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夢の世さませ暁の鐘
「おもふこと なるとしならば はつせやま
ゆめのよさませ あかつきのかね」
── 『中院詠草』
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霊夢 「ねぇ、おかしいわ」
紫 「おくゆかしいわね」
霊夢 「この廊下、いくらなんでも長すぎる。
兎も見失ったし、外の様子もおかしい……」
紫 「巫女は神の声を聞くのでしょう。
ここが相応しい地かどうか、耳を澄ませなさい。
霊夢の勘は全て正解。神託に偽りなどあるものですか」
霊夢 「あんたが強引にこの道を選んだんでしょうが。
きっと犯人に騙されてるわよ。私の勘がそう言ってる」
紫 「なら私が託宣しましょう。
弓で八十神払えど、この目は射抜けず。
常世の波の寄する郷、その夢を囲う」
霊夢 「何言ってんの?」
紫 「貴方も巫女なら判るでしょう」
霊夢 「判んないけど、何が出ても倒せばいいんでしょ?」
紫 「大正解。この異変には三人の犯人がいる。
私達は犯人の思惑に乗ったけど、真犯人はどうでもいい。
私達の目的と、犯人の目的はすれ違っている」
霊夢 「三人目はあんたか」
紫 「夜明けも近いわね」
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思ふこと なるとしならば 初瀬山 夢の世さませ 暁の鐘
(願い事が叶うというのなら、長谷寺の鐘よ
煩悩の世から我が目を覚ましてくれ)
── 藤原為家
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