Radical   Discovery 



  
言は意を尽くさず

                  ── 『易経』繋辞上伝

  「あることを伝えるのは難しいこと。
    それでも普遍性を求めるのが人間なのね」




 天子 「ねえ、この一文はどういう意味なの?」
 パチェ 「『攻異端者害而已矣』。
      異端なものを知るのは害しかない。
      まずは正しいものからしっかり学べということよ」
 天子 「そのまま読んではいけないの?
     異端を排撃するのは害しかない。
     真説か妄説かなんて、誰が決めるの?」
 パチェ 「貴方のなかの孔子は平和的なのね。
      どちらにせよ、異端は意に介するな、ということ。
      『異端』という言葉を使う以上、正道があるわ」
 天子 「孔子は異端を定めたけど、私たちは知り得ない。
     真説か妄説か、後世が決めることもある」
 パチェ 「これは、アレよ。そう。書は言を尽くさず
 天子 「さらに言は意を尽くさず、よ。
     本に書かれているものは言葉には及ばないし、
     その言葉でさえ真意には及ばない。
     何かを表現して伝えるのは難しいということね」
 パチェ 「でも、それを言い尽くしたものがあるわ」
 天子 「あ、五行説の話はまた今度ね」
 パチェ 「ううー」



子曰く、書は言を尽くさず、言は意を尽くさず。
然らば則ち聖人の意、其れ見るべからざるや。

                  ── 『易経』繋辞上伝