Stage3 歴史喰いの懐郷
一本道の先には人間達が住む小さな里がある。
だが里があるはずの場所には、何も、無かった。
???:
お前達か。
こんな真夜中に里を襲おうとする奴は。
霊夢:
この惨状はあんたの仕業ね?
人間と人間の里を何処にやったの?
???:
お前達妖怪には、人間を渡しはしない。
今夜を無かった事にしてやる!
???:
あー、お前達何もんだ?
霊夢:
ちょっと、里を元に戻しなさい!
???:
しつこいな。
霊夢:
あんたなんかどうでもいいのよ。
ここは人間の里だった筈でしょ?
なのに、何も無いじゃない。
人間達や家とかどうしたのよ!
???:
どうもしてない。
慧音:
お前達には見えないようにしてやっただけだ。
紫:
霊夢、こんな所でしっぽりしている暇は無いわ。
こうしている間にも月はどんどん沈んでいるの。
霊夢:
しっぽりはしてないけど、ちょっと待って。
人間を里ごと消している妖怪を見逃す訳には
いかない。
慧音:
ここには、元々人間は住んでいなかった。
と言う風に見える様にしただけだ。
私が、この不吉な夜から人間を守る。
紫:
ねぇねぇ。
私には普通に人間の姿が見えるんだけどさぁ。
この程度のまやかしなんて、全然役に立たない
じゃない?
慧音:
!
お前達、本当に何もんだ?
霊夢:
大丈夫。私には里は見えないわ。
慧音:
うう。そんな情けかけられても。
紫:
それにあんた。
半獣なんでしょ?
慧音:
満月じゃなければ人間だ。
紫:
人面犬とか人面岩とかと大差ないわね。
慧音:
何で顔だけ残して変身する必要があるんだよ。
変身は全身だ。
紫:
牛頭馬頭とか、頭だけ獣に変身。
慧音:
……まぁいい。
そこまで言うなら、もう後には引かせない。
今夜は、お前達の歴史で満漢全席だ!
紫:
私はともかく、こいつの歴史は点心位に
しかならないわ。
霊夢:
うるさいなぁ。
それだけ毎日が飲茶なのよ。
霊夢:
さぁ、人間の里を元に戻しなさい!
紫:
戻しても大丈夫よ。
元々ここの人間とあんたなんか眼中に無いわ。
慧音:
じゃぁ、何処に行こうとしてるんだ?
霊夢:
あっち。
紫:
こっち。
慧音:
……。
昨今の異常な月の原因を作った奴なら、
そっち。
霊夢:
ほら言ったとおりじゃない。
紫:
霊夢の指先と70度は違う向きね。
霊夢:
あんたは110度違う。
ってあんた、良く私達の目的が判ったわね。
紫:
判らない方がおかしいのよ。