STAGE 7 切り札はいつだって悪手 Evel Trinity (夢の世界)
ドレミー:
また来てしまったのですね……
もう後戻りは出来ないわ
月の民としての狂気は
貴方にはもはや毒でしかないのです!
純狐:
この答えに辿り着くまで
思ったより時間が掛ったわね
月の兎を地上に堕とすという
奇策を打ったのだから
すぐに気付くと思ったのですが……
鈴仙:
聞きましたよ!
貴方が月の民を憎む理由を
貴方の境遇には同情しますが……
それでも大半の月の民は
関係無いはず!
前回ので決着が付いたんじゃ
なかったの?
なんでまだ月の民は
ここに居るのよ!
純狐:
……月の民は夢の世界に逃げ込んだ
月の都に居られなくなった月の民は
そうするだろうと私は読んでいた
勿論、私は先手を打った
夢の世界に刺客を
送り込んでいたのです
さあ出ておいで!
地獄の女神、へカーティアよ
ヘカーティア:
んもう
待ちくたびれたわよん
ようやく、嫦娥の奴に復讐出来るのね?
腕が鳴るわー
純狐:
いや、敵は嫦娥ではなくて
目の前の兎です
ヘカーティア:
兎?
もしかして月の兎? 嫦娥の部下の
それなら見逃せないね
鈴仙:
だ、誰よ?
ヘカーティア:
私は月と地球と異界の
三つの身体を持つ地獄の女神
純狐の策で夢の世界に罠を
張っていたのよ
鈴仙:
そうか、月で見た妖精のご主人様って
貴方の事ね
変な格好してるからすぐに判ったわ
ヘカーティア:
でも純狐?
月の兎一匹の為に何でわざわざ私が?
純狐:
ただの兎じゃない
この兎こそが、月の民の切り札だった
この兎のおかげで
我々の敗北が半分だけ決定した
ヘカーティア:
ええええ?
何でそんな事が……
まさかこんな兎一匹で
我々の作戦が失敗するなんて
しょうがない
消すしか無いか
鈴仙:
やっぱりそうなるのね
もう私は月の兎じゃ無いのに……
ヘカーティア:
月の兎は宿敵、嫦娥の部下
この兎を生かして帰す訳にいかないね
お前に楽しい選択肢をやろう!
月、地球、異界……
殺されたい身体を自分で選べ!
鈴仙:
二人がかりとは恥も外見もないね。
ヘカーティア:
いやねぇ、ちょっとした冗談よ
勝負は私の負けね
……お前
途中から気が付いていたけど
月の兎じゃないね?
鈴仙:
そうよ
幻想郷の兎になったの
もう月の兎に戻る事は出来ないわ
ヘカーティア:
面白い奴ね
なる程ー
これが地上にいる月の賢者の秘策……
ねえ、その賢者に会わせてほしいなー
鈴仙:
……私も貴方達に会いたいという旨を
伝える為にやってきました
ですがその条件として
夢の世界にいる月の民を解放して
二度と月の都を襲わないという
約束が必要です
ヘカーティア:
ねえ、純狐?
良いかしら?
純狐:
……良いわ
月の民を都へ戻しても
但し、飲む条件は半分だけです
二度と月の都を襲わないのではなく
しばらく月の都を襲わない、なら飲みます
鈴仙:
……判ったわ
それでいいわ
ヘカーティア:
オーケーオーケー
じゃあ、月の民は解放しよう
鈴仙:
(永琳様の言ったとおりね
必ず会いたがるから、条件を与えろ)
(でも条件を一つ変えてくるから
それを受け入れろ……と)
もしかしたらこいつ等と永琳様達は
ツーカーなんじゃ無いかしら
ヘカーティア:
ん?
何か言った?
鈴仙:
しまった、声に出てたわ
何でもないわよ
純狐:
心配することなんてないわ
今はもう復讐心は無い
そもそも幻想郷にいる月の民は
はなから敵では無いのよ
勿論、貴方もね
それに……
ヘカーティア:
良かったねぇ
鈴仙:
何が?
ヘカーティア:
どうやら純狐は貴方の事が
気に入ったみたいよ
暫く復讐を止めるってのは
貴方のお陰さ
鈴仙:
そ、そうっすか
これは光栄です……
ヘカーティア:
月の兎じゃなければ、もう憎む
相手では無いからね
私も幻想郷で面白そうな奴を
探してみようかなぁ
何か心当たりがあったら紹介してね