マトイ : ねえ、ジグさん。
何かおかしなところ、ない?
ジグ : うーむ……そうは言われても
わしが見る限り、損傷はない。
修繕は完璧のはずじゃ。
マトイ : でも、なんか違うというか……
ちょっと戦ってみてわかったんだけど
こう、感覚が違ってて。
ジグ : ……言いたいことはわかる。
今のクラリッサからは
底知れない力のようなものを感じん。
: 以前、修繕したときともまた違う。
あの時は力が目覚めていなかった。
今回は……失われた、というべきか?
: どういう表現が正しいのかわからんが
なんにせよ、以前のような力は
なさそうじゃ。
マトイ : ……そっか。
なんでだろう。
レギアス : それはおそらく
シオンがいなくなったから、だろう。
: 創世器は、マザーシップより
力の供与を受け、驚異的な性能を
発揮していた武器だ。
: マザーシップの……シオンの力を失い
今は全ての創世器が
能力を落としている。
ジグ : ……まあ、たしかにのう。
あの程度の性能でよければ
わしにでも作れるほどじゃ。
レギアス : マザーシップの力なしで
使った『世果』は、壊れてしまった。
それも、ただの一度の使用で。
: 創世器には、それだけ
マザーシップの……シオンの力が
重要だったということだ。
: それに、クラリッサについては
我々の持つ創世器と
ルーツすらも異なる。
: 形が残ったことがすでに奇跡だ。
恐らくその力、元には戻るまい。
マトイ : ……じゃあ
このクラリッサはシオンさんの
肩身、みたいなものなんだね。
レギアス : ……そうだな。
ジグ : ……して、レギアス。
わざわざ来たということは
例の話がまとまったのか?
レギアス : ああ、そうだジグ。
シャオの許可は得た。
新たな創世器の製作を依頼する。
ジグ : ふん、簡単に言ってくれるのう。
だが、刀匠としてその依頼
受けない理由はない。
: ああ、そうじゃ。
よければそのクラリッサも
もう一度修繕してみるか?
: 仕組みを作り替えれば
以前とまではいかずとも
近い力を取り戻せるやもしれん。
マトイ : ……ありがと、ジグさん。
でもわたしは、このままでいいや。
このクラリッサと、一緒にいる。
|