東方永夜抄 – 夢幻の紅魔 – Stage6A

シェアする

Final 姫を隠す夜空の珠

   永い永い廊下。この廊下は何者かが見せる狂像か。
   近すぎる月の記憶は、妖怪には懐かしく、薄い物だった。

永琳:
ふふふ。

無事ついて来てるようね。

レミリア:
ほらほら。
もう後が無いんじゃないのか?

咲夜:
でも、さっきから大分進んでいるけど……。
この廊下、終わりが見えません!


咲夜:
廊下は終ったみたいだけど、
ここは一体……。

永琳:
この位でいいわね。

ここまで来ても気が付かないのかしら?

レミリア:
しまった!
嵌められたわ、咲夜。

アレは月じゃない!

咲夜:
確かに、ちょっと大き過ぎますわねぇ。

レミリア:
いや、大きいのは近い所為だと思うけど。

永琳:
そう、貴方達は偽物の月と永い廊下に
導かれてここまで来た。

満月は、月と地上を結ぶ唯一の鍵なの。

その鍵を壊せば、月と地上は行き来
出来なくなる。

ほら、こんな風に偽の幻影に惑わされてね。

咲夜:
あら、幻影ですって。
さっきの無茶苦茶長い廊下も幻影かしら。

レミリア:
幻影かもね。

あんなに長いんじゃ、掃除用のモップが
持たなさそうだし。

咲夜:
あら、恐らくモップじゃなくて雑巾掛け
じゃないかしら。腰痛めそうね。

永琳:
そんなとこ、気にしなくてもいいじゃない。
幻影よ幻影。

レミリア:
それにしても、こんな大掛かりな事をして
どうしようっての?

誰も月に行こうとなんてしてないよ。

永琳:
幻想郷の外には地上から月に向う愚か者も
居るけど……。

それより今は、月からの追手から姫を守る
事だけを考えている。

今夜はこのまま朝を迎えれば、もう
月から使者がやってこないでしょう。

咲夜:
ああ、さっきから兎ばっかり出てきたのは
月の兎だったのね。

永琳:
いや、殆どは地上で捕まえた兎。

生粋の月の兎はさっきの鈴仙だけよ。

レミリア:
どうでもいいよ。

満月を奪った奴がわかっただけで良いの。
理由なんてどうでもいい。

ここに来るまで、犯人を見つけたらどう痛み
つけてやろうか、だけを考えてきたわ。

咲夜、ここは手加減無しよ。

咲夜:
今まで出会ってきた敵も手加減してない
ですよ。

レミリア:
……じゃあ、死ぬ気で。

咲夜:
死にませんよ。

永琳:
随分と余裕ねぇ。

ここまで誘い出したのも、思う存分遊ぶ為。

安心していいわ。
朝になれば満月は元に戻してあげるから。

後は、朝まで遊ぶだけでいいのよ。

咲夜:
お嬢様、良かったですわね。

勝っても負けても満月は元に戻るようで。

レミリア:
何を甘い事言ってるの?

なめられたお返しをしないと、
幻想郷での威厳が保てないじゃないの。

もはや満月なんてどうでも良いの。

永琳:
ふん、ガキの癖に。

貴方みたいな幼い子供が永遠の民である
私に敵うはずが無いじゃない。

貴方の積み重ねてきた紅い歴史。

私の歴史で割れば、ゼロよ。
永久からみれば貴方は須臾。

咲夜:
ほら、お嬢様。
年長者は敬わないといけませんよ。

レミリア:
あんたは一番若い。

永琳:
あと、夜を止めていたのは貴方達でしょう?

そんなことして、姫の逆鱗に触れて
なければいいけど……。

レミリア:
ほれ私を敬いなさい、咲夜。存分に。

永琳:
話を聞いていない。

最近の若い者はこれだから困るよ。

貴方達には、話よりこの弾幕の薬の方が
必要みたいね!


???:
何遊んでるのよ!

永琳、私の力でもう一度だけチャンスをあげる。

これで負けたらその時は……。

そこの悪魔!

私の力で作られた薬と永琳の本当の力、
一生忘れないものになるよ!