STAGE 4 寂びの来ない街 Lunatic Kingdom (月の都)
鈴仙:
これは一体!?
何故こんなに冷え切っているのかしら
それに誰もいないだなんて……
あ、サグメ様……
この現状は一体
サグメ:
……兎?
今、月の民は全員仮の月の都に
退避している筈なのに
鈴仙:
仮の……月の都?
もしかしてみんな
夢の世界にいるとか
サグメ:
察しが良いわね
月の民はみな夢の世界を
本物の都と勘違いしている
それこそ月の都の狂夢
鈴仙:
いつも喋らないサグメ様が
饒舌になっているなんて
何か本当におかしな事が
起きているんだわ
サグメ:
貴方は地上に堕ちた兎ね
八意様のところの
まさか獏がこちらへ通すとは
思わなかったけど……
もしかして可能性が
あるというのか……
試してみるわ
地上に堕ちた貴方の力を!
サグメ:
判った判った
もう十分よ
八意様が貴方を遣った
理由が判ったわ
貴方なら月の都を
救えるかも知れない
鈴仙:
えええ?
月の都をー?
サグメ:
今、月の都はある敵によって
侵略されようとしている
鈴仙:
侵略だって?
サグメ:
それも我々月の民には
手が出せない生命の力でね
慌てて月の都を凍結停止させて
全員を退避したけど
このままでは狂夢によって
月の民の精神も持たない
だから早いうちに
幻想郷へ遷都しようと考えていたの
鈴仙:
うひょっ!?
遷都!?
いやー、驚きすぎました
その事は地上に来ている月の兎は……
サグメ:
勿論知らないわ
地上に月の都の別荘を作ろう
程度にしか教えていない
鈴仙:
……月の民の上司はいつもそう
隠蔽に隠蔽でもう嫌になっちゃう
でもなんでそれを私に?
サグメ:
貴方に教えたのは
貴方が敵を討つ条件を満たしていたからよ
敵は生命の源を牛耳る力を
持っています
生死を拒絶する月の民(われわれ)を
逆手にとった狡い敵なのですが……
貴方はもう生死を拒絶しないのね
身も心も地上に堕ちていた
貴方はもう穢れている
だから貴方なら敵のところに行ける
鈴仙:
ふー恐ろしい話
有難うございました
永琳様も輝夜様も、最初から判って
私や人間に行かせようとしたんだわ
人の危険なんて
どうでも良いのよね
サグメ:
私が計画を話してしまったので
もう幻想郷に遷都は出来ないでしょう
だからもう貴方しか頼りが無いの
判るでしょ?
鈴仙:
はあ、サグメ様がそう仰るのなら
そういう事になっちゃうんでしょうね
強制的に
サグメ:
判っているのなら行きなさい!
いざ敵の本拠地、静かの海に向かえ!
これはいわば勅命よ
私の天津神部分からの……