Final B 五つの難題
解決不能な五つの難題。
しかし、長い年月と幻想の力は、それらの問題を
解くのに十分だった。
永琳:
ああもう。
こっちに来させちゃ駄目だって言ってるのに。
レミリア:
咲夜。
こいつはフェイクよ。
咲夜:
では、速攻で倒させて頂きますわ。
咲夜:
お嬢様。
お怪我はないですか?
???:
有るわ。
レミリア:
無いよ。
って、あんた誰?
輝夜:
鈴仙と永琳を倒してここまで来るなんて……。
怪我の一つでも負って貰わないと、割に
合わないわ。
レミリア:
あいにく、満月の夜は無敵なんでねぇ。
咲夜:
初めて聞きましたわ。そんな事。
……っていつの間にか満月ですわ。
お嬢様。
レミリア:
判ってるから言ったんだけどね。
輝夜:
これが真実の満月よ。
いつ頃だったかしら、この満月が地上から
消えたのは。
満月から人を狂わす力が失われたのは。
レミリア:
この満月は……。
咲夜が危ない!
輝夜:
そう、直に見た人間を狂わす真実の満月。
咲夜:
いや別に何にも有りませんが?
レミリア:
……咲夜は危なくなかったわね。
鍛えてあるし。
まぁ、咲夜がいなくてもこの満月下なら
無敵だけど。
咲夜:
あら、それは酷いじゃないですか。
どんな場面でも、私は力になりますよ。
頼りにしてください。
レミリア:
あら、咲夜、ちょっと狂い始めてない?
輝夜:
月は地上に様々な力を与えた。
魔法の様な力の殆どが、元々は月の力。
貴方のお仲間にも満月頼りの物も居るん
じゃない?そこな吸血鬼さん。
レミリア:
だから何よ。
咲夜:
満月となった今。
無敵ってことですよ。素敵。
輝夜:
ふふ。
我々月の民は、地上人を魔物に変えて、
地上人の穢れを調節してきた。
でも、もうそれもお終い。
地上人は自ら魔物を封印してしまった。
今の魔物は、ただのお約束として人を襲うだけ
の良く判らない生き物になってしまったわ。
レミリア:
今の紅茶を飲む毎日の方が楽しいんだよ。
それが何が悪い。
咲夜:
……。
輝夜:
地上人は次第に月を、夜を恐れなくなった。
地上人は益々増長したわ。
月の光が必要で無くなった夜。
潮の満ち干が無関係な海岸。
終いには月にまで攻め込んだって言う
じゃない。
レミリア:
ふん、そんな下賎な人間の事なんて
知らんな。
大体、あんた、月の民なんだろう?
月に帰って地上人と戦えばいいじゃないか。
輝夜:
私は……。
月には帰れない理由があるの。
それに、月の民の味方でもないわ。
地上でもおおっぴらには動けないけど。
咲夜:
月には帰れない、地上でも居場所がない。
よっぽど悪い事したんでしょうね。
輝夜:
地上人には迷惑をかけない様に、力のない者
には会わない様にしていたのよ。
咲夜:
無敵のお嬢様と無敵の人間。
私たちに力がないのか試す?
輝夜:
今まで、何人もの人間が敗れ去って
いった五つの問題。
この難題をクリア出来るのかしら?
輝夜:
なんて事!
そう、夜を止めていたのは……、
貴方達だったのね。
貴方達が作った半端な永遠の夜なんて……
私の永遠を操る術で全て破って見せる。
夜明けはすぐそこにあるはずよ。
どう?
これで永夜の術は破れて、夜は明ける!