何が、演算の代わりを……

 シャオ : ……管制、全掌握。
       全回線、全演算機構、正常に移行……
       システム、シャオへ書き換え……了。
     : これで、終わり。
       ……ぼくたちはやりとげた。
       やりとげたんだよ、シオン。
     : ……あとは任せて
       ゆっくり、休んでください。

 A.P.238/7/7/15:10
 ルーサー : くく……ふふふ……はははっ!
        あははははははははははははは
        はははははははははははは!!
      : よくもよくもよくもよくもよくも!
        僕を! 僕を! 僕を出し抜いたな!
      : 全知を……僕のシオンを……
        この手から、この手から滑り……
        おお、おおおっ……!
      : ……許さない、許さない。
        許さん許さん許さん許さん!
        貴様だけは、貴様だけはァッ!!
 シャオ : マザーシップ内に反応……?!
       大きい……ただのダーカーじゃない!
       ○○!
     : ルーサーが変異……?
 ルーサー : ……○○!
        貴様は、貴様達だけは
        僕が、僕が僕がこの手でェッ!
 マトイ : ○○っ!
 ルーサー : ふは、ふははははふはっ!
        死ね死ね死ね死ね殺す殺す
        殺してやるァァァッッッ!
 クーナ : はっ、はっ……はぁっ!
       間に合い……ましたね……!
 ゼノ : ○○!
      嬢ちゃん、無事か!
    : って……おいおいなんだよあいつ。
      先に行けとは言われたが
      あんなのの話は聞いてねえぞ!
 ルーサー : 貴様らも、貴様らも貴様らも!
        僕に! 逆らうか! 僕に!
        この、ルーサーに! 【敗者】にッ!
 【敗者】 : そんな解は必要ない!
        答えは僕の望むままであるべきだ!
        それに沿わないものは、死ね!

 A.P.238/7/7/15:30
 【敗者】 : ふふふ……ははははは……
        時には、戦いもいいものだな……
        解が、解が見えたぞ新たな解が!
      : そうだ、全知になれないのなら……
        僕自身が全知となればいい!
      : この宇宙のすべてと融合し
        宇宙が僕となれば、それは
        全知と呼べるものになる
      : ああ、そうだ、証明の必要もない。
        完璧で完全な解じゃあないか……
        ふふ……はははははっ!
 ゼノ : こいつ、フォトンをかき集めて……?
      あの時のゲッテムハルトと同じか!
    : このままじゃ巻き込まれる!
      一旦退くぞ!
 【敗者】 : 退く? 退くだと?
        冗談を言うな、落第者。
      : 全知へ至る最初の一手、それは
        ここまでコケにしてくれた貴様らを
        喰らうこと、それは自明だろうがァッ!
 マトイ : ああっ!
 【敗者】 : ぐ……!?
        シオンの海……どういうことだ!
        なぜ、僕の邪魔を……!
      : まさか、シオン?
        否、違う、この不快な意識の集合体
        ……フォトナーどもか!
      : 有象無象が! 何故邪魔をする!
        貴様達とて、僕と同じものだろう!
        今更、何のつもりだァッ!
 シオン : ……○○
       そして、マトイ。
       聞こえているな……?
 マトイ : ……シオンさん!
       生きて……生きていたの!
 シオン : ……いいや、わたしはもういない。
       わたしはもう、世界から失われた。
     : 今のわたしは
       わたしたちが紡いでくれた
       残留した思念のかたまりだ。
     : ……時間もない、手短に伝える。
       わたしたちが奴を抑える。
       その間に、脱出しろ。
 マトイ : ダメ……ダメだよ!
       そんなことをしたら、あなたが……
       あなたたちが取り込まれちゃう!
 シオン : だが、そうすれば
       個の意志である妄執は拡散する。
       ……それが、わたしの最後の演算。
     : ……違うな。
       わたしたちは、言う。
       これは清算なのだと。
     : わたしも、わたしたちも、ルーサーも
       過去にとらわれ続けた、亡霊だ。
       だが貴方たちは、今を生きている。
     : ……だから進め。前だけを見て。
       振り返らず、立ち止まらずに……
       それがわたしとわたしたちの、願いだ。
     : ○○……
       マトイ……優しきわたしの縁者たち。
       ……思うがままに、未来へ走れ。
     : 最後の最後、今この時……
       わたしは、寂しくなかったぞ。

 A.P.238/7/7
 フィリア : ○○さん!
        マトイさん!
      : よかった、お二人とも
        無事だったんですね!
        本当に、よかった……
      : 私の集めていたデータが
        あんな形で利用されるなんて
        ……本当に、すみません。
      : マトイさん?
      : マトイさん!
      : ……大丈夫です。
        ずっと気を張っていたから
        疲れてしまっただけのようです。
      : マトイさんは私に任せてください。
        ○○さんは
        まだ、やることがあるはずです。






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