紅葉の美しい博麗神社。
山の神様に神社が乗っ取られると言う心配は杞憂に終わった。何だかんだ言って、霊夢は新しく幻想郷にやってきた神様達と和解できたのだ。
これから参拝に訪れる人間も回復していくのかも知れない、と思うと霊夢はほっと胸をなで下ろした。
魔理沙「栗拾ってきたぜ」
霊夢 「また山に入ったの?」
魔理沙「ああ、収穫の秋だからな」
霊夢 「天狗に捕まっても知らないわよ」
魔理沙は味を占めたのか、こっそり山に入ってはめぼしい物を探していた。
霊夢 「こんな大きな栗は見た事が無いわね」
魔理沙「化け物みたいな栗の木を見つけたんだよ。
あ、それと奇妙な噂を聞いたぜ」
霊夢 「何よ。もしかしてこの栗が罠とか?」
魔理沙「この栗は関係ないが……。
この間の山の神様のいた神社なんだが、
『何やらもう一人の神様が居るみたいだ』
って、天狗達が噂してたぜ」
山の河童や天狗達も八坂神奈子と和解し、その結果、山に神社を構える事が許された。神奈子は言葉巧みに山の妖怪達の信仰を集め、既に妖怪の山の神として崇められているようである。
豊富な神徳を持つ神奈子を信仰する事は、山の妖怪にとって良い事ずくめだった。信仰は生活を穏やかにし、そして豊かにする手段として最も有効な手段であったのだ。
ただ一つだけ懸念すべき面があるとすれば、山の妖怪が力を持ちすぎて麓の妖怪とのパワーバランスが危ぶまれる事なのだが……。
霊夢 「あら、神奈子はそんな事言ってなかったわよ?」
魔理沙「あいつは何か隠しているのかも知れないぜ。
そんな裏のあるような奴には見えなかったがな。
陽気だったし」
霊夢 「確かにね、大体、日本の神様は陽気なもんなのよ。
ただ、一気に山の妖怪を味方につけた事も怪しいと言えば怪し
いし……。
もしかしたら、もう一人神様が居るかも知れないって事が何か
関係あるのかな」
魔理沙「怪しいぜ」
そう言えば、神奈子は神社ではなく湖にいた。それに本人は本当の住処は神社ではなく山そのものであると言う。
だとすると、あの神社の本殿には何の神様が住んでいるのだろうか?
既に何か別の神様が住んでいて、神奈子は自由に神社を扱えないのではないだろうか?
考えれば考えるほど判らなくなり、二人は疑問を晴らす為に、再び山の上の神社を目指した。