星蓮船 - 霧雨魔理沙A Stage... 1 2 3 4 5 6 Ex
Stage 1 春の湊に舟の影 残雪の道
魔理沙:何という事だ。地上スレスレを飛んでいたら空飛ぶ船に追いつけない事を知った。
ナズーリン:この辺に宝の反応が……なんだ、さっきの人間か。つまらん。
魔理沙:宝の反応だと? この辺に宝があるのか?
ナズーリン:ハズレさ、ハズレ。どうやら宝の反応は君だったみたいだ。人間はレア度0だからわざわざ拾わないよ。
魔理沙:私は比較的、ナマのつもりだったんだがな。
ナズーリン:さて、次の宝を探さないと、あのお方の小言を聞くはめになるな。
魔理沙:宝を集めているのか? あの宝船と何か関係があるのか?
ナズーリン:宝船? 空に浮かぶアレの事か? 見ようによっては宝船かも知れないが今は違う。
ま、人間には用はないが……可哀想だが、私の小ネズミ達が食欲を抑えきれない様子だよ。
魔理沙:今のネズミは一体なんだったんだ? まさか、宝船がネズミに荒らされたとか。
何にしても自分で確かめるしかないか。
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Stage 2 雲に潜む一つ眼の化生 春の雲
小傘:ちょっと待ってよ〜。
魔理沙:待ってられん。船が私を呼んでいるんだ。
小傘:あらら、先を急いでいるのね? じゃあ私はこの辺で。
魔理沙:……待て。大人しく帰るたあ、怪しい奴だ。
小傘:じゃあ帰らない。暇だもん。
魔理沙:なんだお前? あの船からの回し者か?
小傘:船? 関係ないよ。
私は人間を驚かす事を生き甲斐とする愉快な妖怪。と言うわけで驚けー。
魔理沙:知るか。
小傘:ぐすん。
魔理沙:船と関係がないのなら邪魔をしないでくれ。私は忙しいんだ。
小傘:じゃあ、こうしたら驚いてくれるかな?
小傘:うらめしやー。驚いた?
魔理沙:驚かないなぁ。街の妖怪、みんなお前みたいな芸のない奴らばかりだ。
小傘:ぐすん。妖怪の存在意義って……。
魔理沙:雨を凌げるようになれば驚くかもしれんな。その手に持っている奴で。
小傘:なんと、原点回帰しろって事ね! 確かにいいかも……。
魔理沙:そんじゃ、目的の船に追いついたから私はここで。
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Stage 3 高速の廃墟と巨人 高速浮遊艇
一輪:妖精やら人間やら有象無象が寄ってたかって……宝物庫狙いなの?
魔理沙:宝物庫だと? なんという魅力的な響き。
一輪:問答無用! 賊の類に掛ける情けは無し。
一輪:いやはや、あの拳を見て逃げ出さない人間がおったとは……。
魔理沙:お前を締め上げれば宝が手に入るという物語だったのか。
……逃げたな。
一輪:何が目的なのかしら。宝物? それとも姐さんの力が目的?
魔理沙:姐御、だと? ……それよりは宝だな。うん。
一輪:やはりただの賊ね! 私は姐御の代わりに宝物の番をしている一輪。賊は生かしておけないよ!
魔理沙:あっはっは、賊だって? 私を誰だと思っている! ただの賊じゃない。普通の魔法使いさまだ!
一輪:で?
魔理沙:まぁそのなんだ。そんな事だから気にしないでくれ。
一輪:……え? 何だって、この黒いのが……?
魔理沙:何? どうした? 突然独り言を始めて。
一輪:貴方が飛宝の破片を集めているって雲山が言っているわ。
魔理沙:秘宝の破片だと……? 妖精達を狂わせていた変な物体なら拾ったがな。
一輪:ネズミに捜させても埒が空かなかったのに……。
集めてくれて有難う! これでやっと姐御が復活出来るわ!
一輪:素晴らしいわ。今の世にもこんな人間が居たなんて。
魔理沙:その辺の妖怪にゃ負けないよ。
一輪:飛宝を集めてるって事は、貴方も姐さんの復活を望んでいるのでしょう?
魔理沙:なんだ秘宝って。もしかして、妖精が落とす変な飛行物体か?
一輪:良いんです良いんです。貴方も同胞の様ですから。
魔理沙:……なんだ? この変な飛行物体。高価なのか……?
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Stage 4 聖輦と不吉な船長 聖輦船内部
魔理沙:つかまされたぜ。何にも無いじゃないか、この船は。
となると、この秘宝とかいう飛行物体でも持ち帰って調べてみるか。
村紗:誰か居るの? 人間……? それとも貴方も人間を辞めた者?
魔理沙:……妖怪か。この船は一体なんなんだ?
村紗:あら貴方、良い物を持ってるわね。
魔理沙:うん? やっぱりこれが気になるのか?
村紗:ええ、それさえあればこの船は目的地に向かう事が出来ます。
魔理沙:目的地だと?
村紗:申し遅れました。私は村紗、この聖輦船(せいれんせん)の船長です。
この船は、聖(ひじり)が封印された法界に向かっています。
魔理沙:法界だと? なんだそれは。
村紗:無限の広さを持つ魔界の、ほんの一角です。そこに聖が封印されているのです。
魔理沙:魔界……。
村紗:恐れをなしましたか?
魔理沙:いや、魔界には行きたかったんだ。魔法使いとして。
村紗:魔法使い? もしかして人間じゃ無かったのかしら?
魔理沙:さあな。ま、連れて行って貰おうか。
村紗:ふふ、残念ながら力無き者の乗船は認めておりません。さ、その宝を置いて地上に戻りなさい!
村紗:強いわ……仕方が無い、乗船を認めるわ。
魔理沙:もう乗船してたがな。それで魔界……法界に向かうって言ってたが、乗っていれば着くのか?
村紗:ええ、貴方が宝を持ってきたので、もう向かっています。
魔理沙:いつもは瘴気が酷くて入れないが、魔界には色々面白い物が落ちているからな。
この際だから瘴気は我慢して、珍しい物をいっぱい拾ってコレクションしてやるぜ!
村紗:ちなみに、この船は片道運航です。法界から戻ってくるつもりは無いですが……よろしかったでしょうか?
魔理沙:いやちょっと待て。船を止めろ。
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Stage 5 魔界の赤黒い封印 魔界(法界上空)
ナズーリン:おや? 君も魔界まで来たのかい?
魔理沙:おや、いつぞやのネズミじゃないか。やっぱり、魔界に宝の匂いでもするのか。
ナズーリン:宝はもう見つけたよ。
魔理沙:なんだと? 狡いな、私は結界に拒まれて魔界に降り立てないんだが。
ナズーリン:いや、私の探していた宝は魔界の物ではない。法の光を放つこの宝塔さ。
丁度良い。この宝、君に試してみよう。
魔理沙:うーん。おいおい。魔界に放り出されたのは良いとしても、地面に降り立てないじゃないか。
何なんだ? この不可解な封印は。これじゃあ、お宝も何も拾えないぜ。
星:貴方が飛宝を集めてくれた人間ね。さあ、早速始めましょうか。
魔理沙:おお? もしかして、ここの中に入れる様になるのか?
星:ええ、そうです。その為に持ってきたのですよね? その飛倉(とびくら)の破片。
魔理沙:ん? あ、ああ、まあな。
星:私は毘沙門天の代理。聖の信仰を一身に受けていた者です。
ナズーリンが持ってきたこの宝塔と、貴方の持ってきた飛倉の破片が揃えば、ここの封印を解く事が出来ます。
聖への恩を返す事が出来るのです。
魔理沙:ほうほう、で、この封印を解くと何が出てくるんだ?
星:あれ? 知らないで集めていたんですか? 飛宝。
魔理沙:あ、いや、その、ちょっとど忘れしただけで。
星:ふむ、その様子だと、最初から知らなかったみたいですね。
魔理沙:てへ。
星:貴方がここに導かれてきたのも、聖が残した飛宝の力かも知れない。
しかし、聖の復活を拒む者かも知れないし、ただの賊かも知れぬ……。
魔理沙:いやいや、私はただこの中に入りたいだけで。
星:ただの賊か……。ただ、賊であろうとも飛宝が選んだ人間には間違い無い。
もし貴方が道を誤っているのであれば──この毘沙門天の宝塔の前にひれ伏す事になるでしょう!
星:貴方の道は間違ってはいなかった。
魔理沙:負け惜しみか?
星:さあ、封印を解く準備をしましょう。
魔理沙:あ、ああ、そうだな。その前に聞きたい事がある。ここの封印を解くとどうなるんだ?
星:その後は、聖の考える事です。私達の考えの及ぶ事ではありません。
魔理沙:何か、まずったかも知れないな。大事になったら私が事態を収拾させるしかないか。
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Stage 6 八苦を滅した尼公 法界
魔理沙:うえーい。何にもないぜー。この世界。
ただ、流石魔界だな。ここに居るだけで魔法の力が湧いてくるというか。
白蓮:ああ、法の世界に光が満ちる。貴方がこの世界を解放してくれたの?
魔理沙:お前か……探したぜ。
白蓮:貴方は一体?
魔理沙:私は魔法使いの魔理沙だ。ちょっと興味があってこんな処まで来ちゃったぜ。
白蓮:そうですか、魔法使いですか……。
魔理沙:お前は何者だ?
白蓮:私の名は白蓮。遠い昔の僧侶です。いや、魔法使いと言った方が通りがいいかしら?
魔理沙:何だと?魔法使いだと? お前も同業者なのか?
白蓮:ええ、そういう事になるのかしらね。だから私を助けてくれたのね?
魔理沙:いや、そんなつもりじゃなかったんだがな……。
白蓮:それにしても、もう魔法を使っても大丈夫な世界になったのね?
私は人間であった頃に不思議な力を使った事で、人から忌み嫌われ、挙げ句の果てに封印されてしまった。
魔理沙:何だと? 魔法を使ったが為に封印だと?
白蓮:ええ、それで私は妖怪の存在を認めて平等を訴えたの。貴方は私の考えを支持してくれますか?
魔理沙:今の世界は……魔法を使っても大丈夫だと思うが、妖怪と人間は平等ではない!
人間の方が弱いんだから、もっと優遇されるべきだ!
大体、妖怪が平等と言って平等であった試しがないぜ。お前みたいな妖怪がな。
白蓮:そうですか、私は既に人間を辞めた者。人間じゃない私が平等を訴えても無駄と言う事ね。
魔理沙:そういう事だ。
白蓮:私が寺にいた頃と人間は変わっていないな。
誠に浅く、大欲非道であるッ! いざ、南無三──!
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Stage EX 未確認飛行幻想物体 夜の空
小傘:うらめしやー! この間は失敗したわ。人間を驚かすには、やっぱり夜じゃないとね!
魔理沙:何処に消えた?
鳥に姿を変えたり、獣になったり……UFOに乗っていたアレはなんなんだ?
どうも、白蓮達とは関係のない妖怪の仕業って感じがするぜ。
ん? なんだ、この不気味な鳴き声は……獣とも鳥とも赤ん坊とも取れる様なこの鳴き声……まさか!
ぬえ:聖救出、おめでとう!
まさか、飛倉が妖怪退治を専門とする人間の手によって集まるなんてね。
魔理沙:初めて聞いたぜ、正体不明の妖怪の鳴き声。鵺(ぬえ)! 光の玉の正体はお前だったのか。
ぬえ:ご名答。いや、魔界まで行ってあの僧侶を助けたかと思ったら、
まさか、有りもしない幻のUFOをこじ開けて私を追ってくるなんて驚いたわ。
魔理沙:あれ? 鵺って、頭は猿で体は狸、手足は虎で尾は蛇じゃ無かったのか?
ぬえ:さっき、貴方も言っていたじゃない。正体不明の妖怪だって。
魔理沙:ああ言ってたな。
ぬえ:正体不明ならなんで姿が判るのよ。
魔理沙:それは昔からの言い伝えで……。
ぬえ:私は滅多に人間の前に姿を現したりしない。
正体不明が、人間を怖がらせる事に一番有効だと知っているからね。
魔理沙:正体知っちまったぜ。私。
ぬえ:飛倉に仕込んだ正体不明のタネに付いて貴方が嗅ぎ回るから、私の正体不明にキズが付く前に何とかしないとと思ってね。
魔理沙:む、やる気か? UFOがなんだったのか、倒してからじっくり聞いてやるぜ!
ぬえ:知識に頼り、想像する事をやめた人間よ! 正体不明の飛行物体(だんまく)に怯えて死ね!!
ぬえ:ま、まさか、こんな正体不明の人間にぃ!
魔理沙:おお、正体不明に怯えるのはお前の方だったみたいだな。
ぬえ:で、貴方の目的は何? また私を閉じ込めるつもり?
魔理沙:閉じ込める? ああ、そんな趣味はないぜ。それより、このUFOだよ、UFO。
どうやら白蓮達にはUFOに見えないらしいが、なんなんだ? 一体。
ぬえ:それは、正体不明のタネを仕込んだ飛倉の破片よ。
正体不明のタネは、その物体の定義を否定して、見た者の知識の中から、それに似合った形として認識させる私の分身。
魔理沙:どういう事だ?
ぬえ:貴方は未定義の飛行物体を見て、それを円盤UFOと認識したの。だから、UFOに見えただけ。
魔理沙:ほほう? 私はUFOは地球に来ていると信じているがな。
ぬえ:その心が、UFOに見せたのよ。人によっては木片、人によっては鳥、獣もしかしたら、弾幕に見えた者もいるかもね。
魔理沙:そんな事して、何が目的だ?
ぬえ:ムラサ達の邪魔をしたかったのよ。混乱させて、何事も失敗するようにと。
そしたら貴方の大活躍によって飛倉は集められてしまった。
私は逆に貴方に興味を持ったわ。だから手助けもした。
魔理沙:手助け、だと?
ぬえ:ま、結局その人間にこうやって倒されてしまった訳だけど。
さあ、人間よ。私を煮るなり焼くなり好きにしなさい! あ、でも地底に閉じ込めるのは勘弁ね。
魔理沙:煮ても焼いても食えそうにないな、こいつ。
ま、楽しかったし、今日はこの辺にしておいてやるよ。
その代わり、その正体不明のタネとやらを分けて貰おうか。
ぬえ:ええ? まあ良いけどー。
魔理沙:やったぜ、って蛇じゃ無いんだな。
こんな光の玉なのか、タネって。てっきりUFOの中に入っていた蛇かと。
ぬえ:同じ物ですよ。貴方は、それを正体不明のタネと認識したから姿が変わって見えたの。
魔理沙:ふーん、面白いぜ。あと、霊夢にはまだUFOの正体を内緒にしておこう。
この正体不明のタネ。暫くはこれで遊べるな。
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