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敬遠
── 『論語』 雍也
「鬼神を敬して、これを遠ざく。
まず人が為せる限界を、見極めよ」
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天子 「はぁあ、勉強なんてするもんじゃないわー」
霊夢 「あんたねぇ、ここに本を持ち込まれても困るんだけど」
天子 「良いじゃない。知を育むのに最も重要なのは、
学ぶに適した良い環境よ。ここ以上の環境は無いわ」
霊夢 「里の寺子屋にでも行ってきなさいよ。
あそこなら、角の生えた堅苦しい教師が居るわよ」
天子 「彼女には、ありのままの知が無いの」
霊夢 「そもそも知、って何?」
天子 「民の義に務め、鬼神を敬遠することね。
人はともすれば、神霊の力に頼ってしまいがちだけど、
それは現実的では無いわ。そう思おうとしているだけ。
神霊、鬼神に対しては、尊敬をはらうだけにとどめ、
まず人としてやるべきことは何かを考える、これが知よ」
霊夢 「何それ、神様は信じるなってこと?
じゃあ尚更、ここで勉強する意味が無いじゃない」
天子 「違う違う。人は人、神は神として分けて考えるべきなの。
それに、私はここにある、あるがままの自然環境が好きなのよ。
これを敬い、まずは目の前の本と向かい合う」
霊夢 「ふーん。口だけ動いて、本は進んでないようだけど」
天子 「う……、ともかく、知と向き合うのなら神霊は遠ざけるべきよ。
だって、どれだけ知を得ても、語れるものじゃないんだからね」
霊夢 「怪力乱神ね。あいつもたしか、角が生えてたわね」
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弟子の樊遅(ハンチ)は問う。
「『知』とは何でしょうか」
子曰く、
「民の義を務め、鬼神を敬いて遠ざける。これが『知』だよ」
── 『論語』 雍也
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