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地の色は黄色
── 『易経』 坤卦
「天の色は黒く、地の色は黄色。
その兆しは天地未剖のうちから……」
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天子 「呪文?」
魔理沙 「格好良いだろ? あった方が」
天子 「そりゃまあ、魔法使いならねぇ」
魔理沙 「お前なら都合の良い文句をいっぱい知ってると思ってな。
ほれほれ、沢山作りたいから何でも言ってくれ」
天子 「いやぁ……私はそういうのはちょっと苦手で……」
魔理沙 「嘘付け。お前のポエム見たことあるんだぜ」
天子 「え!」
魔理沙 「誰だか忘れたけど、あいつが広めてたぜ。
ソウリョウなんとかがこんなことをするなんて、地震が起きるーって」
天子 「ああ、龍宮の使いだわ……」
魔理沙 「でもお前、すごいよな。
千字びっしり漢字なんて、頭おかしくなったのかと心配したぜ」
天子 「……? それもしかして、『天地玄黄』から始まってた?」
魔理沙 「おう。もっと教えてくれよ」
天子 「そ、それは『千字文』という習字の練習文よ。
五行説から、計り知れない天を黒、大地を根源的な黄に例える。
世界の創世から語る神話的な文章よ」
魔理沙 「なんだ、お前のポエムじゃないのか」
天子 「そう、私はそういうの……しないから。
でも、魔法使いとして努力するのは大したもんね。
貴方の人間的営み、その可能性は『黄』だと思うわ」
魔理沙 「私は大地に根を下ろした普通の人間だからな。
地の色は黄色か、良い事聞いたぜ。礼は言わん」
天子 (良かった……流出してなくて)
魔理沙 「ああ、それから天狗が言ってたぜ。
お前の文章はネタにはなるけど『てにをは』が甘いって」
天子 「え!」
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天の色は黒、地の色は黄色。
── 『易経』 坤卦
天地玄黄 宇宙洪荒
(天は黒く地は黄色。世界は広くてはっきりしない)
──中略──
謂語助者 焉哉乎也
(助字には、焉・哉・乎・也がある)
── 『千字文』
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