Stage3 歴史喰いの懐郷
一本道の先には人間達が住む小さな里がある。
だが里があるはずの場所には、何も、無かった。
???:
お前達か。
こんな真夜中に里を襲おうとする奴は。
咲夜:
お嬢様。
こんなところ、さっさと通り抜けましょう。
レミリア:
まぁ、別に餓えてはいないけど……
???:
まったく、ここの人間が居なくなったら
残るは妖怪と変な人間だけになるじゃないか!
???:
むむ、お前達何もんだ?
レミリア:
ふん。もう後が無いんじゃないかい?
咲夜:
お嬢様!
少々お戯れが過ぎますよ。
???:
よく見てみな。悪魔達よ。
咲夜:
達って、ねぇ。
慧音:
ここには何も無かった。
そう見えるだろう?
咲夜:
って、ここは人間の里でしょ?
レミリア:
ああ、私はあんまり来る事は無いけど、
咲夜はよく来ているのかしら?
咲夜:
ええ、うちのお屋敷の道具は人間製のもの
も結構有りますわ。
慧音:
よく見て……。
見ての通り、ここには何も無かったんだよ。
いいから、さっさと通り過ぎな。
咲夜:
なんか嫌な態度ね。
里と人間をどこやったのかしら?
慧音:
判らんのか?
そもそも、人間は居なかった事にした。
今、ここの里の歴史は全て私が
保護している。
レミリア:
咲夜。
妹の家庭教師に良いんじゃない?
郷土歴史学の先生って感じで。
咲夜:
うちにはもう知識人は要りませんわ……。
慧音:
いいか、もう一度言う。
ここには元々何も無かった。
人間も人間の里もだ。
咲夜:
どうも、その言い方がひっかかるのよね。
お嬢様。
少々時間を頂けますか?
レミリア:
急いでるんだけどね。物凄く。
慧音:
そこの悪魔の歴史も私が頂こうか?
レミリア:
ふん、偉そうね。
ワーハクタクの癖に。
歴史ばっかり見ているお前には、
運命は変えられないよ。
咲夜:
お嬢様。
時間を頂いてもいいのですね?
レミリア:
しょうがないわねぇ。
ちょっとなら、私の時間も使っても良いわ。
咲夜:
さぁ、すっきりしたところで先を
急ぎましょう。
レミリア:
まだ、里は元に戻ってないけど
もうすっきりしたの?
咲夜:
もうすっきりしたわ。きれいさっぱり。
レミリア:
まぁいいけど、こいつのお陰ですっかり妖気の
上流の方向を見失ったわ。
咲夜は、行き先が分かってるのかしら。
咲夜:
きれいさっぱりですわ。
でもほら、こんなときに便利な奴がいます。
慧音:
あー?満月の異変の原因?
それは、あいつの仕業だろう。
こんな事出来る奴なんてそうそう居ないしな。
咲夜:
知識人は役に立つわね。
家にはもう要らないけど。
レミリア:
家の知識人は本ばっかり読んでて、
あんまり役に立っていない気が……
咲夜:
ムダ知識が豊富なのですよ。
もう要らないけど。