Radical   Discovery 



  
心のうちに宿はさだめむ


  「せめてなほ うきよにとまる みとならば
          こころのうちに やどはさだめむ」

                       ── 『拾玉集』



 霊夢 「わっ」
  「季節外れねぇ」
 霊夢 「いきなり炬燵から出てこないでよね。
     これはそのうち仕舞おうと思ってたんだから……」
  「橙が悲しむわ」
 霊夢 「丸くなるな。
     そんなことより、早く冥界の結界を何とかしてよね。
     あんたが怠けてるせいで幽霊が増えちゃったもんだから、
     春が戻ってきたのに肌寒いままで大変なのよ」
  「まあ、幽霊のいる神社なんて、儲かりそうね」
 霊夢 「今時心霊スポットなんてネタにもならないわよ。
     幽霊が減らないと、炬燵も仕舞えないし……」
  「橙が喜ぶわ」
 霊夢 「私が困るの」
  「幽霊も喜ぶでしょう。あてもなく漂っているより、
    こういうパワースポットに居た方が落ち着くんじゃないかしら」
 霊夢 「パワースポットって、あんたねぇ……」
  「清々しいでしょうね。私もここに住もうかなぁ」
 霊夢 「私が困るの!
     ってあんた、どこに住んでるんだっけ……?」
  「幻想郷よ」



せめてなほ うき世にとまる 身とならば 心のうちに 宿はさだめむ
  (我が身がなお俗世に留まるのなら、
     せめて心の中は俗世を離れた場所にあろう)

                            ── 慈円