A.P.238/7/7/9:00
マトイ : ここが、マザーシップの中?
なんだろう……すごく懐かしい
そんな気もするけど……
シオン : 待っていた、二人とも。
: 事ここに至り、結末を迎える。
わたしから、貴方への
最後の依頼となる。
: マザーシップの中枢へと向かい
そこでわたしを……
そこにいる、わたしを…………
マトイ : シオンさん!
ルーサー : ……とうとう
この時が来たね、シオン。
僕たちが待ち望んだ、この時が。
: 長かった、長かったよ……
これでようやく僕は
君を……すべてを理解できる。
研究員A : 総長、準備が整いました。
ルーサー : ああ、そうかい。
ご苦労だったね。
研究員B : いえ、総長の悲願のためなら
この程度! これで、私たちも
フォトナーになれるんですよね!
ルーサー : ああ。
: これで君たちも用済みだよ。
: ああ、そうだ。
いらないのは枝葉だけじゃない。
害虫もいたんだったね。
: そう、もはや全て必要ない。
僕と君さえいれば、それでいい。
……それだけで、いいんだからね。
: 邪魔な枝葉は、害虫ごと
切り離すに限る。
君もそう思うだろう? シオン。
マトイ : シオンさん、どこ!
どこに行ったの!
シャオ : ……聞こえるかい。
ふたりとも。
マトイ : えっ、あなたは……?
シャオ : シオンの弟、で納得しておいて。
詳しいことを説明してる暇はない。
はじまってしまったんだ。
: 予定通りに事が進むなんて
最初から考えちゃいないけどさ。
向こうの動きが、予想より速い。
: 二人とも、気をつけて。
向こうの動きが予想できない。
何があってもおかしくは……
ブリギッタ : 敵性存在が
マザーシップへ侵入しました。
: 繰り返します、敵性存在が
マザーシップへ侵入しました。
: アークス各員へ敵性存在の
情報を……って、えっ?
レギアス : ……聞こえるか、アークス諸君。
六芒の一、レギアスだ。
: 緊急事態のため、唐突な連絡に
なってしまったことを詫びる。
: 混乱も必至だろう。
故に、私から説明を行う。
: ……まず、該当の敵性存在は
不可解な外部組織との接触を
持っていたことが確認されている。
: それは一度だけではなく
二度三度と行われていた。
: サポートパートナーへの
ハッキングを介しての交流も
解析された。
: ……それだけではなく
対話可能なダーカー種との
接触もみられたとのことだ。
: 絶対敵性存在であるはずの
ダーカーと、戦うことなく、だ。
: また、アークス内部に
未確認未登録の人員を配し
諜報活動を行ったとの報告もある。
: もちろん、かの者がアークスに
多大なる貢献をしていたことは
私も承知している。
: ……それでもなお
アークスの敵性存在だと
そう……判断された。
: ……繰り返す、諸君。
アークスがそう、決めたのだ。
: ……ここに、六芒の一
レギアスの名において……
絶対令の行使を宣言する。
: アークスに徒なす反逆者を……
: ○○を
抹殺せよ。
: ヒルダ……後は任せたぞ。
ヒルダ : ……アークス、各員に通達する。
絶対令により、対象の
抹殺命令が下った。
: 諸君の敵、アークスの敵
我々、オラクルの敵、それは……
: ……○○!
○○だ!
: 対象はマザーシップに侵入済みだ。
アークス各員は準備を整え
随時追撃せよ……以上だ!
シャオ : ……やられた。
道理で、今まで一切邪魔を
してこなかったわけだ。
: ぼくたちの存在に気付きながらも
この時のために泳がせて
おいたんだな、ルーサー……!
: ……すまない、二人とも。
事態は、ぼくの想定以上に
まずい方向に動いてるみたいだ。
: ダーカーやクローンを手先として
差し向けてくるぐらいは考えてた
けど、アークスそのものとは……
マトイ : 大丈夫、大丈夫だよ。
……○○は
何も、悪いことはしてないから。
: 皆を助け、わたしも助けてくれて……
そして今も、誰かのために
頑張っているだけなんだから。
: だから……
○○。
進もう、この先へ。
シャオ : ……そう、だね。
その子の言う通りだ。
もう、全ては動き始めた。
: ぼくからもお願いするよ
○○。
シオンのところへ行って。
: ぼくも、ぼくのすべてをもって
君たちをバックアップする。
A.P.238/7/7/9:20
リサ : ふふふっ……あなたに向かって
銃を撃つのは、久しぶりですねえ。
オーザ : まさか、お前とこんな形で
敵対することになるとはな……
マールー : ……貴方のこと、信じてたのに。
どうして、アークスを
裏切るようなことを……?
マトイ : ……そんな! そんなことしてない!
○○は!
裏切ってなんかいない!
オーザ : オレたちとて、そう信じたいが……
殺してしまえば、関係ない。
マールー : ……全アークスに向けての
開示情報で、証拠も示された。
だから、殺してしまわないと。
マトイ : どうして……?
おかしい……このひとたち。
言葉も、気配も……!
リサ : 無駄無駄無理無理、ダメですよお。
もう、リサたちには何を言っても
通じないんです。
: わかりますかあ?
『絶対令』ですよお。
リサたちはもう、逆らえません。
: 三英雄のみなさんが言うんです
揃いも揃って、命令するんです。
あなたを殺しなさい、って。
: ま、リサは命令なんて
別にどうでもいいんですが……
ひとを殺すのは面白そうですからねえ。
フーリエ : ○○さん。
安心してください。
私は敵じゃありませんよ。
: 私はあなたを殺して
あの子たちを守りたいんです。
: そのために、殺させてください。
A.P.238/7/7/9:40
オーザ : はぁっ……はぁっ……
流石は○○
だが、殺す……
マールー : ……敵対して、よくわかる。
貴方の、強さ……
……でも、殺さないと。
リサ : 四人がかりでこのざまですか。
リサ、自信喪失しちゃいそうです。
ねえ? ねえねえ?
フーリエ : …………
マトイ : ……わからない。
ぜんっぜん、わからないっ!
: どうして、この前まで一緒に
笑いあってた人たちが
戦わなきゃいけないの?
: それが命令だって言うんなら……
そんな命令は、おかしい!
フーリエ : ……そう、その通りですよ。
そんな命令は、おかしいんです。
: なんで、そんなことにも私は
……気付けなかったんでしょう。
リサ : フーリエさん?
オーザ : ……お、オレは、何を。
いや、戦っていたのは覚えているが
あれは……オレだったのか?
マールー : ……まるで、自分の中に
別の自分がいたみたい……
逆らえない、自分が……
リサ : んー……言われてみれば
泡沫の夢から、現実に引き戻された
そんな感じがしますねえ。
: まあ、夢は夢で楽しかったですし
リサは結構満足しましたから
みなさんが止めるのなら止めます。
: それに、続きのお相手なら
あっちのみなさんがしてくれそう
ですからねえ。
フーリエ : ……ダーカー!
どうして、ここに?
ヒルダ : アークス各員に緊急連絡!
混乱に乗じたダーカーの襲撃だ!
: 最終防衛ラインを突破し
マザーシップ内へと侵入している!
反逆者ともども、殲滅せよ!
オーザ : 最終防衛ライン突破だと!?
マールー : ……今まで一度も突破を
許したことないはずなのに
そんなに簡単に……?
リサ : 反逆者のほうに執心しすぎて
本来の敵への対応をおろそかに
したんですか。
: はあまったく、ますますもって
愚かで愚かで愛らしいミスです。
惚れ惚れしちゃいますよお。
: それなのに、なおもダーカーと
反逆者の処分を並行に考える。
……まともな判断、できてませんねえ。
フーリエ : ○○さん!
行ってください、この先へ!
: 何が正しくて何が間違ってるのか
私にはもう、わかりません。
: だから、あなたがやるべきだと
思ったことをやり通してください!
: それがたとえ、アークスに
……ううん、『この』アークスに
不都合なんだとしても……!
: 多くの人たちを救ってきた
あなたの選択を、私は信じたい!
オーザ : ……行け!
ここはオレたちが食い止める!
お前達は……先に進め!
マールー : ……罪ほろぼし、にもならないけど
それぐらいは、させてほしい。
リサ : リサはですねえ、人間よりも
ダーカーが嫌いなんです。
: 命令があろうとなかろうと
なんであろうと、リサの狙いは
ただひとつ、なんですからね?
ルーサー : 絶対令といってもこの程度か?
いや、それ以外の力が働いた?
……まあ、どうでもいいか。
: どうせもう捨てる玩具の話だ。
最後に奇抜な動きを見せてくれるなら
それはそれで、面白い。
: さあ、アークスよ。ダーカーよ。
好きなだけ殺し合うといい。
それぐらいの自由は許してやるさ。
A.P.238/7/7/10:00
マリア : ……来たね。
○○。
そっちのお嬢ちゃんは、連れか。
マトイ : ……アークスの人!
また、戦わないといけないの?
マリア : おっと、警戒する必要はないよ。
六芒に絶対令はきかない。
じゃないと均衡できないだろう?
: ……それに、アタシたちの目的は
どちらかといえば、アンタ達に近い。
: ……斥候ご苦労、ヒューイ。
で、どうだった。
ヒューイ : 概ね予想通りだ、姐さん。
三人が三人、準備万端で
待ち構えているぜ。
: ダーカーどころか
人っ子一人通す気なさそうだ。
: っておおっ! 君は君たちは!
よくぞここまでやってきた!
さあ、次の相手はこのオレ……
: って、そういう状況じゃないな。
お互いに。
: よくここまで来てくれた。
……それと、道中助けに
行けなくて、すまない。
: 言ってしまえば
同じ六芒均衡の暴走に近い
ものだっつーのに、だ。
マリア : ……だから、アタシたちが
止めてやるんだよ、ヒューイ。
エコー : ○○!
待って、待って待ってっ!
: はあっ、はあっ……
よ、ようやく追いつけた!
マリア : アンタ達を狙って、という
感じじゃないね……
なんだ、知り合いかい?
: この二人を問いただす気なら
全部片が付いた後にしてもらえるかい。
そんな暇はないんでね。
エコー : そんなことをしにきたわけじゃない。
あたしには、あたしの目的がある。
: あたしとゼノ……ううん、あたしは
ずっと、この子を見てきた。
してきたことも、何もかも。
: だから、何か理由があるってことも
わかる。それが今やらなきゃ
いけないことっていうのも、わかる。
: だからあたしは
○○の
やることを手伝うの。
: それが、あたしのよく知ってる
お節介な先輩ってやつが
この状況でやりそうなこと、だからね。
マリア : ……絶対令を弾いてる。
思わぬ所に逸材がいたもんだね。
ああ、そうか、この子が……
: よし、あんたもついてきな。
ただし、自分の身は自分で守る。
ここから先は、桁違いだよ。
エコー : ……わかってる。
A.P.238/7/7/10:20
エコー : ……な、なんか寒気がするんだけど
急に冷えてきたりしたのかな?
マトイ : ……○○
わたしもなんだか、寒い
……ううん、怖い感じ?
ヒューイ : ……! 下がれッ!
エコー : て、テクニック!?
そんな、一体誰……!
マリア : 誰、なんて問うまでもない。
マザーシップに侵入した者を
討ち滅ぼす、最強の番人。
: それは当然、アークスにおける
最大戦力こそ、相応しい……
エコー : そ、それって……
ヒューイ : ぶはっ!
: おいおい、久々に会えて
喜んでくれてるのか?
随分手洗い挨拶してくれるな!
: なあ、クラリスクレイス!
エコー : カスラさん……
カスラ : これはこれは、エコーさん。
ご無沙汰しています。
: ところで、貴方の隣にいらっしゃる方
アークスの敵と通達したはずですが……
どうして、殺らないんですか?
エコー : ……この子は、後輩だからよ。
後輩を守り通すのが、先輩なの。
レギアス : ……久しいな、マリア。
マリア : 出来るならこういう形で
会いたくはなかったよ、レギアス。
: アンタの頑固さは
知ってたつもりだったけど
よもやここまで融通が効かないとはね。
レギアス : そちら側に立つ、ということは
敵対の意志あり、と受け取るが?
マリア : 意志も何も、その通りさ。
六芒均衡は、馴れ合いじゃない。
それはアンタが一番知ってるだろ。
レギアス : ならば、もはや問答は無用。
: アークスに……害なす存在を討つ。
それが、三英雄だ。
マリア : そういう思い上がりを止める。
そのために、アタシ達
六芒均衡の偶数番がいるんだよ。
A.P.238/7/7/11:00
レギアス : ……衰えてはいないようだな。
マリア : それはこっちのセリフだよ。
事務仕事ばかりしてたんなら
ちょっとは鈍ってろ。
クラリスクレイス : ……ヒューイ。
お前はどうして、そっちにいるんだ。
私は、こっちにいるのに……!
ヒューイ : クラリスクレイス……
まだ、クラリッサの声を
聞いているのか……?
カスラ : ……誰も彼も攻めあぐねていますね。
本気でぶつかるわけにもいかず
といった感じですか。
: まあ、レギアスとマリアさんが
本気でぶつかったら、ここが消える。
そんな事、するわけがない。
: クラリスクレイスも、アークスとの
戦闘なんて考えていなかったでしょうし
ま、仕方がないでしょうね。
: そういう意味では、一番効率よく
戦えそうなのは私なのですが……
いやはや、そう上手くはいきませんね。
: ○○さん。
そちらのお嬢さんも見事なお手前です。
皆が一目置くのも、頷ける。
: ですが、そちらのかたは
正直、期待はずれと言いましょうか……
分不相応と言いましょうか……
エコー : うるっ……さいっ……!
カスラ : 才を見れば、補助役が適性なのに
接近戦闘を試みるとは……
ゼノさんの真似でもしているんですか?
: 彼だって、本来の適性を伸ばしていれば
【巨躯】との戦闘にあっても
遅れは取らなかったでしょうに……
: ○○さんの
傍にいる方々は、こぞってこのように
足を引っ張ってしまうんですね?
エコー : ……でも、それじゃあ
誰も守ることができなかった。
: ゼノは生き残れたかもしれない
けど、他の人を守ることができない。
それじゃ、意味がないの。
: だからゼノは、前に立ったのよ。
銃じゃなくて剣を持って
誰よりも前に、前にって……
: たとえ、貴方の言う通り
それが枷になっているのだとしても
……その志を否定させたりはしない!
カスラ : ……貴方の言わんとしていること
わからなくもないです。
: ですが、易々と挑発に
乗ってはいけません。
エコー : ……ゼノっ!
ゼノ : ……よく言ったぜ、エコー。
: ……いや、恐ろしいぐらいドンピシャ。
悠長なあいつら置いてきて
正解だったな。
レギアス : ……あれは!
マリア : ……はっ、やっと来たね。
クラリスクレイス : あの紋章は……六芒の、四?
そんな、空席だって
言ってたのに……!
ヒューイ : クラリッサの言うこと全てが
正しいってわけじゃないんだよ
クラリスクレイス。
エコー : あっ…………
ゼノ : よう、○○
それに、エコーも。
久しぶりだな。
エコー : …………
ゼノ : 悪いな、来るのが遅れちまって。
この武器、なかなか言うこと聞かなくて
ギリギリになっちまった……
エコー : …………
ゼノ : ……おい、エコー?
エコー? エコーさーん?
エコー : ゼノ……
ゼノ : おっ、やっと反応した。
なんだよ、久々で顔でも忘れたのかと
思ってちょっと焦ったぜ。
エコー : っ!
ゼノ : ってえ! なにしやがる!
エコー : バカ! バカバカ! バカッ!
生きてたんなら連絡しなさいよ!
すぐに帰ってきなさいよ!
ゼノ : う、うっせえな!
こっちにだっていろいろ
事情はあったんだよ!
: 何度も何度も殺されかけたんだぞ
姐さんに!
マリア : 人聞きの悪い。
勝手に死にかかっただけじゃないか。
エコー : そんなの知らないわよバカ!
あたしが……あたしがどれだけ
待ったと思ってるのよ!
: どれだけ寂しかったと思ってるのよ!
どれだけ怖かったと思ってるのよ!
: どれだけ……怖かったと……
思ってるのよ、このバカ……っ!
ゼノ : ……すまん。
: 今はこれで許してくれ。
お前にこっぴどく怒られる前に
やらなきゃならんことがある。
: ……それに、お前もう
これ以上はきびしいだろ?
エコー : ……ははっ。
やっぱ、ゼノには隠せないか。
ゼノ : 柄にもなく頑張りすぎなんだよ。
……あんまり、無理すんな。
エコー : ……うん。
ゼノ : おい嬢ちゃん、すまないが
エコーのことを頼めるか?
マトイ : あ、は、はいっ!
エコー : ……ゼノ!
ゼノ : ん?
エコー : 表舞台は久々なんでしょ?
だったら、思いっきり!
やっちゃいなさい!
ゼノ : おう!
: 久しぶりだな、カスラさんよ。
銃口向けての再開ご挨拶とは
想像もしなかったけどな。
カスラ : こちらこそ、ですよ。
まさか、あの状況で
生きていらっしゃるとはね。
ゼノ : ○○の
おかげでな、ぎりぎり命を
拾わせてもらったんだよ。
: だから、こいつには
返しきれない恩がある。
カスラ : 新たなる六芒の四……
……いつ以来なんでしょうね
こうして、偶数番が揃うのは。
: そしてその手の戒剣ナナキ。
まさか、それを持てる人物が
現れるとは思いませんでしたよ。
ゼノ : だろ?
オレがハンターやってたのも
無駄じゃなかったってことだよ。
カスラ : ……違いない。
先の発言は撤回させてもらいますよ。
ここからが本番のようですね。
: 謳え燐具……フローレンベルク。
ゼノ : ○○。
……奴さんはやっと本気みたいだ。
: じゃあ、こっちはこっちで
先輩後輩、息の合ったところを
見せつけてやろうぜ。
: 響け戒剣……ナナキ!
ヒューイ : ……なあ、クラリスクレイス。
お前、今、楽しいのか?
クラリスクレイス : …………
ヒューイ : いつもお前、言ってただろ?
楽しいことをやりたい、って。
今はどうなんだ? 楽しいのか?
クラリスクレイス : …………っ!
ヒューイ : おい、聞いてんのか……?
答えろよ、クラリスクレイス!
クラリスクレイス : うるさい、うるさいうるさいうるさい!
私を惑わすな! 私を困らせるな!
私にはクラリッサがいればいいんだ!
: クラリッサが全部教えてくれる……
それに従ってればいいんだ!
間違ってなんか、ないんだっ!
ヒューイ : ……そうか。
: じゃあもう、遊びは終わりだ。
オレは六芒の六として、六芒の五
クラリスクレイス、貴様を止める。
: 目覚めろ破拳……ワルフラーン!
: 心に刻め、クラリスクレイス!
これが、敵対するってことだ!
クラリスクレイス : う……うううっ、ああああっ!
クラリッサぁっ!!
A.P.238/7/7/11:30
カスラ : っとと。流石、やりますねゼノさん。
伊達に四を継いだわけではない
ということですか。
ゼノ : よく言うぜ。地獄の特訓の成果を
飄々といなしやがって。
: ……ようカスラさん。
あんた、ケリつける気ねえな。
: さっきのエコーとの時もそうだったろ?
今度は何を待っていやがる。
カスラ : さて、何でしょうね……
クーナ : よし、よしよしよーっし!
クラック成功ッ!
: あっ……えーっと、コホン!
: はーい、アークスのみんな!
皆のアイドル、クーナです!
ちゃーんと聞こえてるかなー!
: 任務で忙しい? まあそう言わずに
あたしからのメッセージ
受け取って、くれるかなっ!
エコー : こ、これって
情報改竄の証拠……?
カスラ : 人体実験やクローンのデータまで……
奮発してくれますね、クーナさん。
クーナ : 届いたかなー? 見たかなー?
見た感想は、いかがかなー?
: なんとなんと、敵性存在の証拠は
全部が全部、嘘っぱち!
: まあ、気付いてる人もいたみたい
だけど、みんなさくっと
騙されちゃってたよねー!
: ほかにも、知らない情報が目白押し。
アークスが……虚空機関が裏で
やっていたことなどいーっぱい!
: 嘘だと思う? デタラメだと思う?
だったら、ここにいるあたしは
何かな? そこに書いてあるでしょ?
: みんな……
いい加減目を覚ませ!
: 都合の良い現実ばっか
見てるんじゃないっ!
その目で見て、その頭で考えろ!
: どこに、どこの世界に!
敵よりも優先して味方を叩け
なんていう組織がある!
: 本当の敵? 何をすればいい?
うっさい知るか! 自分で考えろ!
: 自分で考えることすら許されない
そういう人だって、いるんだ!
: いい、この放送を聞いてる
アークスのみんな!
: みんなはね、コマじゃないの!
ひとりひとり、生きている人!
: だから、他人から
言われるままじゃなく……
考えて! 自分の心で!
: 本当の敵が、誰なのか!
A.P.238/7/7/11:30
ルーサー : やあ、レギアス、聞こえるかな?
いやはや、すごい放送だったね。
: 彼女、偶像として従順に活動を
続けているな、と思っていたら
なるほどこの時のためだったのか。
: 彼女がここまで頑張るなんて
僕としては予想外で楽しいよ。
レギアス : ルーサー……用はそれだけか。
こちらは交戦中だ。
ルーサー : ああ。ああ。
もちろんそれだけじゃあないよ。
: なんだか君達が苦戦している
みたいだったからね。
差し入れを送っておいたのさ。
: もう、僕にはいらないものだ。
斬ろうが壊そうが
好きに使ってくれて構わないよ。
ヒューイ : ……!
全員、防御しろッ!
クラリスクレイス : …………え?
ルーサー : 無事届いたようだね。
それ、作ったはいいけど
調整がとっても面倒でね。
: まとめて処分できる
タイミングを探してたんだ。
いやあ、渡りに船というやつだ。
レギアス : ……ルーサー! 貴様ッ!
ルーサー : 僕が憎いかな?
しかし、僕はダーカーじゃないぞ?
: ダーカーを殺すために作られた
君たちが、ダーカーではない僕を
そんなに憎んで、いいのかな?
: それじゃあね、レギアス。
くれぐれも、僕と彼女の逢瀬を
邪魔しないでくれたまえよ?
レギアス : …………
カスラ : クラリスクレイスタイプの
クローン全機投入ですか……
派手な真似をしてくれる。
クラリスクレイス : あれは、何だ、何なんだ……
あんなの知らない、私は知らない!
: わた……私は、ここにいるぞ?
じゃあ、あそこにいる私は誰だ?
: 貴様は……誰だ?
誰なんだ?
: 教えて、教えてよ、クラリッサ。
クラリッサ……クラリッサぁっ……
: 答えてよ、クラリッサ……!
どうして黙ってるんだ……
なんでも教えてくれただろ……
: いやだ、イヤだ、嫌だ!
: 怖い、怖い、怖い怖い怖い……
: 助けて……誰か……助けて……
: 助けて……
…………助けて、ヒューイ。
ヒューイ : オレを呼んだかクラリスクレイス!
クラリスクレイス : ヒューイ……!
: わたっ、私、私はっ……!
ヒューイ : ……ああ、もういいぞ。
我慢しなくていい。
……辛かっただろう。
: 今は何も考えず、ゆっくり眠れ。
: ……おい、レギアス。
あんたまさかこの期に及んでも
アークスの保全を、とか言わねえよな。
: というか、言わないでくれよ。
言ったらあんた、殺すぞ。
レギアス : ……彼の者の持つ絶対的な権限から
どうやって脱却すればいいのか。
それが可能なことなのか。
: その手段を見いだせないからこそ
私は従っていた……従うしか
この形を保つ術が無かった。
: だが……!
: このかりそめの平衡。
……もはや保つ価値はない!
: ○○。
君は、この奥へ進め。
己の目的を果たせ。
: ……各員、攻撃対象を
クラリスクレイスクローンに定めろ。
一体も通すな。
カスラ : ……劣化しているとはいえ
彼女と同じ力を持つクローン。
: 武装も模倣創世器、灰錫クラリッサII
……面倒ですね。
レギアス : ああ……だが、面倒なだけだ。
アレに意志は無い。全て壊せ。
ヒューイ : ……言われるまでもない!
カスラ : ……ルーサーはアークスから
完全に興味を失ったようですね。
研究室も応答無し、と。
: 我々を恐れているからこそ
首輪をかけていたハズですが……
悲願成就を前にして、増長したか。
: 超然とした態度を見せていながら
やはり最後には、人が出るんですね。
……反吐が出ますよ、本当に。
マリア : こうしてアンタと並び立つのは
何年ぶりなんだろうね。
十年前にもなかったはずだ。
レギアス : ……巨躯戦争以来、だろうな。
長きにわたる雌伏と後進の育成
感謝するぞ、マリア。
マリア : アタシは自由に動いてただけだ。
褒められるべきは、全てに
耐えていたアンタさ、レギアス。
: ……さあ、出番だ。
来な、ラビュリス!
レギアス : 始めよう、世果。
A.P.238/7/7/12:00
マトイ : ……ここが、中心部。
でも、まだ奥があるみたい。
もっと奥なのかな?
シオン : ……待っていた、二人とも。
よく、ここまで辿り着いてくれた。
: ……わたしに残された時間は少ない。
それは、アークスに残された猶予と
同じものを意味する。
: 許す限りの力をもって
これより先、わたしが導こう。
わたしの内、わたしの中へと。
A.P.238/7/7/12:20
マトイ : ……○○。
何かに見られているような
感じがしない……?
シオン : ……それはおそらく
わたしたちの意識だろう。
: 周囲に見える海。
そこに、すべての意識がある。
わたしたちの、意識だ。
マトイ : ……わたしたちの、意識?
シオン : かつて、フォトナーと呼ばれ
わたしと交流を持ち、栄華を極め
そして没落したものの、成れの果て。
: 人であることを諦め、それでも生を望み
わたしと共になることを選んだ
……フォトナーたちだ。
マトイ : えっと……この海が
生きてるってこと?
シオン : 海とは、元来生きているものだ。
生命の創造は、原初より海からであり
わたしもまた、そうだった。
: ぽつんと存在した、海だけの惑星。
海だけしかなかった、惑星。
……ふいに、そこへ知識が生まれた。
: 知識を得たその海は
過去から今までを……
森羅万象を演算し、全てを知った。
: 全てを演算しつくした
宇宙の観測者。
: フォトナーはその海と出会い
そして、その海に名を付けた。
その名こそ、シオンという。
: フォトナーたちと出会い
わたしは観測者であることをやめた。
: わたしは彼らの言葉を覚え
積極的に交流をはかった。
彼らを、理解しようとした。
: この姿も、そう。
最初に触れたフォトナーの姿を
真似たものだ。
: はじめてこの姿を見せたときの
彼らの驚きようは……楽しかった。
演算では得られない、ものだった。
: わたしは彼らに願い
わたしを……惑星自体を包み込む
外装を作り、動けるようにした。
: それが今、マザーシップと呼ばれる
この巨大な移動惑星だ。
: これを作ったのもすべて
フォトナーたちが為すことを
見届け、共に歩むため。
: ……そうだ、わたしは
浮かれていたのだろう。
: わたし以外の存在と出会えたことが
嬉しかったから……間違った。
: 観測者であることを忘れず
交流も、接触もしなければ……
このようにはならなかったはずだ。
: フォトナーはけして悪ではなかった。
彼らの行いは全体から見れば
尋常ならざる進化を呼んだ。
: フォトナーがいなければ
ダーカーは産まれなかっただろう。
だがアークスも、生まれなかった。
: そう、フォトナーは欲深く
好奇心旺盛で、適度に怠惰で傲慢な
……正しい、人のあり方だった。
: 観測者であることをやめ
彼らにフォトンの知識を与えた
わたしの行いこそ、間違いだったのだ。
マトイ : ……でも、それじゃ寂しいよ。
シオン : それは、わたしには
理解しかねる感情だ。
マトイ : そんなことない。
シオンさんにだって、わかるはず。
: わたしは……わたしは寂しかった。
怖かったし、辛かった。
誰かに助けてほしかった。
: ○○が
助けに来てくれたのは、その時。
: わたし、なにもかも忘れてたけど
○○の
名前と、その時の嬉しさは覚えてる。
: シオンさんだって、同じだよ。
フォトナーと会えて、嬉しかったんだ。
ひとりぼっちは、寂しかったんだ……
: そう。
シオンさんは、寂しかったんだよ。
シオン : ……君は……まさか
わたしの縁者として、記憶を……?
マトイ : ううん、そう感じるだけ……
シオンさんの思いを、感じるの。
: 寂しかったから、声をかけた。
それはなにも間違ってない。
: 間違ったのはきっとそのあと。
シオンさんだって、そう思ってる。
: だから、その間違いを正すため
○○と
わたしを会わせてくれたんでしょ?
シオン : ……ああ、そうなのか。
最初にあった、欠落感。
あれは……寂しさだったのか。
マトイ : ……シオンさん!
: ○○!
はやく、奥に進もう!
A.P.238/7/7/13:00
テオドール : ……ああ、本当だ。本当に来た。
ルーサーさんの言う通りだ。
あの人の言うこと、正しいんだなあ。
: ……貴方、この奥に行くんですよね。
でもだめです、ここは通しません。
そう約束しましたから。
: ……約束を守ったら、約束を果たす。
ルーサーさんはそう言ってくれました。
: あの人は、正しいことしか言わない。
……だから通しませんよ、絶対に。
: 僕も、約束を守って……守って……
彼女を、戻してもらうんだ。
: 彼女を、生き返らせてもらうんだ。
そう約束した、約束したんだ……!
>そんなこと出来るわけがない
テオドール : うるさいッ!
僕は、そんな言葉が
聞きたいんじゃない……!
: 僕はただ……
彼女の言葉が、聞きたいんだッ!
>ウルクのことなら……
テオドール : うるさいッ!
僕は、そんな言葉が
聞きたいんじゃない……!
: 僕はただ……
彼女の言葉が、聞きたいんだッ!
A.P.238/7/7/13:30
テオドール : ぐっ……ふ、うっ……ははっ!
ダメです……ダメですよ……
絶対にこの先へは行かせません……!
: 約束したんですよ、誰も通さないって。
そうすれば、彼女が戻ってくるって……
: はは……そんな顔しないで下さいよ。
わかってます……わかってますよ……
ぼくがいいように使われてることも。
: 彼女がもう戻ってこないことも……!
: でも……だったら……?
だから? どうしたんです!
: 彼女がいないのなら、意味はない。
ぼくだって、どうなってもいい……
どうだって、いいんだ……
ウルク : テオっ!
テオドール : えっ?
: ウル……ク……?
: はは、いや、そんなはずはない……
彼女は死んだんだ、いるはずないだろ?
そうだろ、テオドール……?
: 彼女はもういない、戻ってこない。
そんなの、ぼくが一番わかってる……!
: あれは幻だ、そうだ幻だ。
わざわざ彼女の姿をしてまで……
……愚弄、しやがって!
: 消えろ! 消えろ消えろ消えろぉッッ!
ウルク : ああっ!
: ……動かないで!
だいじょうぶ……
……わたしに、任せて。
: テオ……
テオドール : 誰だ! お前は、誰だ!
: 彼女のふりをして……
もういない……彼女の……!
: バカにしやがって!
バカにしやがってェッ!
ウルク : うあっ!
: ううううっ……!
ぐぐぐぐうう……っ!
: ……これが、戦いの痛み?
なによこれ、めっちゃくちゃ
痛い……じゃない……ッ!
: なのに、わたしはずっと
そんな場所にあなたを
無責任に送り出してたんだね……
テオドール : なんなんだ……なんなんだよ……!
今更彼女の姿なんて……
見たくないんだよ、ぼくは……!
: こんなになっちゃったぼくの姿を
見られたくないんだよ……ぼくは!
: 誰だ、誰だよこんなこと……!
こんなひどいこと……誰が……
もう、やめてよ……!
: ……ぼくは、約束したんだ!
彼女のかわりに……彼女のために……
戦って、戦って、戦って……!
: 彼女はもういない……いないけど……
彼女に、無理をさせないために
約束だけは……守るんだぁッ!
: はーっ、はっ、はあっ、はあっ!
: は、はは……あはは、ははははっ!
: ぼ、ぼくは……ぼくは……
ウルク : テオ。
もういいよ。
: わたしとの約束、忘れていい。
守れなくても、怒らない。
怒らないから、さ……
: だから……戻ってきてよ。
: お願いだから、戻ってきてよ。
テオドール : ……ウルク?
ウルク : ……や、こんちわ。
それとも、ただいまかな?
おかえりなさい、かもね。
テオドール : き……きみは……
ぼくは……その怪我は……!
ウルク : うるさい、細かいこと考えるな!
テオドール : ウルク……
ああ、ウルク……!
: ごめん、ごめんなさい……!
ぼくは、きみに何て事を……!
ウルク : いいのテオ。
これはいいの。
: わたしが知らなかった
あなたの痛み、ようやくわかった。
: ごめんなさい……テオドール。
あなたはずっと、この痛みに
ひとりで耐えていたんだね。
: ……もう、休んでいいよ。
ちょっとぐらい、さぼろう。
そうしないと、割に合わないよ。
テオドール : ウルク……ぼくは……
ぼくは……っ……
ウルク : 昔っからそう……
誰にも何も言わないから、限界まで
勝手に突っ走っちゃって……
: ほんと……変わらないわね。
わたしが見ててあげないと
だめなんだから……
サラ : ちょっとウルク!
勝手に先に進むとか
死にたいの!
: ……って、あんた!
なにやってんのよ!
ウルク : ……あ、ごめんなさい、サラ。
わたしもちょっと、もう限界。
: ……起きたら、いくらでも
二人一緒に怒られるから
今はちょっと、休ませて……
サラ : ちょっと!
……無茶しすぎよ、バカね。
: この子たちはあたしに任せて。
それよりこの、中枢へ繋がる扉を
どうやって突破するか、よ。
: 正真正銘、最後の扉だから
生半可なやり方じゃ開かないわよ。
: 力技じゃまず無理。
誰かを入れる、というのが
そもそも例外な場所なんだから。
: 貴方、シオンの縁者でしょ。
開け方とか、聞いてないの?
マトイ : 縁者とか……急に言われても
わたしには、なにも……
シオン : ○○……
そして、マトイ……
わたしの、選んだひと。
マトイ : シオンさん!
この奥にいるんでしょう!
ここを開けて!
シオン : そこより奥は中枢。
わたしの内、マザーシップのコア。
鍵を持つ縁者のみが、導かれる。
: ……奥へ至る、鍵をその手に。
それは、そこにありしもの。
……貴方が、持つべきもの。
マトイ : わたしが、持つべきもの……
シオン : 誰もが探し求め、貴方が掴み取り
修繕を終え、しかして失われたはずの
彼女が持つべきものの名。
: すべては、このとき、ここで
彼女の手に呼び戻すために
導かれた……その名は……
マトイ : ……クラリッサ。
: そう。
来たれ白錫……クラリッサ。
: ……行こう。
○○。
: シオンさんが
わたしたちを呼んでるんだ。
サラ : ○○。
それに、シオンの縁者。
: あたしたちの仕込みはここまで。
ここから先は、正真正銘
予想不可能のぶっつけ本番よ。
: だから……ええっと……
: 頑張ってきなさい!
マトイ : はいっ!
A.P.238/7/7/14:00
ルーサー : ……ここは不可侵の場だよ。
どうやって入ってきたんだい?
: それは……クラリッサか?
僕の作った紛い物じゃない。
……本物、まだ残ってたんだね。
: それを手にする君は……
なるほど、なるほど
そういうことか。
: シオン、君は君なりに
動いていたんだね。
全て無駄なのに、よくやるよ。
マトイ : し、シオンさんを離して!
ルーサー : ……離す?
ふふふっ、おいおい
何を言ってるんだい?
: 僕と彼女はもう二度と離れない。
離れることなんて、ない。
: 僕はね、ついに彼女を理解した。
彼女と完全にひとつとなり
……今こそ、全てを識る。
マトイ : ……あなたは、何を言ってるの。
ルーサー : 君達こそわかっているのか?
自分たちの目の前にいた
彼女が、なんなのかを。
: 演算する海が生まれた意味。
それは、宇宙の記憶保持、全演算……
: ……そう、彼女こそ
全てを識る存在!
: フォトナーが……
いや、僕が追い求めた
宇宙の理そのものだ!
: アークスも、ダーカーも
ありとあらゆる研究や実験は
この時この瞬間を迎えるためのもの!
: すべてはこの時のため
彼女を理解し、一緒になるため……
そして、ようやくだ!
: 僕は、彼女とひとつになる!
森羅万象を識る存在に!
マトイ : そんなこと、させない……!
ルーサー : アークス風情が、頭が高いよ。
まずは、跪きたまえ。
マトイ : か、身体が……
地面に引っ張られてるみたいに……!
ルーサー : おや、レギアスから聞いてないのかい?
僕は全ての管制を掌握している。
重力をいじくるのだって簡単さ。
: わかるかな、アークスくん。
もとより君たちの命運は
ずっと僕が握っていたんだよ。
: 君たちがいままで
生きながらえていたのは
僕の気まぐれにすぎない。
: 僕がシオンと一つになった今
アークスは、用済みだ。
ブリギッタ : ……アークスシップ管制、全喪失!
生命維持システムにも異常を感知!
各艦の環境設定が書き換えられて……!
メリッタ : そそっ、そんなそんなっ!
動力炉の異常加熱も感知っ!
言うことききません! 制御不能!
ヒルダ : わめくな!
どうにかするしかない!
諦めたら……全員死ぬぞ。
ルーサー : レギアスたちが身を捧げてまで
守ろうとしたアークスがこの様だよ。
ふふっ、はははははっ!
: 君たちが刃向かおうとしなければ
あるいはもう少し長生きできた
かもしれないのに、残念だったね?
マトイ : ……どうして、こんなことを。
わたしたちを、何だと思ってるの!
ルーサー : 何だと言われても、君達アークスは
もともと、僕たちフォトナーの
玩具じゃないか。
: 君達だけじゃない。
この宇宙に広がる全てのものは
僕にとっても実験場で、遊び場だ。
: そして、玩具は
遊び終わったら片付ける。
……それは当たり前のことだろう?
: さあ、シオン……
惑星シオンよ、僕とひとつに……!
: ……素晴らしい。
素晴らしい、素晴らしいぞこれは!
: 頭の中を、知識が駆け巡る!
ああ、ああ! 破裂してしまいそうだ!
この知識の奔流に!
マトイ : シオンさん……っ!
>諦めずに立ち向かう
ルーサー : なんだ? まだ刃向かう気かい?
アークスは本当に無駄な努力が
好きで困るね。
: 最後には、その往生際の悪さが
彼女にまで伝染していた……
ほんと、迷惑なんだよ。
>このままでは終われない
ルーサー : なんだ? まだ刃向かう気かい?
アークスは本当に無駄な努力が
好きで困るね。
: 最後には、その往生際の悪さが
彼女にまで伝染していた……
ほんと、迷惑なんだよ。
>ここまでなのか……
マトイ : ○○……!
……あなたのやってきたことは
間違ってない、はずだからっ……!
ルーサー : なんだ? まだ刃向かう気かい?
アークスは本当に無駄な努力が
好きで困るね。
: 最後には、その往生際の悪さが
彼女にまで伝染していた……
ほんと、迷惑なんだよ。
: ……理解できないな。
すでにシオンはいないんだぞ?
一体何が君を揺り動かす?
>約束をした
: シオンとの約束?
先に行かせてくれた皆との約束?
どちらもくだらないね。
>これで終わりには、させない
: シオンとの約束?
先に行かせてくれた皆との約束?
どちらもくだらないね。
>……わからない
マトイ : 送り出してくれたみんなと……
ここまで導いてくれたシオンさんと
約束……したから……っ!
ルーサー : シオンとの約束?
先に行かせてくれた皆との約束?
どちらもくだらないね。
: そんなもの、全知の前には
等しく無価値だというのに!
シオン : ……いいや
全知こそ、くだらない。
ルーサー : な……身体が……!
: し、シオン……!
君か、君なのか……!
: 流れ込んでくる……
この、思考……!
シオンの……もの!?
: シオン!
君は、君はまさか……!
シオン : ○○
あの時言えなかった
あなたへの、最後の依頼だ。
ルーサー : やめろ……シオン……!
そんなことを考えるんじゃない!
: 僕の知っている君は……
僕があこがれた君は……
そんなことは考えない!
シオン : ○○。
わたしを、その手で……
: その手で、殺せ。
: 今この時しか無い。
ルーサーがわたしと一つになろうと
しているこの時しか、ないのだ。
: 管制を司る彼が、演算を司るわたしと
融合を果たしたこの時ならば
……アークスとの繋がりを断ち切れる。
: たとえ、ルーサーの身体が残ろうとも
内にいるわたしが消えれば
彼の目的は全て潰える。
: ……○○。
わたしの識る、最後のアークス。
わたしの依頼を、果たしてくれ。
ルーサー : バカな……!
バカなことはよせ、シオン!
: 君が死ねば、すべてが終わる!
オラクルとは、そういうものだ!
君ありきのものだ!
シオン : だが、このままでも
アークスが死ぬだろう?
そういう天秤の話ではないよ。
ルーサー : くっ、くそっ! やめろシオン!
君を殺すなんて、そんなことをしたら
どうなるのか、わかってるのかぁッ!
シオン : ……今更何を言っている
ルーサー。
: 未来というものは
どうなるかわからないから
……楽しいんじゃないか。
A.P.238/7/7/15:00
ルーサー : そんな……こぼれていく……
手にしたはずの、知識が……!
: ああ……ああ……あああっ!
全知が、宇宙の理が……
僕の中から……滑り落ちていく!
: ……終わりだ。全て終わりだ。
オラクルの核たるマザーシップが
シオンが失われてしまった……
: わかっているのか貴様ら……
自分たちが何をしたのか……
わかっているのかァッ!
: 宇宙にとってかけがえのない
唯一無二のシオンを、失う!
この意味が! この意味がぁ!
: 貴様らが、貴様らが貴様らが貴様らが
彼女を、手に、かけたから……!
ヒルダ : ……管制、全回復!
艦内機構、全て正常値!
各員、全機能のチェックを急げ!
ルーサー : な!?
……どういう、ことだ!
: シオンが失われた今
何が、演算の代わりを……
シャオ : ……管制、全掌握。
全回線、全演算機構、正常に移行……
システム、シャオへ書き換え……了。
: これで、終わり。
……ぼくたちはやりとげた。
やりとげたんだよ、シオン。
: ……あとは任せて
ゆっくり、休んでください。
A.P.238/7/7/15:10
ルーサー : くく……ふふふ……はははっ!
あははははははははははははは
はははははははははははは!!
: よくもよくもよくもよくもよくも!
僕を! 僕を! 僕を出し抜いたな!
: 全知を……僕のシオンを……
この手から、この手から滑り……
おお、おおおっ……!
: ……許さない、許さない。
許さん許さん許さん許さん!
貴様だけは、貴様だけはァッ!!
シャオ : マザーシップ内に反応……?!
大きい……ただのダーカーじゃない!
○○!
: ルーサーが変異……?
ルーサー : ……○○!
貴様は、貴様達だけは
僕が、僕が僕がこの手でェッ!
マトイ : ○○っ!
ルーサー : ふは、ふははははふはっ!
死ね死ね死ね死ね殺す殺す
殺してやるァァァッッッ!
クーナ : はっ、はっ……はぁっ!
間に合い……ましたね……!
ゼノ : ○○!
嬢ちゃん、無事か!
: って……おいおいなんだよあいつ。
先に行けとは言われたが
あんなのの話は聞いてねえぞ!
ルーサー : 貴様らも、貴様らも貴様らも!
僕に! 逆らうか! 僕に!
この、ルーサーに! 【敗者】にッ!
【敗者】 : そんな解は必要ない!
答えは僕の望むままであるべきだ!
それに沿わないものは、死ね!
A.P.238/7/7/15:30
【敗者】 : ふふふ……ははははは……
時には、戦いもいいものだな……
解が、解が見えたぞ新たな解が!
: そうだ、全知になれないのなら……
僕自身が全知となればいい!
: この宇宙のすべてと融合し
宇宙が僕となれば、それは
全知と呼べるものになる
: ああ、そうだ、証明の必要もない。
完璧で完全な解じゃあないか……
ふふ……はははははっ!
ゼノ : こいつ、フォトンをかき集めて……?
あの時のゲッテムハルトと同じか!
: このままじゃ巻き込まれる!
一旦退くぞ!
【敗者】 : 退く? 退くだと?
冗談を言うな、落第者。
: 全知へ至る最初の一手、それは
ここまでコケにしてくれた貴様らを
喰らうこと、それは自明だろうがァッ!
マトイ : ああっ!
【敗者】 : ぐ……!?
シオンの海……どういうことだ!
なぜ、僕の邪魔を……!
: まさか、シオン?
否、違う、この不快な意識の集合体
……フォトナーどもか!
: 有象無象が! 何故邪魔をする!
貴様達とて、僕と同じものだろう!
今更、何のつもりだァッ!
シオン : ……○○
そして、マトイ。
聞こえているな……?
マトイ : ……シオンさん!
生きて……生きていたの!
シオン : ……いいや、わたしはもういない。
わたしはもう、世界から失われた。
: 今のわたしは
わたしたちが紡いでくれた
残留した思念のかたまりだ。
: ……時間もない、手短に伝える。
わたしたちが奴を抑える。
その間に、脱出しろ。
マトイ : ダメ……ダメだよ!
そんなことをしたら、あなたが……
あなたたちが取り込まれちゃう!
シオン : だが、そうすれば
個の意志である妄執は拡散する。
……それが、わたしの最後の演算。
: ……違うな。
わたしたちは、言う。
これは清算なのだと。
: わたしも、わたしたちも、ルーサーも
過去にとらわれ続けた、亡霊だ。
だが貴方たちは、今を生きている。
: ……だから進め。前だけを見て。
振り返らず、立ち止まらずに……
それがわたしとわたしたちの、願いだ。
: ○○……
マトイ……優しきわたしの縁者たち。
……思うがままに、未来へ走れ。
: 最後の最後、今この時……
わたしは、寂しくなかったぞ。
A.P.238/7/7
フィリア : ○○さん!
マトイさん!
: よかった、お二人とも
無事だったんですね!
本当に、よかった……
: 私の集めていたデータが
あんな形で利用されるなんて
……本当に、すみません。
: マトイさん?
: マトイさん!
: ……大丈夫です。
ずっと気を張っていたから
疲れてしまっただけのようです。
: マトイさんは私に任せてください。
○○さんは
まだ、やることがあるはずです。
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