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ねこじて植えし梅


  「いにしどし ねこじてうゑし わがやどの
          わかぎのうめは はなさきにけり」

                    ── 『拾遺和歌集』 1008



 霊夢 「さむ〜。いい加減にして欲しいわ。
     いつもならもう眠る季節だって言うのに」
  「春眠暁を覚えず、かしら?」
 霊夢 「あんたはずっと冬眠してなさい」
  「暁がないと困るわ。夜が明けないじゃない」
 霊夢 「夜が明けないより、春が来ないほうが困る!」
  「あらそう。春ならここに、ありますわよ」
 霊夢 「え……その桜の枝、どこから?」
  「もちろん、春があるところからよ。
    私はぐっすり眠れそうねぇ」
 霊夢 「うるさい、あんたに春を先取りされてたまるか!
     見てなさい、帰ったら永久に眠らせてやる!」

  「いってらっしゃ〜い。
    何も教えなかったけど、巫女なら辿りつくでしょう。
    幽々子……貴方の春は、幻想郷とともにある」



いにし年 ねこじて植ゑし 我が宿の 若木の梅は 花咲きにけり
  (去年の春、よそから掘り取って植えた
     我が家の梅は、今年の春に花を咲かせた)

                       ── 安倍広庭