A.P.239/3/11/11:00
マトイ : ……なんだか、拍子抜けするほど
すんなり通してくれちゃったね。
スクナヒメ : 当然であろう。
わらわはこの星の神子であるぞ。
: 本来は、黒の王が頭を垂れ
わらわの社に来るべきなのじゃ。
: それが文の返事も出さず
わらわに直接来させるとは……
偉くなったものじゃのう。
マトイ : スクナヒメは
王様に会ったことあるの?
スクナヒメ : 無論。今代の白の王も黒の王も
即位するさいに、わらわとの
面会を済ませておる。
: 白の王は、術の才能こそあれど
臆病ゆえ、王の器にあらずと思った。
: 対して、黒の王は聡明であった。
ちと傲慢なきらいもありはしたが
なに、かわいいものじゃ。
マトイ : その黒の王様に、黒の民が
【双子】に操られてるって
訴えるんだよね?
スクナヒメ : そうじゃ。
黒の民が動けば、対抗心を煽られ
白の民も自主的に動き出そう。
: そして、あの不気味な童を
あぶり出し、一気に片を付ける。
: ……これ以上
無駄な犠牲を出さぬためにな。
マトイ : ふふっ。
スクナヒメ : なんじゃ。
何がおかしい、マトイ。
マトイ : スクナヒメはなんだかんだ言って
優しいんだなぁ、って。
: いつも星が大事って言ってるけど
同じぐらい、白の民も黒の民も
大事にしてるんでしょ?
スクナヒメ : ……大事、と言うよりも
これはわらわの義務よ。
マトイ : 義務?
スクナヒメ : そう、わらわが生まれたときから
この身に刻み込まれた、義務じゃ。
: 伝承にあるとおり、わらわは黒の父と
白の母から生まれ落ちた、灰の子。
つまり白も黒も、わらわの血族よ。
: 白も黒も、その愚かさゆえに
たびたび捨て置きたくもなるが
血族を見捨てるのは、外道じゃ。
: 父上と母上から授かったこの命で
そのような真似はできん。
マトイ : ……ごめんなさい。
茶化すようなことを言って。
スクナヒメ : かかっ、気にするな。
暇つぶしの与太話だ。どこまで本気かは
わらわのみぞ知るところよ。
: ただ、何かを守ろう、誰かを守ろう
という強い意志は、時に摂理すら
凌駕するほどの力を生むものだ。
: マトイ、そなたも考えてみるといい。
そなたが守りたいものは何なのかを。
マトイ : わたしの、守りたいもの……
スクナヒメ : それはきっと「みんな」などという
曖昧なものではないはずだぞ?
A.P.239/3/11/11:30
黒の王 : スクナヒメ、様。
スクナヒメ : ……久しいな、黒の王よ。
文を返さぬゆえ、直に参ったぞ。
話の内容は、わかっておろう?
黒の王 : ……すみませぬ。
スクナヒメ : 何?
黒の王 : ……スクナヒメ様。
どうか、お逃げください。
スクナヒメ : 王!
【双子・男】 : ダメだよダメだよ。
コピーが勝手にそんなことを
喋ったりしちゃあ。
マトイ : 【双子】……!
スクナヒメ : ……貴様、黒の王を喰ったのか。
【双子・男】 : 違うよ、違うよ。全然違う。
一人だけなんて可哀想じゃない?
ぼくが喰ったのは、ぜんぶだよ。
スクナヒメ : 貴様……!
【双子・男】 : わ、怒った怒った怖いねえ。
でも知ってるよ、きみは『禍津』の
対応で、消耗しているんでしょ?
: いくら神様とかいっても
そんな状態で、ぼくたちに……
【双子・女】 : そんな状態で、わたしたちに
立ち向かえるわけ、ないじゃない。
マトイ : ○○!
スクナヒメを!
【双子・女】 : うん、ごちそうさま。
ちょっと予定と違うけど
おいしかったからまあいいや。
スクナヒメ : ○○!
マトイ! どこじゃ!
どこにも、感じられぬ……!
: 貴様……仲間もろとも
○○と
マトイまでも……!
【双子・男】 : んん? んんん?
呼んだ? 呼んだ? ぼくのこと。
スクナヒメ : ……ッ!
【双子・男】 : ぼくはわたし。
【双子・女】 : わたしはぼく。
【双子・男】 : ぼくがわたしの中から出てくるのは
なにも不思議なことじゃない。
【双子・女】 : 不思議なことは、なにもない。
ぼくとわたしは【双子】だから。
【双子・男】 : 神様、やる気?
ぼくたちと、やる気?
【双子・女】 : なら、喰ってあげるよ。
もともとは、きみを喰べたくて……
スクナヒメ : くっ……!
【双子・男】 : どうしたの? どうしたの?
ちゃんと食べられなかったの?
【双子・女】 : ううん、ちゃんと喰べたよ。
……でも少し、いつもと違う気がする。
A.P.???/?/?/??:??
マトイ : ○○……
……ここは?
ルーサー : ……これはこれは、ずいぶんと
懐かしい顔があるじゃないか。
マトイ : その声は……!
ルーサー : まさか、こんな場所で会うとは
奇遇……とでも言えば良いのかな?
マトイ : ……ルーサー!
ルーサー : おっと、やめてくれないかな。
こんな所に来てまで
君たちと戦うつもりはないよ。
>……ここはどこだ?
ルーサー : 聞かずとも、わかっているのだろう?
ここは【双子】の腹の中。
かのダークファルスの内的宇宙。
: 僕も君たちも、喰われたんだよ。
ダークファルス【双子】にね。
>……なぜ生きている?
ルーサー : ははっ、おかしな問いかけだ。
この状況を生きていると言えるのかな?
: ここは【双子】の内的宇宙。
僕も君たちも、ぱくりと喰われ
あわれ腹の中というわけさ。
ルーサー : とはいえ、僕は特に不満もないよ。
ダークファルスの中に入る体験なんて
そうそう出来るものじゃない。
: 慣れてしまえば
なかなかどうして、楽しいよ?
: それに僕はもう外に興味はない。
シオンのいない……全知のない世界に
興味なんてない。
: わかるかな、お嬢さん。
君たちと敵対する理由はもうないんだ。
……だから、武器を下げてくれるかな?
: ありがとう。
それじゃあ、武器はしまわずに
僕に付いてくるといい。
: 少々物騒ではあるが
なかなか面白い場所だよ、ここは。
折角だから、案内してあげよう。
A.P.???/?/?/??:??
ルーサー : どうだい、面白いものだろう?
これが【双子】の内的宇宙だ。
喰われたものの集う、混沌の空間だ。
: 君たちも、奴と交戦したのであれば
その能力を見ただろう。
捕食物をコピーする、あの能力を。
: あれは、内的宇宙で生み出したものを
現世へと呼び出しているんだ。
: 平行宇宙、と言うべきかもしれないな。
取り込み、並列化し、呼び出す。
……ああ、調べるほどに、面白い。
: この情報を持っていれば
クローンなんかも、もっと上手く
作れたろうに……!
マトイ : 黙って……!
わたしは、シオンさんを消した
あなたを許していない……!
: アークスを弄び、皆を苦しめた
あなたのことを……!
ルーサー : 皆を苦しめた、か。
ならばなぜ、シオンは僕を
止めなかったんだろうね。
マトイ : え?
ルーサー : 彼女は人を超えた存在だ。
管制を僕が握っていたとはいえ
介入する手段はあったはずだよ。
: それなのに、彼女は
アークスを作ることも、クローンを
作ったことにも、介入をしなかった。
: それどころか、彼女自身が
ひとつの究極存在を生み出すほどだ。
マトイ : 究極存在?
ルーサー : ……ま、今となってはどうでもいい。
ただ、忘れてはならない。
: アークスが作られなければ
すでにこの世界はダーカーの
支配下にあった、という事実をね。
A.P.???/?/?/??:??
ルーサー : おっかない顔をしてるね、お嬢さん。
先程述べた事実が、そんなに不服かな?
マトイ : 当たり前よ……!
元はといえば、あなたたちフォトナーが
ダーカーを生みだしたのが原因なのに。
ルーサー : だが、全てのダーカーの元となる
【深遠なる闇】の作成を認めたのは
シオンなんだよ、お嬢さん。
: あの時、彼女は気付いていたはずだ。
彼女の演算能力ならば、未来とて
ある程度は見えていたはずだ。
: 【深遠なる闇】が生まれた結果
フォトナーがどうなるか、なんてね。
結果は知ってのとおりさ。
: フォトナーは【深遠なる闇】との戦いで
フォトンを扱う力を失い
アークスを作成した。
: 【深遠なる闇】は封印されたが
ダークファルスが残された。
: そして、アークスとダーカーは
今もずっと、戦い続けている。
無駄な戦いを、ね。
マトイ : 無駄なんかじゃない!
ルーサー : いいや、無駄なんだよお嬢さん。
: ……ダークファルスは
それぞれがそれぞれの
欲望を持っている。
: そしてその欲望は、依り代の
影響を受けて、さらに歪んでいく。
: 【巨躯】なんかわかりやすいだろう?
依り代の影響を強く受けた結果
本懐を忘れ、闘争のみを求めていた。
: 【若人】もそう、【敗者】……
僕もまあ、大差はなかったよ。
: だが、【双子】だけは違う。
【双子】だけは、本懐を叶えるために
その力を振るっている。
マトイ : 本懐……って?
ルーサー : 決まっている。
【深遠なる闇】の復活さ。
: 【深遠なる闇】を手っ取り早く
復活させる方法、それは全ての
ダークファルスを、喰らうことだ。
: さすればその内に【深遠なる闇】と
同等のダーカー因子が集まり
やがて復活するだろう。
: 思い出してみるといい。
【双子】は【若人】と【敗者】を喰らい
そして【巨躯】も喰らったはずだ。
: もうカウントダウンは
始まってるんだよ。
: 【深遠なる闇】が復活し
この世界が滅ぶまでの
カウントダウンが、ね。
>【深遠なる闇】を倒せばいい
ルーサー : 【深遠なる闇】はダークファルスの親だ。
好きなだけダークファルスを
生み出せるんだぞ?
: 【双子】だけでも苦戦している
君たちに、勝ち目はないよ。
>そうなる前に【双子】を倒す
ルーサー : そうだね、それが唯一の手段だろう。
【深遠なる闇】が復活してしまえば
ダークファルスは生まれ放題だ。
: 【双子】だけでも苦戦している
君たちに、勝ち目はないだろう。
: もっとも、今君たちのいるここは
その【双子】の腹の中ということも
忘れないでほしいけどね。
マトイ : ……わからない。
【深遠なる闇】って一体何なの。
どうしてそんなのを、作ったの。
ルーサー : ……【深遠なる闇】はシオンの模倣品。
フォトナーが作り上げようとした
人造の全知存在さ。
: フォトンに演算能力を持たせ
判断力を与え、全ての管理を代行させる
人類の怠惰のための、人造全知存在。
: だが、当時の人類は文明の末期だ。
怠惰の末、負の感情が入り交じる最中で
それを作り出してしまった。
: フォトンは、感情の影響を強く受ける。
多ければ多いほど、内在感情の変化で
劇的にその能力を変貌させる。
: 結果、【深遠なる闇】は
負の権化となり、ダーカーを生んだ。
宇宙の全てを、滅ぼすため。
: 僕に問うたね、お嬢さん。
どうしてそんなのを作ったのか、と。
それは僕も、聞いてみたかった。
: 破滅が予見される最中
どうして彼女は止めなかったのか。
: でも、今なら少しは
彼女の気持ちもわかる。
: きっと、彼女は
「寂しかったから」と
……答えるんだろうな。
A.P.???/?/?/??:??
ルーサー : ……さて、ここまで僕は
外の世界について、話してきた。
: 【深遠なる闇】は復活する。
滅びは必定だ、ということを
話してきたつもりだ。
: そんな、苦しみしか存在しない世界に
……それでも、君たちは戻る気かい?
>迷いなく頷く
ルーサー : ……ふふっ、とても滑稽だな。
>マトイを見る
マトイ : ……迷う必要なんてないよ。
○○。
: わたしたちのいるべき場所は
……ここじゃない。
ルーサー : ……ならば、出るといい。
ここが、宇宙の端だ。
: クラリッサを構えろ、力を集めろ。
ダーカーを倒し、ダーカーを喰らう
そのときのイメージと同じだ。
マトイ : そんなので、道が出来るの?
ルーサー : 僕には無理だが
君たちなら、可能だ。
君たちは、アークスだからな。
: さあ、行け、『出来損ない』
全知の失われた不確かな世界を
せいぜい、楽しんでみせてくれ。
A.P.239/3/13/12:00
サラ : ○○……
それに、マトイも!?
シャオ : どこから、どうやって……!
マトイ : あ……ええっと……
ただいま、かな?
シャオ : ……サラ、フィリアに連絡。
メディカルチェックの準備を。
サラ : わかった。
シャオ : ハルコタンを探索中の
みんなにも連絡しないと……
: ああ、まったく。
帰ってくるにしても
急すぎるよ、君たちは!
マトイ : う……なんだか、いっぱい
心配させちゃったみたいで
ごめんなさい。
シャオ : ……無事で、よかった。
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