魔殿

  比那名居天子の霊霄殿
  音羽山
  虧たる事も無しと思へば
  君が代
  草葉も物は思ひけり
  雲井の桜
  雲の通い路
  心のうちに宿はさだめむ
  衣乾したり天の香具山
  墨染に咲け
  濁りすむこと定めなくして
  ねこじて植えし梅
  花の色はうつりにけりな
  花の下にて春死なむ
  早稲を饗すとも
  春の湊
  藤波今咲きにけり
  古き軒端のしのぶにも
  星のひかりは消えゆきて
  耳なしの山のくちなし
  宮人とよむ里人もゆめ
  昔におよべ
  むらさきの色
  物言ふよりは酒飲みて
  八雲立つ
  山越えて海渡るとも
  夢の世さませ暁の鐘
  わが宿は言はでこそ
  渡り川
  我と等しき人しなければ