VS小町(再思の道) Episode 8
映姫:
小町ったら、全然じゃないの。
彼岸花も咲き放題じゃないの。
何が、もうすぐ終わります、かしら?
???:
ああ済みません。済みません。
小町:
いますぐに片付けますんでー。
映姫:
いま、色々な人間や妖怪相手に教えを説いて
きたっていうのに。
自分の部下がこんなじゃ、説得力が無いじゃ
ないの。
小町:
いえいえ。
これでも頑張っているのです。
ただちょいと今年の幽霊の量が異常だった
だけですんで。
映姫:
減らず口もいい加減にしなさい?
船の速度だって他の死神より遅いし……
どうせ幽霊と無駄話でもしてるんでしょう?
小町:
いえいえ滅相もない。
私は口数も少なくもっとも真面目な
死神ですよ。
映姫:
小町は欲が足りないのよ。
小町:
はい?
映姫:
死者を運ぶときに、渡し賃を貰うでしょう?
渡し賃が多そうな客、つまり徳の高そうな客
を優先的に運べば……
川を渡る時間も大して掛からないし、
効率が良いし、儲かるし……
小町:
あ、いや。
儲ける気が無いわけではないですよ?
映姫:
死神がお金を稼ぐことは、生前の行いの善い者
を好待遇で迎える事にもなる。
つまり、お金を稼ぐこと、それが善行なのよ。
小町:
はい、判ってはいるんですがー。
まぁ、悪い奴の体験談も面白くてですねぇ。
映姫:
無駄話をしちゃうと。
小町:
いや、あ、まぁ。
映姫:
貴方ももっと勉強しないとね。
勝利
映姫:
お金を稼ぐことが善くない事の様によく
言われるのは、
徳のない人間が妬みで言うことなのです。
働かない事が善である事は無いのです。
お金の仕組みは、稼ぐことと使うことが善行に
なる様に出来ているのです。
小町:
ええ、判っています。
だから、神社にはお賽銭が入らないのですね?
映姫:
頭で判っているなら実行しなさい。
不言実行です。
小町:
済みません。済みません。