A.P.239/1/31/13:00
サラ : あら、○○
貴方も呼ばれてたの?
: こっちはいきなり
マリアから通信連絡よ。
「任務だ、拒否権はない」って。
: 詳細聞いても
「行けばわかる」としか言わないし
何様のつもりかしら。
: ま、貴方と一緒なら文句ないわ。
さあ、早く調査に……
クラリスクレイス : 来たぞ、ヒューイ!
……ってあれ、ヒューイは?
それになんで貴様たちが?
サラ : ……クラリスクレイス。
クラリスクレイス : ん、ヒューイから通信? 何だ?
ヒューイ : ……クラリスクレイス。
お前がこの通信を聞いてるということは
そこにオレはいないのだと思う。
サラ : 当たり前でしょバカ。
ヒューイ : 辛辣なツッコミが聞こえた気もするが
特に気にせず、話を続けよう。
: クラリスクレイス、今回の任務は
そこにいる二人と行うのだ!
サラ : ええっ!
クラリスクレイス : ええっ!
ヒューイ : オレは常々思っていた。
いつまでもオレにべったりでは
お前の成長は見込めない、と!
: とはいえ、いきなり知らない人の中に
お前を放り込めば、きっと後日
オレがムチャクチャ怒られる!
: その点、そこにいるサラと
○○ならば
大丈夫! 何をやっても許してくれる!
: 現地の案内役も
きちんと手配しておいたからな!
では、頑張るように!
サラ : 案内役って……
カブラカン : なんやー?
今日はえらい賑やかやなー。
サラ : エネミー!?
クラリスクレイス : 敵かっ!?
カブラカン : うわーっ、ちょっ、ちょお待ちい!
オレはエネミーちゃう!
案内役や! 案内役!
: はぁ……そない息ぴったりに
武器向けてくれんなや……
心臓止まるかと思ったでホンマ。
: あのねーちゃんといい
あんたの知り合い
こんなんばっかやな。
: ……はぁ、まあええわ。
あのやたら暑苦しいにーちゃんに
頼まれたからな、案内したる。
: さ、行くでー。
こっちやこっち。
サラ : ……貴方一人に任せて
あたしは帰りたいところだけど
拒否権はない、って言われたしね。
: 仕方がないわ。
さっさと終わらせてしまいましょう。
A.P.239/1/31/14:00
クラリスクレイス : なあ貴様。
なーあー、貴様ー。
サラ : ……ああもううるさいわね!
何よ、何か用?
クラリスクレイス : 貴様、私とどこかで会ったことないか?
なぜだか他人の気がしないぞ?
: フォトンの感じも似ている気がする。
不思議だ、面白いぞ。
なあなあ貴様、何故なんだ?
サラ : ……貴方にわからないことを
あたしがわかるわけないでしょ。
: あと、あたしは貴様じゃない。
サラって名前があるの。
クラリスクレイス : そうか、サラというのか。
わかった覚えておく。
ところで貴様!
サラ : だから貴様じゃなくて
サラだって言ってるでしょ!
クラリスクレイス : 馬鹿にするな! ちゃんと覚えてる!
貴様はサラだろう!
それで貴様!
サラ : 今の貴様はわざとでしょ!
クラリスクレイス : わざとじゃないしー!
貴様は貴様だしー!
カブラカン : なんや仲ええ姉妹やなあ。
サラ : ……姉妹じゃないわよ。
どう見たって違うでしょ。
カブラカン : そうか? タッパも似とるし
顔もよう見れば似とるやん。
なあ、あんたもそう思うやろ?
: 仲良きことは美しきかな。
ええやん、ええやん。
仲良く、楽しくやっていこうで。
サラ : ……あのね、あたしたちは
ここに調査に来てるの。
: 事実や過去を暴くための調査よ。
楽しくやれるわけがないでしょ。
カブラカン : ……そう言うてもなあ。
調査や何やらやっても、わかんのは
けったくそ悪いことばっかやろ?
: んなことに気持ち引っ張られるより
楽しくやってたほうがええやん。
サラ : ……貴方は、自分のルーツとか
気にならないの?
: この惑星のこともそうだし
そもそも、どうしてあたしたちと
翻訳なしで会話できるのか、とか。
カブラカン : んー……気になりはするけど
それ知ったところで
何の役にも立たんからなあ。
: オレらの格言に、こういうのがある。
「うしろ見てびびるな、前見てびびれ」
: ま、エネミーから逃げる時の
心構えなんやけどな。
: ここは弱肉強食の世界。
振り返ってるひまもない。
前を向いてないと、あかんのや。
A.P.239/1/31/15:00
カブラカン : どや、ねーちゃん。
何かわかったか?
サラ : ……ルーサーの死亡をトリガーに
この設備は解放されたみたいね。
時期が完全に一致してるわ。
: その他にも、情報がたくさん。
海底の施設よりも、こっちを
メインに使ってたのかもね。
: 海底で取れた以上の詳細な情報……
生物実験のデータなんかも
もれなく残っているわ。
: もともとウォパルに住んでいた
原住民の改造実験、合成実験……
人工的に知能を植え付ける実験……
カブラカン : もしかして、その
人工的に知能を、ってのが
オレらのことか?
サラ : データを見る限り、そうみたいね。
……ごめんなさい。
カブラカン : なんでねーちゃんが謝る?
実験した本人ならともかく
ねーちゃんがやったわけでもないやろ。
: オレも別に謝ってほしいなんて
まったく思っていないしな。
喋れて便利やなあ、ぐらいやで?
: 理由もなく謝んなや、ねーちゃん。
それってけっこう傷つくんやで。
せんでもええ同情されとるみたいでな。
サラ : ……あんた。
結構かっこいい事言うわね。
カブラカン : 惚れたらあかんで?
オレにはカマロッツっつー
大切なやつがおるからな。
サラ : 冗談も休み休み言いなさい。
……ん、何かしら、この情報。
ずいぶんプロテクトがかたいわね。
: ……あ。
クラリスクレイス : クラリスクレイスの精製データ?
これ、私の精製データだな。
でも、検体名称、サラって……
サラ : ……そうだ、ここだ。
ここだったんだ。
: あたしが、身体中を好き勝手に
弄くりまわされた場所は……
ここ、だったんだ。
クラリスクレイス : おい、サラ。
貴様は、もしかして……
サラ : ……自分がクローンってところには
ショックを受けないのね、貴方。
クラリスクレイス : ……目の前で、見たからな。
そんなのは、とっくに乗り越えた。
: いっぱい泣いたし、混乱もした。
今でも辛くないといえば嘘になるけど
……耐えられないほどでは、ない。
: ……それより、答えろ。
貴様が、私のオリジナルなのか?
: あっ、おい、待てっ!
○○!
追うぞ!
A.P.239/1/31/16:00
クラリスクレイス : ……サラ。
: ……私は、いろんな惑星に
出撃したとき、暴れているとき
いつも視線を感じていた。
: ヒューイのものとも違う
私のことを、見守るような視線だ。
: やっとわかったぞ。
私にも、やっとわかった。
: ……あれは、サラ。
貴様の視線だったんだな。
サラ : ……そう。
あたしはずっと、見ていた。
会わないように、見守ってた。
: あたしから作り出された……
あたしが作り出してしまった貴方を。
: 自分のしたことを忘れないために。
その悔恨を、原動力とするために……
クラリスクレイス : 何が悔恨だ、笑わせるな!
ヒューイがここにいたら
貴様、絶対にぶっとばされてるぞ!
: 貴様は私のオリジナル、それだけだ!
私を生みだしたのも、利用したのも
全部、ぜーんぶ、ルーサーだ!
: ……私は、馬鹿で愚か者だ。
その無知につけこまれて
みんなにひどいことをしてしまった。
: でも、ヒューイは許してくれた。
○○もだ。
: 他のアークスのみんなは
まだ、わからないけど……
だけど、私は私を許すことにした。
: そうしないと、私を許してくれた
ヒューイたちに、申し訳が立たない!
: 私は未熟で、馬鹿で、愚か者だけど
それでも、クラリスクレイスとして
生きていこうって、決めたんだ!
: ……もう、私のことを気にするな!
クローンもオリジナルも関係ない!
私は私、貴様は貴様だ!
サラ : ……困ったな。
こんな生意気なおちびさんに
説教されるなんて思ってなかった。
クラリスクレイス : な、なんだと貴様!
たいして身長変わらないじゃないか!
カブラカン : おいおいおいおい嬢ちゃんたち!
姉妹で喧嘩してる場合やないで!
サラ : 姉妹じゃない!
クラリスクレイス : 姉妹じゃない!
サラ : 私は、サラよ!
クラリスクレイス : 私は、クラリスクレイスだ!
A.P.239/1/31/17:00
サラ : みんな……
ごめんなさい、迷惑かけて。
ほんと、あたしらしくなかったわね。
: クラリスクレイス?
クラリスクレイス : 私はもう、私一人しかいない。
私以外のみんなは、もういなくなった。
……話すことも、できなかった。
: だからせめて
貴様とは……サラとは
ちゃんと、話をしたい……
サラ : ……そうね。
あたしもちゃんと向き合わないと
前に進めないわよね。
カブラカン : ……姉妹喧嘩は終わったようやな?
サラ : 訂正するのも面倒くさいから
……もう、それでいいわよ。
: ……ところで
○○は
どこ行ったの?
ヒューイ : 姐さん、結果としてはよかったが
ちょっとスパルタが
過ぎたんじゃないか?
: わざわざ自分から見つけるように
仕向けるなんて、酷だと思うぜ。
マリア : ……あの子だって、いつかは
向き合わなきゃいけないことさ。
だったら、早いほうがいい。
: それに、誰かの前でなら
あの子は目一杯強がるからね。
: ……アタシに言わせてみれば
アンタは過保護すぎるよ、ヒューイ。
ヒューイ : ははっ、よく言うぜ姐さん。
戦技大会の時には、二人が
会わないように根回ししてたんだろ?
: それに、今だってなんだかんだ
言いながらも、様子を見に来てる。
どっちが過保護だろうな、なっ?
>いい迷惑だ
ヒューイ : はははっ、まあ、勘弁してくれ。
>どっちもどっちだ
ヒューイ : はははっ、まあ、勘弁してくれ。
マリア : アタシやヒューイがいると
素直になりそうもなかったんでね。
ヒューイ : ああいうのは、本人達自身で
気付かせなければ意味がない。
黙って見守ってくれて、ありがとう。
: ……もう、これであいつも
一人で大丈夫だろう。
マリア : ……ん、あれ、ちょっと待て。
何だかあの二人、喧嘩始めてないか?
ヒューイ : 何っ!
……あ、カブラカンが吹っ飛ばされた。
: ナイスキャッチ!
カブラカン : ナイスキャッチ! やあらへん!
死ぬかと思ったわどアホ!
: 和気藹々と話してたと思ったら
服に鼻水べったりついたとかなんとかで
喧嘩始めよって……もう、なんなん!
マリア : ……ちっ、頭に血が上ると
周りが見えなくなるところとか
そっくりだね!
ヒューイ : ああまったく、そっくりだな!
マリア : 仕方ない。
止めに行くよ、ヒューイ。
ヒューイ : おう!
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