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音羽山


  「あきかぜの ふきにしひより おとはやま
          みねのこずゑも いろづきにけり」

                     ── 『古今和歌集』 256



  「ねえ霊夢、隙間風が寒いわ」
 霊夢 「うわっ。いきなり出てこないでよ。
      あー、せっかくこれからお茶を味わおうとしてたのに。
      隙間風はあんたでしょうに」
  「お茶ならとっておきを持ってきたわ。
    貴方には、この音が聞こえるかしら?」
 霊夢 「音?」
  「この茶はね、風が吹けば香りが立つの。
    貴方が飲めば、きっと神社が賑わうわよ」
 霊夢 「何その、風が吹けば桶屋が儲かるみたいな。
      それより寒いの。早く障子を閉めてくれない?」
  「今年の山風は一味違うわよ。
    何たって、とっておきの新茶が出来たんだからね。
    こっちの神社は、どう色めき立つのかしら」
 霊夢 「色めく、でしょ。
      それに『こっちの神社』ってどういうこと?
      まるで神社が他にも出来たみたいな事を言うのね」
  「隙間風には気をつけなさい」



秋風の 吹きにし日より 音羽山 峰の梢も 色づきにけり
  (秋風が初めて吹いた日から、
     その音を聞いた音羽山も色づいたのだな)

                             ── 紀貫之