Stage2 雲に潜む一つ眼の化生 (春の雲)
???:
ちょっと待ってよ~
早苗:
はい何でしょう
???:
うらめしやー
早苗:
……
人間は妖怪になめられていると言う事かしら
???:
うらめしや?
早苗:
はいはい
表は蕎麦屋
小傘:
……私を見て驚かないの?
早苗:
今は、部屋の中で小さなヘリコプターを
飛ばせる時代
今更傘が飛んでいようが
そんなもんで今の人間が驚くもんですか
小傘:
なんと、わちきが時代遅れともうすか
早苗:
そのキャラ作ってるでしょ?
まぁ作ってなくても化け傘は時代遅れですけど
大体、その傘なんなのよ
茄子みたいな色してさぁ
小傘:
しくしく
頑張って妖怪らしくしようとしてるのにねぇ
ちょっとデザインが悪かったからって
捨てられて……
頑張って捨てた人間に見返してやろうと
妖怪にまでなって……
早苗:
あ、あの、もし?
何か気に障るような事を言いましたか?
小傘:
いいのよ
こうして妖怪は寂しく消えていくの
早苗:
あ、ああ、そんな意味で言ったんじゃなくて……
ただ、私が友達からそんな傘を渡されたら
断って雨に濡れて帰るかな〜なんて
小傘:
道具(ようかい)の気持ちが判らない人間なんて
酸性雨にうたれて溶けてしまえ!
小傘:
ああ、うらめしい
早苗:
ネズミだけでなく
傘にまでなめられているなんて
末期的ねぇ
人間の尊厳はどこに……
小傘:
ちくしょう!
こうなったら神社に降りて暴れてやる
早苗:
あら、自傷行為はいけないわ
本格的に退治されてしまうわよ