Radical   Discovery 



  
道に従いて、君に従わず

                        ── 『荀子』 臣道

  「道に従いて、君に従わず。
    人が不逞と罵ろうとも、天はお前を見ているよ」




 天子 「うさぎ、うさぎ、何見てはねる〜♪」
 鈴仙 「撥ねられたい?」
 天子 「今日は十五夜ね。貴方はもう、大丈夫なの?」
 鈴仙 「もう月から追手が来ることは無いわ。
      私は地上の兎として、満月を待ち続けるのよ」
 天子 「全てを反射する満月の輝きと、全てを包み隠す新月の輝き。
      貴方は、どちらが真実の月だと思う?」
 鈴仙 「私は、あそこから逃げ出した身。
      それに対する答えは、持ち合わせていないわ。
      だから私は、月に向かって銃口を向けたの」

 天子道に従いて、君に従わず。
      臣下の役目とは、君主に従い、ともに国を治めることである。
      しかし、君主が誤った道に進みそうになったとき、
      これを引き戻そうとするのも、また臣下の役目。
      ときには手荒い手段で、道に従わなければならない。
      お前には、あの戦争の真実が見えていたのでは?」
 鈴仙 「……」
 天子 「諫、争、輔、弼。
      貴方はこの内の、諫臣となって国を去った。
      その行動は、きっと月の歴史に影響を与えたはずよ」
 鈴仙 「……いいえ、私には何も見えていないわ。
      だって、私は波長を操ることが出来るもの」
 天子 「そして、今夜も月を撃つ」
 鈴仙 「兎は、月を見て跳ねるのよ」



君主を助け、国政をより良くするものが臣下の務めである。
だが、君主が道を誤ったときに、道を正せるのも臣下である。
正義のために、君に従わず、道に従わねばならない時もある。
諌臣──国を去る覚悟で進言する臣下。
争臣──命を捨てる覚悟で進言する臣下。
輔臣──集団の力で君主の意志を変えさせる臣下。
弼臣──君主の主権を奪ってまで反対する臣下。

                    ── 『荀子』 臣道


中では孝、外では弟、というのは人の小行である。
目上の者に従順で、目下の者に手厚い、というのは人の中行である。
道に従って君命に従わず、義に従って父命に従わない、
これは人の大行である。

                    ── 『荀子』 子道