Radical   Discovery 



  
濁りすむこと定めなくして


  「わがこころ いけみずにこそ にたりけれ
          にごりすむこと さだめなくして」

                  ── 『続後拾遺和歌集』 1315



 妖夢 「はーっ」
  「ご苦労さんねぇ」
 妖夢 「あ、紫様……。お見苦しいところを見せてしまいました」
  「冥界で美味しいお酒が飲めるのは妖夢のおかげね」
 妖夢 「この広さ、秋の落葉掃除は骨が折れます。
     どうして冥界には四季があるのでしょう」
  「骨は折るものですからね。
    山川草木悉有仏性。四季は今を生きている証拠。
    この扇子でさえも、悟る可能性を秘めている」
 妖夢 「冥界は、死んでいるのに、生きているんですか?」
  「妖夢、貴方にはまだ判らないかもしれないわね。
    でも半分は気づいているはず。
    寂静は大悟に非ず、喧騒にこそ本覚がある」
 妖夢 「えー……っと。よく判りません」
  「静かの海は目指すものではない。
    水面は動いてこそ、生きている」
 妖夢 「うーん……」
  「冥界はお酒が美味しい、ということよ」



我がこころ 池水にこそ 似たりけれ 濁りすむこと さだめなくして
  (私の心は、池の水に似ている。
     濁ったり澄んだり、さだめなく揺れ動いていて)

                       ── 法然