天子:あら、こんなところまで珍しい。
妹紅:おや天人、珍しいのはお互い様だ。
ここは河童の遊び場さ。貴方も下手に歩かないほうが良いよ。
天子:最近、貴方が山をうろついているのは知ってるよ。
もっと上まで来れば、幻想郷を一望できるのに。
妹紅:そうしたいのは山々だけど、手続きが沢山いるんだ。
貴方も知っているだろうが、ここは私が私になった山だ。
禁忌に触れて、私は人間からも妖怪からも外れてしまった。
今はここまで来ては、水の流れに罪を流しているだけさ。
天子:ははぁ、心の手続きね。
貴方はもっと、異端であることを誇りなさい。
妹紅:……また突拍子もないことを言い出すな。
天子:異端である特権は、まさに異端であることそのものよ。
人妖の理から外れた者を異端視する歴史に揉まれて、
本当に長く苦しんだことでしょう。
それでも巫女は、幻想郷は貴方を受け入れた。
貴方にしか立ち向かえない問題があるし、
貴方にしか明らかにできない事がある。違う?
妹紅:普通なら憤慨していたところだが、
貴方にそう言われると、また話は違う。
全く、無駄な貫禄だけは一級天人だな。
天子:不良天人とでも言いたげね。
妹紅:普通じゃないってことさ。
天子:普通って何かしらね。
でもそう。私は普通じゃないから、私なの。
妹紅:ありがとう。私はきっと、この世界を一望してみせるよ。
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