天空璋 - 紅葉を散らす天狗 射命丸文 Stage... 1 2 3 4 5 6 EX
野菜や果実が実り、一年の成果が見られる季節。
緑一色だった木々が色付き、転生の準備を始める
最も神秘的な季節である。
STAGE 1 朝露の先の真夏日 - Miracle Blue Sky 真夏の上空
文:麓の森の上空は真夏なのね。山の上は秋だったのに……。
ラルバ:力が有り余るー。ねえねえ、そこの黒い人ー。夏を楽しんでるー?
暇ならその無駄に大きな団扇で私を涼ませてー。
文:季節もおかしいけど、妖精のテンションもおかしいわね。
事件に関係なさそうだから、一思いに吹き飛ばせてあげましょう。
ラルバ:わーい、戦いだ戦いだ! 真夏の戦争だ!
ラルバ:こうさーん。
文:事件と関係無いところでエネルギーを使ってしまった。しかし……貴方妖精にしては強いのね。
ラルバ:力が有り余って仕方が無いの。今なら新世界の神にでもなれそうだわ。
文:昆虫型妖精の暴走……まあ夏の暑さにやられた感じかな。
記事になるような事件じゃなさそうね。異常気象の取材を続けましょう。
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STAGE 2 紅い山の孤独 - Red Mountain Loneliness 紅葉した山
ネムノ:なんだ? 天狗がなんでここにいる? ここには入ってこない約束だべ。
文:おっと申し訳ございません。ここは貴方の縄張りでしたね。
ネムノ:判ってて入ってきたと言うのなら問題だなぁ。
文:ちょっと取材に来たのです。
この辺が秋の中心地みたいですので、是非お話をお聞かせ頂きたいと思いまして。
ネムノ:この山はあんたらのだけのもんじゃない。
不可侵条約を一方的に破棄するのが天狗達(あんたら)のやり方だって言うんだな。
じゃあ、うちはうちのやり方でお前を迎えてやるぞ。山姥のやり方でな!
文:ちょっと止めましょう。私は貴方に対し何の敵意もありません。
山姥(あなたたち)の脱依存主義も自然主義も尊重しております。
私が来た理由はお話を伺いたいだけなんですが……。
ネムノ:あっはっは、天狗という奴はやはり喰えない奴だな。
人を武力で脅しておいて何がお話を伺いたい、だ。
気に入った。取材でも何でも受けてやる。
文:有難うございます。私は知っていましたよ。貴方達が本当は友好的な種族であることも。
ネムノ:それで、取材ってなんだべ。
文:今年の秋に関して、何か気付いたことはありませんか?
ネムノ:んー、何かあったのか?
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STAGE 3 神獣泳ぐ桜色の海 - Sea of Spring Pink 博麗神社の夜桜
文:見事な桜ね。神社は暴走した妖精や妖怪に乗っ取られているようだけど。
霊夢は留守かな。のんきなもんね。
あうん:天狗のブン屋ー? 暴力取材ならお断りだよ。今すぐ出て行ってー。
文:あれ? 貴方はいったい……。
あうん:私は神社の守護神。コマ犬の高麗野(コマノ)だよ。
巫女が留守の間は私が侵入者を追い払っているの。
文:コマ犬、ですか。そんなの居ましたっけ。
まあ良いです。お話をお聞かせ頂きたいのですが。
あうん:おーい、侵入者を追い払っているって言ってるでしょ。
それ以上神社に居るつもりなら、容赦しないよ!
文:では、この異常な桜についてお話をお聞かせ下さい。
あうん:暴力はんたーい。
文:暴力で追い返そうとした奴が何を言っているんですか。
あうん:しょうがないなぁ。
で、桜の話だっけ? それとも暴走している妖精の話?
文:ええ、何か諸々の異常に関して気付いたことが無いかと。
あうん:残念ながら私が知っていることは何も無いの。本当に無いわ。
文:そうですか……確かにそんな顔してますね。先の山姥も何にも情報を持っていなかった。
こんな幻想郷を覆うくらいの異変なのに、全く首謀者の手掛かりが無いなんて。
思ったより陰湿で用意周到な奴の仕業かも知れないわね! 千年に一度の大スクープの予感だわ!
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STAGE 4 視界ゼロの邂逅 - White Blizzard Out of Season 魔法の森上空(推測)
舞:ほー、天狗……?
文:はいそうです。お話をお聞きしたいのですが、お時間宜しいでしょうか?
舞:だめだめだめ。アンタは同類だが天敵じゃないか。
天狗が出てくることも想定していたが、驚いたわー。
成美:力がみなぎるわー!
何故だろう、こんなに魔力が溢れ出てくるなんて……。
誰でも良いから、この力を試したい!
舞:あはは、間に合った。お前の相手はこいつよ。それじゃあ僕は帰るねー。
文:あ……逃げやがった。
でも、目の前の貴方も気になります。ついでにお時間宜しいでしょうか?
成美:良いよ! 相手してくれるんだー!
文:相手? インタビューですよね。
成美:そうじゃないわ。吹雪が私に力を与えてくれているみたいで、
その力をぶつける相手よ! くたばれ天狗野郎!
文:この理由なく好戦的な感じ……嫌いじゃない! むしろフェイバリット!
文:さて、インタビューに入ります。
成美:……しくしく。はい。
文:さっき貴方は、吹雪に力を得たと言ってましたが、どういう意味でしょう。
成美:悪いけど私も判らないわ。妙に力が湧いてくるというか。
普段はこんな好戦的じゃあないのよ。ひっそり暮らしたい派なのよ。
それに……なんだか背中が熱いわ。
文:……さっきいた竹を持っていた奴は誰? 知っている人?
成美:え? 竹を持っていた奴? 誰の事?
文:戦う前に貴方の後ろで踊っていた奴です。
成美:嘘だぁ、いくら吹雪が酷くても踊っていたら判りますよー。
文:……お地蔵さんは注意力が無い、と。
成美:さっきから背中が熱くて、後ろを何度も見たけど誰も居なかったし。
文:背中が熱いなら……医者に診せなさい。それとも石工の方が良いのかな。
ん? 貴方、背中に扉があるわよ!?
成美:え? 何それ怖い。
文:さっきの奴が、背中に取り憑いて力を与えていると見た!
もしかしたら、今まで戦った奴の背中にも潜んでいたのかな。
虎穴に入らずんば虎児を得ず! 中は……広そうね。
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STAGE 5 童子は狂気を跳ね踊る - Into Crazy Back Door 後戸の国
文:やっと重要参考人を見つけました! それではインタビューをします。
舞:あれ!? さっきの天狗!? 何故ここに……。
文:地蔵の背中からやってきました。
舞:あちゃー、扉開きっぱなしだったかー。
里乃:もー、舞ったらおっちょこちょいなんだから。
天狗なんて引き入れてどうするのよ。絶対に怒られるわよ。
舞:いやー失敗したわー。でも僕は怒られるとは思わないよ。
僕らの仕事は天狗を退く事だからね。ここでやっつけちゃえば良い。
文:天狗を退く仕事……? 貴方達は一体何者なの。
舞:僕は丁礼田 舞。
里乃:私は爾子田 里乃。
障碍神の二童子よ。本質的には貴方と同類ね。
文:障碍神……何か聞いた事があったような。
里乃:障碍神……それは物事を妨げる神である。
舞:僕らは天狗と同じような行動を取って、天狗を退くのさ。
文:私はただ、四季異変のインタビューしたかっただけですが、戦うしかなさそうね。
舞:その場がここになるとは予想外だったが……。
とくとみよ! 僕らが二童子の秘儀「天狗怖(おど)し」だ!
文:ふん、口ほどにも無い。
舞:これは手強い。予想外だな。
里乃:舐めてかかってたわね。
文:私は貴方達と敵対する必要がありません。四季異変の情報さえ手に入れば良いのですが。
舞:四季異変? あれは僕達がやったわけじゃ無いよ。
文:え? そうなんですか?
里乃:私達は背後で踊ることで対象の潜在能力を無限に引き出せるの。
舞:僕達は普段隠れていた奴らの可能性を見つけだすと共に、
天狗の様な障碍の妖怪を退くという使命を受けてやったのさ。
里乃:四季異変は私達の踊りの結果、暴走した妖精や精霊、神霊達の仕業よ。
文:メモメモ……つまり、まとめると、貴方達は使命を受けてあちこちの妖怪に力を与えていた。
その副作用で妖精達が暴走して自然がおかしくなった……と。
つまり四季異変の犯人は貴方達じゃないですか。
里乃:ごめんちょっと待って。 ……え? ……判りました。
舞:何? お師匠様から連絡?
里乃:お師匠様が私達を呼んでるわ。多分怒られると思う。
舞:げー! 嫌だなぁ。
文:居なくなってしまった。四季異変を起こしている犯人は見つけることが出来たけど……。
障碍神ねぇ……何か天狗の歴史で聞いた事がある気がするなぁ。
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STAGE 6 開けるなかれ、見るなかれ 後ろの扉に秘天あり - Hidden Star in Four Seasons 後戸の国
文:さっきの二人にもっと話を伺いたかったのですが、何とも不思議な世界ですねぇ。
地蔵の背中からこんなに世界が広がっているなんて……。
隠岐奈:あっはっは、これは面白い! 後戸の国に天狗とはな! 世も末か。
本来、私達は天狗と同じ障碍を司る者だが、住むべき場所は違う。
文:天狗と同じ……? 貴方は一体何者ですか?
隠岐奈:私は摩多羅 隠岐奈。
後戸の神であり、障碍の神であり、能楽の神であり、宿神であり、星神である。
文:色んな二つ名があるんですねぇ。
隠岐奈:ふっふっふ、まあ天狗のお前なら判るだろう。
こんなに多くの神格を持っている筈なんて無いと……。
文:と言いますと?
隠岐奈:嘘を吐いているはずだと思っているだろう?
文:ええ、まあ。あるいは、嘘は吐いていないけど本質は隠されている匂いがします。
隠岐奈:まあ絶対の秘神、これが本質かも知れないね。
文:障碍の神……秘神……あ、思い出しました!
障碍の民の祖は二つに分かれ、一つは山に棲み、天狗となった。
もう一つは仏の後ろに潜み人里に棲んだ。それが障碍の秘神……。
もしかして貴方は……!
隠岐奈:何度も言っている。私がその障碍の神そのものである。
色々な二つ名が存在するが、一番本質を突いているのは何だと思う?
文:さっき、秘神が本質だと仰ってませんでした?
隠岐奈:障碍の神とは天狗除けの神という意味でもある。つまり私は天狗をこの世から消す神だ。
だから最初に笑ったんだよ。天狗が、天狗除け(うしろど)の国に入ってきたんだから。
まさに烏滸(おこ)の沙汰! 愚直に退け! 天狗改め天愚の記者よ!
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REVENGING STAGE 秘神の真の姿 - Hidden Star in Fifth Seasons 後戸の国
舞:何だ、また来たのか。
里乃:貴方のせいで私達が怒られたわ。
舞:即刻立ち去れい! 薄汚い天狗めが!
文:やあやあ、我こそは疾風の鴉天狗、射命丸文なり!
この度は天狗の未来を賭けて、再び勝負を挑みにきたものである!
障碍の神、隠岐奈よ! 出てくるがいい!
隠岐奈:この間の天狗か。再び姿を現すとは良い度胸だな。
文:この間は卑怯な罠で逃げられたけど、今度は逃がさない。
隠岐奈:逃がさない? 何をいう、逃げ帰ったのはお前だぞ?
背中の魔力を返して貰ったら、お前は手も足も出せない状態で、
お前は季節の扉に入って元の世界に戻ったんだ。逃げたのはお前だよ。
文:……少しだけそんな気もしてました。
貴方と戦っていたはずが、いつの間にか幻想郷に居たんでね。
私が集めた季節の魔力は、貴方に全て奪われて強制解放された。
それ自体が強制退出の罠だと気付かずにね!
隠岐奈:そうだ、だからお前に勝ち目は無い! 何度やっても同じだよ。
文:ふっ、そこまで判っていて、私が無策でここに来る訳が無いでしょう。
隠岐奈:ほう? 策、とな。
文:私の背中の季節を見よ!
隠岐奈:ほう……なるほど! お前は季節の隙間の魔力を集めてきたのか!
文:そうです。季節の変わり目の魔力だけを集めました。
四季の生命力がもっとも失われ、この世の魔が顕れる季節の隙間よ!
隠岐奈:ふふふ、それを私が吸収して解放すれば天狗の魔によって自滅すると。
黙っていれば判らなかったかも知れないのに、何故教える?
文:神ともあろう方が気付かないわけがないと思ったからです。
それに貴方を滅しにきた訳ではございません。
卑怯な罠に掛けたいのではなく、貴方の罠を封じたいだけですから。
隠岐奈:ふっふっふ、正々堂々と勝負したいという訳か。
良いだろう、その勇気に敬意を払って、季節の魔力は使わないでやる。
文:正々堂々と戦いたいというか取材をしたいだけなんです。
天狗と祖先を等しくする障碍の神に。世間から疎外されてきた河原者の歴史と、これからを。
隠岐奈:良いだろう、お前が勝ったら取材でも何でも受けてやろう。
幻想郷の縁起は我々、障碍の者を抜きにしては語れぬ。
見よ! 聞け! 語れ! これが障碍の秘神の姿だ!
文:はあはあ。まだやるか!
隠岐奈:見事だ! もう十分、お前の強さは判った。勝負は私の負けだ。
文:……いいえ、私の負けです。
背中の魔力無しでは到底勝つことは出来ませんでした。そしてこの力は貴方の力です。
背中の魔力を使う事前提の戦闘を見て、最初から貴方の掌で踊らされているかのようでした。
隠岐奈:確かにいつだって背中の扉を封じたり、別の魔力を呼び出す事も出来た。
だが、私がそれをしなかったのは、お前の勇気に敬意を払ってのことだ。
私の掌の上だろうとお前の勝ちは変わらない。堂々とするが良い。
文:ですよねー。私の勝ちでいいんですよねー。
じゃあ約束通り私の取材を受けてもらいます!
隠岐奈:う、うむ。
文:この度は何故こんな事をしたのですか? あ、こんな事ってのは四季異変の事ね。
隠岐奈:うちの二童子もそろそろ解放してやりたくてね。その後継者を探していたんだ。
可能性ありそうな奴らを広域で引っかけるために、ありとあらゆる奴の潜在能力を引き出させたのさ。
妖精や精霊たちの潜在能力によって、季節が少しおかしく見えただけ。
文:なるほど、それで後継者は見つかったのですか?
隠岐奈:まだだね。いくつか候補はいるけど。
でも、幻想郷全域に背中の扉を使うのはこれっきりにしておくよ。もう、十分伝わったと思うから。
文:?? では次の質問です。
隠岐奈:ちょっと待って、質問ってどの位あるの?
文:いくらでも出てくるわよ。
隠岐奈:今は闘いの直後で疲れている。また今度にしてくれないか?
そうだ、今度は天狗の元に行ってやる。お前を見ていたら、今の天狗に興味が湧いてきたよ。
天狗さえ良ければ平和協定を結ぼうじゃないか。
文:はあ、良いですが、ただし約束してください。
私以外の取材を受けないでください。こんな大きなネタ、他の人には渡しませんから。
隠岐奈:う、うむ。
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