Radical   Discovery 



  
朝三暮四

                       ── 『荘子』 斉物論

  「朝に四にして暮に三にせん。
    目先の利益に囚われては好機を逃がす」




 天子 「さっきから騒がしいと思ったら、貴方たちね。
      大人しくしないと、もっと騒がしい巫女が来るわよ」
 スター 「見つかった! サニー何やってるの!?」
 サニー 「音を消さないルナが悪いんでしょう!」
 ルナ 「ちょ、ちょっと待って!」
 天子 「まあまあ、取って食べたりしないわよ。
      私は比那名居天子。ちょっとわけあって地上にいる天人よ。
      貴方たちの悩み、聞いてあげようじゃないの」
 サニー 「……て、天人……?」
 スター 「悪い人じゃなさそうだけど……」
 ルナ 「天って良い人なの?」
 天子 「良いも悪いも無いけど、
      貴方たちのことは魔理沙からよく聞いているわ」
 サニー 「魔理沙さんのお友達!」
 ルナ 「じゃあ悪い人よ!」
 スター 「でも信用は出来るかも……。実はですね。
      この神木には、毎朝お団子が九つ奉納されるのですが、
      九個では分け方が判りません」
 ルナ 「十個とか二十個ならキリが良いと思うんです。
     それで霊夢さんにもお願いしてるんですが、通らなくて……」
 天子 「妖精も十進法を採用したのかしら……。
      まあ、そういうことなら、良い方法があるわ」
 サニー 「本当ですか!?」
 天子 「三個のお団子を、朝昼晩、三回もらいなさい。
      三個なら貴方たちが一個ずつ食べられるし、
      一日に三回も貰えるんだから、お得でしょう?
      これなら霊夢も頷いてくれるはずよ」
 スター 「そんな意見が通るのですか?」
 天子 「もちろん。毎朝一回だけの神饌なんて巫女の怠慢よ。
      何なら私が直接改善してきてあげましょう」
 サニー 「ありがとうございます! 天子さんってすごい!」
 スター 「一日一回が三回になるなんて……」
 ルナ 「相談して良かった……やっぱり良い人だった!」
 天子 「いやあ、それほどでも……」



宋の国に狙公という猿回しをする老人がいた。
そのうちに家計が苦しくなった狙公は餌を減らそうと考え、
「これからはトチの実を朝に三つ、暮れに四つやる」と言ったが、
猿が「少ない」と怒ったため、「朝に四つ、暮れに三つやろう」と
言ったところ、猿は喜んで承知したという。

                     ── 『荘子』 斉物論