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好死は悪活に如かず
── 『通俗編』
「好死は悪活に如かず。
幽霊であれど、生を軽んじてはならない」
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妖夢 「うんたらしょっと」
天子 「おやおやこんなところまで。成仏でもしたくなったの?」
妖夢 「あ、天人様。ちょっと、いくつか桃が欲しいのですが」
天子 「桃で成仏できるのは貴方じゃないでしょ」
妖夢 「私じゃなくて幽々子様が……って違う違う。
でも、幽々子様が桃を食べたがっているのは本当」
天子 「私が退屈しているのも本当。ちょっと時間無い?」
妖夢 「私は急いでいるの。貴方の熟れた桃は、よく斬れそうね」
天子 「生を軽んじるは、死への冒涜。
表裏一体の貴方なら、この意味が判るかしら?
まあいいわ。ちょっと潰してもらうわよ」
天子 「うーん、暇が潰れたわー」
妖夢 「私は時間が……って、もう日が暮れちゃう!」
天子 「肝も潰れたわね」
妖夢 「幽々子様に怒られる〜……こうなっては、
刀に生きる者、死してお詫びをするしか……」
天子 「好死は悪活に如かず。
潔く死ぬよりも、みじめながらも生きている方が優れている。
諦めたら、そこで試合終了だよ」
妖夢 「この試合は貴方のせいですけどね」
天子 「終わっちゃったね。はい、これ、桃」
妖夢 「まだ間に合うかなぁ……」
天子 「また成仏したくなったら、いらっしゃい」
妖夢 「何かそれ、矛盾してません?」
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楚の季布は、約束は必ず守る堅い人物であった。
一時は囚われの身となり奴隷にまで身をおとしたが、
季布は生き延びて、ついに目的を成し遂げた。
史記の編纂者である司馬遷は彼を高く評価した。
「一時の恥辱がどんなものであっても、
生き延びてこそ、目的を達することが出来る」
── 『通俗編』
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