STAGE.3 水没した最深歓楽街 (旧地獄温泉街)
霊夢:
うっ、何この強烈な匂い……
黒い水の匂いではないけど
地上でも嗅いだことのある
このゆで卵のような匂い……
妖怪の山で嗅いだ匂い
疲れが取れる場所で嗅いだ匂い
もしかして
この心沸き立つ場所は……!?
温泉だ!
しかも街まである!
地底にこんな街もあったのね
雪が降る死んだ街だけじゃないんだ
勇儀:
おお、霊夢殿
今日は何の用だ?
霊夢:
お前は……勇儀!
旧地獄の鬼の
勇儀:
そう、この旧地獄温泉街の元締めだよ
霊夢:
お、やっぱり温泉だったのね!
やったぁ
勇儀:
なんだ?
ここを温泉だと知らないで来たのか?
まあ良い
で、何の用だと聞いているんだが
霊夢:
温泉に入りに……じゃなくて
黒い水が地底から……
勇儀:
……なる程、黒くて臭い水が
地上に湧き出ていると
霊夢:
多分地底から湧いている筈なんだけど
この辺は白くて臭いお湯が
湧いているだけね
勇儀:
ふっふっふ、恐らく、私には
その黒い水の正体が判るぞ
霊夢:
え?
勇儀:
その黒い水は旧地獄の中でも
アンタッチャブルなゾーンで湧く
呪いに呪われた液体だ
霊夢:
やっぱり旧地獄の水だったのね
勇儀:
使い方を間違えなければ
富をもたらすとも言うが……
それを手にする者には
必ず禍いが起こると言われている
人間の世界では何て言ったかな
石のあぶらと書いて……
石油、と言ったような
霊夢:
せきゆ……?
勇儀:
ただ、何故地上に湧いているのかは
見当も付かんがな
霊夢:
そう、情報ありがとう
やっぱり自分で確かめに行くしかなさそうね
そのアンタッチャブルなゾーンって
何処から行くの
勇儀:
馬鹿言うな
アンタッチャブルだと言っている
霊夢:
それじゃあ何にも解決しないわ
そこに案内して
勇儀:
ふふふ、舐めた真似を
これ以上旧地獄の秘密を曝かれてたまるか
怪我をする前に地上に帰りな!
勇儀:
やるじゃないか
ここは最高の温泉街だ
大けが負わせたってすぐ治るだろう
いっちょ派手に
ぶちかましてやろう!
勇儀:
はあはあ
退く気は無いようだね……
霊夢:
ここで帰ったって
何にも解決しないからね
勇儀:
ええまあ
そこまで覚悟しているのなら行くがいい
その黒い水はここよりも
もっと深い場所に眠っている
但し、この先で見たものは他言無用だぞ
霊夢:
判ったわ
なるべく言わない
で、ところで……
温泉に入っても良いのかな
ちょっと疲れちゃったし
勇儀:
どうぞどうぞ
怨霊集まる最凶の温泉街でごゆっくり