Radical   Discovery 



  
星のひかりは消えゆきて


  「ふるとしの ほしのひかりは きえゆきて
          ことしのあさひ さしのぼるなり」

                    ── 『真爾園翁歌集』



  「今年は妖怪の一年、ねぇ」
 レミリア 「信じないって顔したってね、みんな目撃したのよ。
       ルシファーが太陽にも負けずに輝いているのを!」
  「太白星が、ねぇ」
 レミリア 「霊夢が唖然としている表情、見物だったよ」
  「見世物よ。で、貴方が起こすの? 異変」
 レミリア 「去年はがっつり楽しませてもらったからねぇ。
       今年は譲っても良いかと思ってるんだ。
       でも宇宙人は引きこもりで、山にきた連中は思ったより暴れない。
       あのうっすら消えそうな連中はどうかな?」
  「その連中を呼ばずに、私なのね」
 レミリア 「勝手に来たんじゃないか。
       まあ、私はどのみち外を出歩けないし、伝えておくれよ」
  「あら、私に行かせようって言うの?」
 レミリア 「だって、その為に出てきたんでしょ?」
  「太白星が輝くなら、それは私の年よ。
    今年は忙しくなりそうね」
 レミリア 「ふぅん」
  「でも、幻想郷は前例が大事なのですよ。
    異変を起こすのは妖怪でなくてはならない。
    博麗の巫女は異変に打ち勝たなくてはならない。
    古き星の光は消え、新しき朝が来なくてはならない」
 レミリア 「うん?」
  「今年は忙しくなりそうね」



ふる年の 星のひかりは 消えゆきて 今年の朝日 さし昇るなり
  (旧年の星の光は消えていって、
     新年の朝日が昇るのである)

                       ── 大国隆正